初のプライドマーチから50周年をお祝いして、イギリスの王立造幣局が50pコインをレインボーカラーにした。(フロントロウ編集部)

1972年7月にイギリスでプライドマーチがスタート

 毎年6月は多くの国でLGBTQ+コミュニティへの理解を深める月間とされており、各地で華やかなイベントが開催される。イギリスは1972年に第1回のプライドマーチが開催されたので、2022年は50周年という節目の年。カラム・スコットやヘイリー・キヨコ、キャット・バーンズなど、LGBTQ+コミュニティのアーティストたちが参加するコンサートが開催されるなど、6月は多くのイベントが企画されている。

 国をあげてプライドマーチ50周年をお祝いしているイギリスは、なんと特別な50ポンドも発売するという。

 王立造幣局が新たに発表した50p(約80円)硬貨は片面に通常のエリザベス2世が描かれ、裏面にはLGBTQコミュニティのシンボルとして有名なレインボーに加え、有色人種のLGBTQ+コミュニティを表わすブラックとブラウン、トランスジェンダーを表わすライトブルー、パステルピンク、ホワイトカラー、さらには、Protest(抗議)、Visibility(可視性)、Unity(団結)、Equality(平等)という単語がデザインされる。

デザイナーは依頼を受けた時、「ピンクウォッシュ」を心配した

 この特別な50ペンスをデザインしたのは、ロンドンのアーティスト、作家、LGBTQ+活動家であるドミニク・ホームズ。ドミニクは「(デザインを依頼された)当初、私は複雑な心境でした。王立造幣局がLGBTQ+文化にとって重要な記念日を認識したことは喜ばしいことですが、私は多くの人々と同様に、プライドが持つ重要な社会的かつ政治的な力を脱線させている、多数の企業のピンクウォッシュにうんざりしていたのです。しかし、彼らがコミュニティと協力して、本物のアライとしての支援を提供しようとしていることが分かりました」とインスタグラムで語った。

 ピンクウォッシュとは、企業などが自らのイメージアップを図るためにLGBTQ+の権利や問題への支援を利用すること。企業が人権を擁護するために声をあげることは重要だが、一方で、イギリスでは2019年のReboot Onlineによる調査で、プライドキャンペーンを行なった250の企業のうち、5社に2社が関連団体への寄付を行なっていないことが分かり、ピンクウォッシュ/ピンクウォッシングが問題になっている。

 そんな背景もあって、当初は依頼に戸惑ったというドミニクは続けて、「このコインを作ったからと言って、我々のダメな政府にコンバージョン・セラピーの禁止(※)や、同性愛者の若者のホームレス数減少に取り組ませられないと知っています。それらは、私たちが闘っている重要な課題です。しかし、このコインが、これまでの進歩を祝い、ほんの少しばかりのクィアな喜びをもたらしながら、私たちのコミュニティが前進するために本当に必要としている資金を集めることを心から願っています」とコメントした。

※コンバージョン・セラピーとは、LGBTQ+をLGBTQ+ではなくなるよう “治療”しようとする心理療法。多くの国で違法化の動きが進んでおり、イギリスでもそれに向けた議論が進んでいるのだが、ボリス・ジョンソン首相の方針に大きな批判が挙がり、アドバイザーの辞任や抗議活動などへと繋がっている。

 イギリス初の、LGBTQ+コミュニティをお祝いするペンスは、2022年の夏以降に購入することができるよう。(フロントロウ編集部)

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