女性向けセルフプレジャーブランド「iroha」PRの犬飼さんにインタビュー
「iroha」の広報・PRを手掛ける犬飼さんに、普段の仕事内容やキャリアを切り開いたきっかけ、やりがいについて根掘り葉掘り聞いてみました。
株式会社TENGAでの仕事内容を教えてください
女性向けセルフプレジャーアイテムブランドの「iroha」と、デリケートゾーン用ケアアイテムブランドの「iroha INTIMATE CARE」の広報・PR業務を担当しています。
広報業務としては、メディアさんからの取材対応や掲載情報の確認、新商品発売時のリリースの作成をしていて、PR業務では、イベントなどのプロモーション施策を企画・実行したり、最近ではフェムテック系のイベントへの出展・店頭販売なども行ったりしています。
今のお仕事に就くまでの経歴を教えてください
大学4年生の時にあるメディアでライターとして活動するなかで「女子大生のリアルな性事情」にまつわる記事も手掛けていました 。執筆当初は周囲の反応が不安な時期もあったのですが、掲載されると周りの友人たちから「普段言えないことを書いてくれて嬉しい!」「もっと女性の本音を書いてほしい!」と意外にも好意的な反応をもらい、そこから女性の性にまつわる記事を中心に執筆するように。
その後同メディアを運営するPR会社に入社し、約3年間は主に企業様のタイアップ記事を専門に執筆するライターとして働いていたのですが、もっとPRの上流から関われる仕事がしたいと思い転職を決意しました。
株式会社TENGAを選ばれた決め手はありますか?
ライター時代の経験とPRという職種を掛け合わせたときに一番しっくりきたのが「TENGA社の広報」という仕事だったため、2019年5月に株式会社TENGAに広報職として入社。以降、会社全体の広報及びiroha/iroha INTIMATE CAREの広報・PRとして従事しています。
株式会社TENGAの社風で誇りに思う部分はありますか?
全員がモノづくりに対してとても真面目で真剣だというところです。TENGAで行う商品のプロモーションやイベントは派手なものが多いため、よく「社員もイケイケな方が多いのでは?」と聞かれることが多いのですが、実際はとても真面目で実直な方が多いのが特徴です。
「モノづくり」にとても強いこだわりを持った会社なので、前職で精密機器の製造に携わっていた社員がいるなど、職人気質な方が多いところも特徴で、そのプロダクトへの強いこだわりは誇るべき点だと思います。
現在のお仕事をするうえで、やりがいを感じるのはどんな部分ですか?
やりがいを感じる瞬間は、「irohaを取り巻く環境の変化」を直に感じる瞬間です。
私が入社した2019年の時点では、まだ「女性がセルフプレジャーをすること」や「セルフプレジャーアイテムを紹介すること」はメディアさんの中でもタブー視されていることが多く、実際にアイテムのご紹介をしに伺っても断られてしまうことも多々ありました。しかし、ここ最近ではフェムテックという言葉の広がりや、生理を快適に過ごすためのアイテムの増加など、自分自身と向き合い、心地よい生活を送ることの大切さが広まったことでセルフプレジャーやアイテムへの見方も変わってきたと感じています。
具体的にどんな変化を感じますか?
百貨店に常設店が出来たり、著名人の方がirohaのファンだと公言してくださったりと、3年前に比べるとirohaを取り巻く環境や、irohaへの反応が大きく変わり、その変化と向き合うことが出来たことは非常にやりがいを感じることが出来ました。また、イベントなどでお客様とお話をしている中で、「元々性に対してオープンになれなかったけれど、irohaは女性の性を肯定してくれる存在に感じるから勇気が出た」と言っていただけることも多く、非常にやりがいを感じます。
しかしながら例えばirohaをご紹介する地域や媒体によっても反応は様々で、まだまだ女性が性を語ることや自由に楽しむことに対してネガティブな反応をされることもあるため、そういった局面にあたるたびに葛藤も感じています。
日々業務をするなかで欠かさず心がけていることはありますか?
「一般の視点を忘れないこと」と「世の中のトレンドや流れを把握すること」は欠かせないポイントかなと思っています。
メーカーに勤めていると、自社で扱っている製品や市場に詳しくなれる一方で、消費者目線がどんどん薄れてしまいそれが企画にも影響してしまうため、常に「自分がirohaに関わっていなかったらどうか?」の視点で振り返れるようにしています。
性に関わるお仕事なので時折狭い視点になってしまいやすいのですが、そのたびに周りの友人やお客様と会話をすることで「一般的な視点や立場」を思い返せるようにしています。
またセンシティブな内容を含むことも多いため、表現には特に注意を払う必要があり、そのため「世の中の流れ」になるべく目を配り、「色んな立場の方がいること」を常に意識するようにし、偏った見方をしないように心がけています。
お仕事を通して社会に与えたいインパクトは何ですか?
会社のビジョンである「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」を実行していきたいです。
この「誰もが」には性別や国籍、年齢を問わず全ての方が含まれているのですが、ビジョンをお伝えすると、「表通りとは例えばみんなの前で性にまつわる話などを大っぴらに語って欲しいという意味なのか」と聞かれることがあります。もちろんそうではなく、あくまで性の話をする・しない、セルフプレジャーをする・しないなど、すべての方が自由に選択できるような世の中になってほしいという想いが込められています。
ビジョンの実現に向けてirohaでも女性たちがネイルをケアしたり、髪をトリートメントしたりするような、日常のセルフケアとして自由にセルフプレジャーも楽しめるような世の中にしていきたいです。
女性向けのセクシャルウェルネス業界全体で課題に感じる部分はありますか?
TENGAで2022年に20~50代の男女800人にとったアンケートでは、「フェムテック」という言葉を知っている方は約2割、「セクシャルウェルネス」に関しては約1割と、非常に少ない結果となりました。プロダクトの使用率も平均約7.7%、最近よく耳にする吸水ショーツでも8%と、じつはまだまだ使用されていないという現状が明らかになりました。
使う必要がない方は使用しなくても良いと思いますし、必ずしも「フェムテック」や「セクシャルウェルネス」という言葉を知っていないといけないということでもないと思うのですが、実際に悩みを抱えている方が多いにもかかわらず、その解決手段となるアイテムを使用したことがない方が多いというのは、ひとつの課題なのかなと感じています。
女性のセクシャルウェルネスという長年タブー視されてきた領域で、ポジティブなインパクトを与え続ける「iroha」。国内屈指の女性のセルフプレジャーブランドとしての知名度や支持を得ているのには、犬飼さんを含む社員の人々の努力があったよう。
ちなみに犬飼さんには、「iroha」のオススメアイテムもたくさん教えていただいたため、そちらは後日公開の記事にて紹介予定。モノづくりにこだわるTENGAが生み出すセルフプレジャーアイテムとは、どんなものなのか? お見逃しなく!(フロントロウ編集部)