『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の主演タチアナ・マスラニーは、「強い女性主人公」という表現が嫌いだという。その理由とは?(フロントロウ編集部)

人間味のあるヒーロー、シー・ハルク

 MCUドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の主人公は、ヒーローやヴィランたちを相手に弁護をする“超人専門弁護士”のジェニファー・ウォルターズ。彼女は、ある事故をきっかけに自分も“シー・ハルク”になってしまった! 悩んだり、怒ったり、マッチングアプリをしたり…、そんな彼女の姿が映し出される予告編がすでに面白いと話題になったが、本編が8月17日にディズニープラスで日米同時配信開始となる。

 主演を務めるのはタチアナ・マスラニーで、ドラマ『オーファン・ブラック 暴走遺伝子』でエミー賞を受賞した経歴を誇る。そんな彼女によると、本作の魅力の1つには女性の友情があるそう。英The Guardianでコメントした。

 「この言葉はバカにした意味で使われることが多いですけど、私にとって、『シー・ハルク』で女性の友情への祝福があることは本当に楽しいことなんです」

 女性が共感できる展開やシーンが多い本作では、タチアナが言う女性同士の友情に加え、ジェニファーがヒーローである自分に悩み、「私はヒーローじゃない」「普通の弁護士でいたい」と話す、人間らしいシーンも。そんなキャラクターを演じたタチアナは、「強い女性主人公」というものが嫌いだという。その理由とは?

画像: 人間味のあるヒーロー、シー・ハルク

 「なぜなら、それは単純な視点すぎるからです。ニュアンスをすべてそぎ落としてしまった感じ。いつもの表現すぎます。その表現は誰にも当てはまらないものです。フレーズにすら苛つきます。なんだか私たちが、そうなれたことに感謝しなきゃいけないみたい」

 “強い”ことは、身体的にでも、精神的にでも良いこととされがち。これまでの映像作品では、男性が主人公の作品が多く、かつ男らしく強い男性像が主人公的立場にふさわしいとして描かれてきた。そのため、女性主人公が増えていくなかでも、強くかっこいい女性キャラクターは多かった。

 しかしここ数年では、強さというものは何かと見直し、新しい人物像、例えば弱さを見せることを恥じないキャラクターなどを主人公的立場で描こうとするような、変化を起こそうと努力する制作陣も少なくない。もちろん、女性だから弱いという描かれ方をしていたとしたら問題だが、ジェニファーのようなヒーローが増えるのは良いこと。

 また、タチアナは女性やLGBTQ+の登場人物を含む作品では、現在ではまだその点に注目が集まることについて、「(軽視されてきた)人々の声が、“オーマイゴッド、全員女性だ”といったものや、“オーマイゴッド、クィアカップルの物語だ”という反応なしに語られることに、非常に興味があります。そしてそれらの物語は本質的に特別だと期待されるようになる」と、未来への希望を語った。

(フロントロウ編集部)

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