※この記事には、『ストレンジャー・シングス』シーズン4のネタバレが含まれます。
VFXチームが支えた『ストレンジャー・シングス』
新型コロナウイルスの影響による撮影の中断を経て、2022年7月にシーズン4の全話が配信開始となったドラマ『ストレンジャー・シングス』。シーズン4はこれまで以上の高評価を得ているといっても過言ではなく、制作陣の手腕が光った。
制作がスケジュール通りに進まなかったことや、感染対策のために撮影が長引いたことはプロデューサーなどにとっては大変だったはずだが、一方でVFXチームにとってはラッキーなことでもあったよう。ヴェクナが登場したことにより、VFXが必要とされるシーンは増えたと感じられる本シーズン。VFXスーパバイザーのジュリアン・ヘリーは、米Colliderでこんな裏話を明かした。
「じつは面白い事実がありますよ。私達は、パンデミックになる前からこのドラマ(のシーズン4)に取り掛かっていました。2年以上前から始めていたんです。パンデミックの前から、いくつかのルックといった素材を発展させ始めていました。そして制作が中断した時も、1つ、2つのシーンをやり続けていました。1つはホーキンスの上空図で、ホーキンスを飛ぶコウモリを追うものです。そして次に、クリール・ハウスに取り掛かりました。このシーンを完成させるためにはアニメーションを変えて、1年半から2年がかかったんです。時間はありあまっていましたから、シーンを進展させていくために非常に長い時間をかけました。とても良かったと思います」
ヘンリー・クリールが住んでいた家であり、裏側の世界でヴェクナが拠点としていたクリール・ハウス。この家のどのシーンかは分からないが、その制作には約2年がかかっていた!
ジュリアンの口ぶりからして、もしパンデミックが起こっていなかったら、もっと手早く完成させていなければいけなかったよう。パンデミックは大変だったが、クリエイター達がこだわりを保てたのは良かったこと。
撮影現場に行けなかった俳優、その出演シーンは合成
ちなみに、シーズン4にはパンデミックが原因でVFXの力を借りた思わぬシーンもある。マックスの心に闇を作ったビリーの死だが、彼を演じたデイカー・モンゴメリーは、ヴェクナによる幻覚のビリーとなって再出演。ビリーのお墓がある墓地でのシーンは、マックス役のセイディー・シンクとデイカーが実際に対峙して撮影したと思われたが、じつはあれは合成。
デイカーはオーストラリア人であり、パンデミック中にはオーストラリアにいたため、撮影時にアメリカへ行くことが出来なかった。監督のショーン・レヴィは米EWのインタビューで、「スケジュールが何回も、何回も、何回も再調整になって、ロックダウンも何度もあり、(感染対策の)ルールのアップデートも何度もあり、厳しい入国制限もあった」と明かし、最終的に撮影はオーストラリアのスタジオでブルーバックの前で行なわれ、ショーンはZoomを通して指示を出したそう。
そして、各地で撮られたマックスとビリーの映像がデジタル技術によって組み合わされて、あのシーンが完成した。異例の困難が多かった制作現場だが、それでもなお高いクオリティを誇るシーズン4を完成させた制作チームには大きな拍手。
(フロントロウ編集部)