Googleの位置情報記録がより重要なカギに
Googleが、ユーザーが特定の場所へ行った際には位置情報の記録を自動的に削除すると発表した。その特定の場所は、中絶のためのクリニック。
アメリカでは先日、女性の中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド」判決が最高裁で覆され、一部の州では中絶が全面禁止となった。そのため、中絶の処置を提供した医療関係者が逮捕される危険があり、患者本人も逮捕されるようになるかもしれないという懸念がある。
女性がその権利を著しく侵害されているなか、Googleは位置情報の記録を削除するという判断をした。また、中絶のクリニックの他にも、不妊治療のためのクリニック、家庭内暴力被害者のためのシェルター、依存症治療の施設といった場所にも適用されるという。一方で、中絶に関する検索履歴が自動的に削除されることにはなっておらず、ユーザーが個別に消す必要があるという。
また、Googleによる健康トラッキング企業のFitbitに記録された生理の記録も消すことが可能になるという。
Googleは個人情報の宝庫
Googleがこの発表をする前には、Googleの親会社であるアルファベットの労働組合が、中絶を受けた人々を起訴しようとする法権力が利用しそうな個人情報を削除するように要求していた。
米The Washington Postによると、昨年の前期だけで、Googleは法権力から4万件以上の捜査令状と召喚状を受け取っているという。そのため、The Washington Postは、「アフターピルの検索履歴、グーグルマップでの中絶クリニックのピン止め、もしくは妊娠検査薬を試すことについてのメールすら、すべてが犯罪の証拠になりえる」と警告している。
一方で、ユーザーは自身で設定することでGoogleのデータ収集を制限することができるが、その設定を自ら行なうユーザーは多くないため、グーグルは制限についての責任をユーザーに押しつけているとしている。
また、GoogleはChromeのシークレットウィンドウを使っていてもユーザーを追跡しているとしてテキサス州から訴えられており、米The New York Timesはデータを削除すると言うグーグルの主張の信頼性に疑問を呈した。
(フロントロウ編集部)