BETアワードからまたしてもスルーされたリル・ナズ・X
アフリカ系アメリカ人やほかのマイノリティの人たちがメインに選出される授賞式であるBETアワードに、今年もラッパーのリル・ナズ・Xがノミネートされなかったことで物議を醸している。
ゲイであることを公言しているリル・ナズは先日、自身がBETアワードにノミネートされなかったことを受けて、現在は削除されているツイートで「ありがとう、BETアワード。またしても、驚くべきノミネーション0(ゼロ)という結果だよ。黒人は素晴らしいね!」と皮肉交じりにツイートしていた。
2021年はリル・ナズにとって絶好調の1年となっており、シングル「Montero (Call Me by Your Name)」で約2年ぶりに全米シングルチャートの1位を獲得すると、ジャック・ハーロウとのシングル「INDUSTRY BABY」でも1位を獲得。2曲が収録されたアルバム『モンテロ』も高い評価を得て、グラミー賞で主要部門の最優秀アルバム賞などにノミネートされた。
アルバムやシングルが批評的にも商業的にも成功を収めたにもかかわらず、リル・ナズが今年のBETアワードで1部門にもノミネートされなかったことは議論を呼ぶこととなり、リル・ナズは自身へのそうした扱いの根底には“ゲイの黒人”に対する同性愛嫌悪があると批判。
ツイッターで「必ずしも、僕がノミネートされなかったことだけに限らない」と、この問題は必ずしも自身だけの問題ではないとした上で、「黒人のゲイたちはこの世界で居場所を得るために闘わなければいけないように感じている。もし僕らがトップを取ったとしても、クソ野郎共はまるで僕らのことが目に見えていないかのように振る舞うんだ」と訴えた。
リル・ナズはその後、NBAヤングボーイとのコラボとなるその名も「Late To Da Party (FUCK BET)」と題した新曲をリリース。「BETはクソ食らえ」を意味するド直球のタイトルがついたこの曲をリリースするにあたり、リル・ナズは「この問題は終わっていないし、BETの問題というわけではなく、黒人コミュニティにおける同性愛嫌悪についての、より深刻な問題なんだ」とツイートした。
ジャック・ハーロウがリル・ナズ・XのTシャツを着用
リル・ナズをノミネートしなかったことが物議を醸すなか、現地時間6月26日に今年のBETアワードの授賞式が米・ロサンゼルスにあるマイクロソフト・シアターにて開催。リル・ナズの全米1位シングル「INDUSTRY BABY」に参加し、今年のBETアワードで最優秀男性ヒップホップ・アーティスト賞にノミネートされていたジャック・ハーロウが、リル・ナズ・XのTシャツを着て授賞式に出席し、リル・ナズへのサポートを示した。
盟友ジャックからのサポートにはリル・ナズも反応を示しており、リル・ナズは自身のTシャツを着たジャックの写真をインスタグラムストーリーズに投稿して、ジャックからのサポートを受け取った。
リル・ナズは米Rolling Stoneに寄せた声明のなかで、BETアワードについて「彼らは去年僕に授賞式でパフォーマンスをさせてくれましたが、僕はサタンや悪魔崇拝者にならずに、彼らのオーディエンスに適したパフォーマンスを行なうことを保証しなければいけませんでした」と述べていた。
一方、BETアワードは先日、リル・ナズからノミネートされなかったことを批判されたことを受けて発表した声明のなかで、「私たちはリル・ナズ・Xを愛しています」とコメント。ノミネーションについてはBETアワードによって決まるのではなく、500人のエンターテイメント業界の有識者による投票で決まるとした上で、「我々は、私たちのコミュニティ内に存在する素晴らしい多様性の情熱的な提唱者です。自分たちが持っているあらゆるプラットフォームを、ブラック・コミュニティにおけるすべての交差を可視化し、包括するために使用することに取り組んでいます」とした。(フロントロウ編集部)