脚本・製作総指揮ジョン・ホッジ【インタビュー】
1960年代に『007』のジェームズ・ボンドへのアンチテーゼとして制作されてのちのエンタメ界に大きな影響を与えたスパイ小説『イプクレス・ファイル』を原作にしたドラマ『ハリー・パーマー 国際諜報局』。本作の脚本と製作総指揮を務めたのは、映画『トレインスポッティング』や『ザ・ビーチ』などでのダニー・ボイル監督とのコラボレーションで知られるジョン・ホッジ。
今作にて初めてTVシリーズ(ドラマ)の脚本を手掛けた彼が、「靴にしつこく入り込んでくる小石みたいな男」だというハリー・パーマー(ジョー・コール)と、「“男性がネックレスをつけるための女”ではないと自分の価値を正しく評価」しているジーン・コートニー(ルーシー・ボイントン)らキャラクターの魅力などについて語るインタビューが初解禁。同時に、主演のジョーと監督のジェームズ・ワトキンスがドラマの見どころを1分で解説する映像も解禁。
原作の 『イプクレス・ファイル』について
ジョン・ホッジ(以下ホッジ):10代の頃からの愛読書で、何度も読み返しています。レン・デイトンのトーンが好きです。レイモンド・チャンドラー風だけど、さらにウィットに富んでいる。ハリー・パーマーこと主人公(原作では名前がない)は、非常に有能で、優秀でありながら、自虐的でシニカル。鬱陶しいほど辛辣で、ドライなリアリズムを持っていて、芯がある人物なんです。
イアン・フレミングの主人公(ジェームズ・ボンド)は高級クラブに通い、高額な賭け金でブリッジをし、ベントレーを運転する。最高級のワインの品質について、鼻持ちならない発言をする。ダイヤモンドの原石のような男です。一方ハリー・パーマーは、ギザギザしていて、靴にしつこく入り込んでくる小石みたいな男。ジェームズ・ボンドよりも身近で、また一緒にいて楽しい。 そして、女性との関係はボンドよりも対等だと思います。本当に魅力的なキャラクターです。
映画『国際諜報局』について
ホッジ:小説と同様、1960年代の至高の作品です。スタイル、デザイン、キャスティングと全て素晴らしいのですが、なによりマイケル・ケインの演技ですよね。ミニマムな中にも華麗なカリスマ性がある。小説と映画、そして舞台となった60年代は大好きな時代なので、話を貰ったときに飛びつきました。
ジョー・コールが演じるハリー・パーマーを一言で表現すると?
ホッジ:一言で言い表すのは難しいですが、それこそが彼の本質なのかもしれません。ハリーは、どんな環境にも素早く対応することができます。大学、公務員、冷戦下のベルリン、そして刑務所の中でも順応していたでしょう。そして、ドルビーによってスパイに抜擢され、ハリーはこの諜報の世界にも難なくフィットしたのです。実はハリーには、自身では気恥ずかしくて言えないような一面があります。相手に感情移入するし、優しさがあるんですよね。このドラマでは、そういった部分も描きました。
ルーシー・ボイントンが演じるジーン・コートニーについて
ホッジ:60年代、社会における女性の立場は変化していました。ジーンは自分をフェミニストだと思っていませんが、知らず知らずのうちにフェミニスト的なポジションに立っています。彼女は現実に直面し、葛藤し、そして「一生、男性のお世話をする、かわいい女性と見られることにうんざりしている」とはっきりと言います。ジーンは仕事を通じて、自分は「男性がネックレスをつけるための女」ではないと自分の価値を正しく評価するようになるのです。
スパイものというジャンルで、女性が映画用語でいうところの「役」を見つけるのは、かなり難しいことです。忍者殺しをさせたり、秘書的な役柄が多く、私はそういう役は好きではありません。そこで思いました。MI6の諜報部員は一体どういう人たちで、どういう仕事をしているんだろう?と。
もちろん想像でしかないのですが、私は諜報活動という仕事には、人を操り、その人が重要な人物であると思わせることが必要だと思いました。ジーンにはその適性があります。たまたま女性だっただけで、優秀なエージェントであるべきだというのが、私たちのジーンのキャラクター構築のスタートでした。
トム・ホランダー演じるスパイのボス、ドルビーについて
ホッジ:ドルビーは士官階級のボスです。彼は自分のスノッブさを自覚していて、あえて実力主義を貫いています。
偏見を持たずにハリーの価値を見出しているのです。また、ドルビーには、ドラマの重要な鍵となるバックストーリーがあります。彼は戦争であらゆる愚かなことを見てきて、失望しています。原作よりもキャラクターを拡大しました。
トムが演じてくれて本当に深みのある人物になったと思います。
制作を振り返って
ホッジ:今回長い間やりたいと思っていたテレビドラマに携われて、とても楽しかったです。ジェームズ・ワトキンス監督と素晴らしい仕事ができました。登場人物も役者も魅力的です。もっとこのハリー・パーマーの世界を掘り下げていけることができればいいなと思っています。
ドラマ『ハリー・パーマー 国際諜報局』(全6話・字幕版)は、動画配信サービス「スターチャンネルEX」にて独占日本初配信中。6月30日(木)までは、期間限定で第1話の無料配信が行なわれている。さらに本日6月20日(月)からは、安元洋貴(『鬼灯の冷徹』、『SPY×FAMILY』)が主人公ハリー・パーマーの声を担当する吹替版も全6話一挙配信がスタート。TV放送の「BS10 スターチャンネル」では6月21日(火)に字幕版、23日(木)に吹替版の第3話が放送予定。
<配信および放送情報>
ドラマ 『ハリー・パーマー 国際諜報局』 (全6話)
【配信】スターチャンネルEX
<字幕版>絶賛配信中(毎週金曜日に1話ずつ更新)
※6月30日(木)まで《第1話無料配信中》
<吹替版>6月20日(月)より全6話 一挙配信
作品公式ページ:ex.star-ch.jp/special_drama/zMko6
【放送】BS10 スターチャンネル
【STAR1 字幕版】毎週火曜23:00ほか 独占放送中
【STAR3 吹替版】毎週木曜22:00ほか 独占放送中
放送詳細ページ:www.star-ch.jp/drama/harrypalmer/sid=1/p=t/
(フロントロウ編集部)