『ブラック・フォン』に参加されることになった経緯を教えてください。
メイソン・テムズ(以下メイソン):2人ともオーディションを受けて役を獲得したのですが、(新型コロナウイルスの)パンデミックが起きてしまい、Zoomでオーディションをしたんです。初めてだったので変な感じでしたね。でも、その後、コールバックを受けて、(役者同士の相性をテストする)ケミストリー・リーディングを一緒にやって、2人とも起用されました。すごく嬉しいできごとでしたね。
それぞれの役の魅力はどこでしょう?
メイソン:この映画でフィニーが多くを経験するところに惹かれました。彼は本当に直感的な反応をする人で、あらゆることに反応するんです。僕とはまったく違うリアクションをする。そして彼は、つねに冷静です。自分が置かれている状況を分析して、どうすればここから抜け出せるか、どうすれば自分を救えるかを考えています。そんなフィニーを、私はとても気に入っています。
マデリーン・マックグロウ(以下マデリーン):グウェンとフィニーの関係で一番好きなのは、2人がとても仲が良く、お互いを守るためなら何でもするところです。何でも言い合えるし、私のきょうだいとの関係に似ています。だから、グウェンにはいろいろな意味で共感できてとても嬉しかったです。
メイソンは連続殺人鬼(イーサン・ホーク)と、マデリーンは体罰を使う父親(ジェレミー・デイヴィス)と暴力的なシーンがありますが、事前に相手と会話をしてルールを決めたりしたのでしょうか?
マデリーン:スコットが事前に私と対話する時間を取ってくれて、シーンがどれだけ激しくなるかを話してくれました。そして、何か必要なものがあればすぐにシーンを止めて水を飲んでひと息つく時間を作るからと言ってくれました。そして、ジェレミーとも(脚本を読む)テーブルリードの席で何度もその話をしました。実際、それが役に立ちましたね。あと、本格的なものではありませんがリハーサルもしたのですが、それがシーンの雰囲気に入り込むための助けになりました。
メイソン:スコットは、「撮影前に5分ほど自分のトレイラーで気合いを入れてきていいですか?」と頼むと、「もちろんだよ。必要なだけ時間をかけていいからね」と言ってくれるような人なんです。彼はしっかりこちらの意見を聞いてくれて、理解も示してくれる。だからこそ僕は監督が大好きです。
イーサン・ホークとの撮影はどうでしたか?
メイソン:スクリーンで見る彼はとても素晴らしいですが、実際に面と向かって会ってみるのは別次元です。一緒に仕事ができるなんて信じられなかったし、彼は本当に優しかったです。しかしマスクを被ると、グラバーに変身する。彼からはたくさんのアドバイスをもらいました。ダークなシーンでは、彼は当初(子どもを誘拐・監禁しているという状況に対して)感情的になっているのを隠したいと感じていると話していましたが、結局は全力でいって、僕も同じようにして、結果的に素晴らしい仕上がりになりました。
監禁されている部屋での撮影はどのようなものでしたか?
メイソン:(死者との)電話でのやりとりをどう撮影するのか当初はわからなかったのですが、あれは実際に(ゴースト役の)彼らを部屋の外に待機させ、本当に電話で私と話していたのです。だから、彼らが話すことはすべて聞こえていました。とてもかっこいい撮り方だなと思いました。彼らの声がすごく超不気味で、彼らとの仕事は本当に素晴らしかったです。
本作では70年代の雰囲気が非常によく再現されています。10代のお二人にとって初めて見るものや触れるものもあったと思いますが、アイテムでもシーンでもいいですが、カルチャーショックを受けたものはありますか?
メイソン:黒電話ですね。あの回転式の電話。本当に不思議なものでした。あれをどう操作すればいいのか、まったく分かりませんでした。マデリーンも分からないって言ってたよね。あれを使って演技するのは奇妙な感じでしたね。
マデリーン:私は、映画の冒頭でトーストを作るシーンがあるんです。あのアイテムの名前がさっぱりわからないのですが、初めて見たもので、何なのかわかりませんでした。
メイソン:あれはきっと、パンを置いておくやつか何かだよね?
マデリーン:そうそう、パンが置いてあって扉を開けるの。(※パンを保管するBread Binと呼ばれるもの)
メイソン:きっと今、僕らはとんちんかんに聞こえるんだろうな(笑)。
劇中では本物のきょうだいのように相性ぴったりでしたが、どのように関係性を構築したのですか?
マデリーン:撮影が始まる前にたくさん話をしました。コロナのせいで、撮影前に実際に一緒に過ごす時間は限られていたのですが、できる限り一緒に過ごし、話したり、お互いをからかい合ったりしていました。それが、撮影中の相性にすごく良い影響を与えました。
監督からもらったアドバイス、または記憶に残る監督とのエピソードはありますか?
マデリーン:スコットは私たちの話や意見を本当によく聞いてくれました。そして、キャラクターに自分らしさを加えていいと言ってくれたのです。私たちに多くの自由を与えてくれたように感じました。将来的に、ぜひまたスコットと一緒に仕事がしたいです。
メイソン:スコットは私を子供扱いしませんでした。私を真剣に受け止めてくれたのです。私は彼が大好きで、その気持ちはこれからも変わりません。彼は私にたくさんのことを教えてくれましたし、たくさんのインスピレーションを与えてくれました。いつか彼のようになりたい。私は監督をしてみたいです。
監督をすることが将来の夢のひとつなんですね?
メイソン:それが僕の大きな夢なんです。演じることも大好きだけど、いつか監督をしてみたい。この作品でのやり方を見て、スコットからは多くを学びました。彼は自分が何をしているか分かっているし、すべてを指揮している。素晴らしい仕事人なのです。いつか監督になれたら、彼くらい素晴らしい監督になりたいと思っています。
お二人は本作で、“子役”と呼ぶべきではないと思うほど素晴らしい演技を見せています。一方で、大人の保護を受ける子どもであるのも事実です。未成年の役者はそのような複雑な立場にいますが、ハリウッドという奇妙な業界で自分を失わずにやっていくためにルールとしていることやお手本にしていることはあるのでしょうか?
マデリーン:私が一緒に仕事をするのは、私よりずっと長くこの仕事を続けている人たちです。だから、彼らから多くのことを学べます。あと、私はメーガン・パーク監督と仲が良いのですが、彼女は俳優で、脚本家と監督を始めた人なんです。私もいつかカメラのうしろ側で仕事をしたいと思っているので、いろいろな意味で彼女を尊敬してお手本にしているんです。監督、脚本、プロデュースなど、何かできたら最高ですね。
メイソン:僕にとってはスコットがそういう存在です。彼はカメラがまわっていないところや、『ブラック・フォン』の撮影を離れた場所でも支えになってくれていて、何か疑問があったり、助けが必要だったり、何かに困っているときは、つねに相談相手になってくれています。つねに僕の味方なんです。
お二人は来日経験はありますか?
メイソン&マデリーン:ノー! ぜひ行きたいです。
マデリーン:日本建築は本当に美しくて素敵で、ぜひ行って見てみたいです。
来日したら何がしたいですか?
マデリーン:グルメ! 日本のグルメを存分に堪能したいです。
メイソン:いいね! あと観光もね。
制作者としての大きな夢も持つ若手に新星メイソン・テムズとマデリーン・マックグロウが社会の悪と対峙する映画『ブラック・フォン』は7月1日(金)全国公開。
(フロントロウ編集部)