9月3日にベルーナドーム(西武ドーム)で行なわれた、レディー・ガガの来日公演の様子をレポート。(フロントロウ編集部)

レディー・ガガの来日公演の初日をレポート

 9月3日と4日にベルーナドーム(西武ドーム)で来日公演を行なった、シンガーのレディー・ガガ。2016年の来日はアルバム『Joan(ジョアン)』のプロモーションのみだったため、日本でパフォーマンスを行なうのは約8年ぶり。ガガも久しぶりの来日を楽しみにしていたようで、公演の4日前から日本入り。

ガガの来日公演は入場前からエンターテイメント

 ガガの公演では、“リトルモンスター(ガガのファンの通称)”が、“マザーモンスター(ガガ)”に見習い、ド派手なスタイルで参戦するのが通例。今回の公演では、アルバム『Chromatica(クロマティカ)』のテーマカラーがピンクだったことから、ピンクをメインにする人が目立ち、それぞれが思い思いのスタイルで参戦。ひと目見ただけでも、ガガの公演を見に来た人と分かるくらい派手な恰好のリトルモンスターたちが目に入り、開演前からお祭りムード全開。会場の外にはガガの旗が立てられており、そこで記念撮影をする人が多かった。

画像: ガガの来日公演は入場前からエンターテイメント

 ド派手なスタイルで参戦する人がいる一方で、杖をついたおじいちゃんのファンや、両親に連れられている小さな子どものファンも。老若男女に愛されるところに、ガガのグローバルなスーパースターとしてのレベルを感じさせる。

 会場に入ると、アリーナの人には遠隔操作で色を変えられるリストバンドが各椅子に置かれ、これを腕に巻いて待機。そして今か今かと待ちわび、定刻を5分すぎたところでライトが一気に消され、ここからガガワールドがはじまった。

大ヒット曲でファンのハートをわし掴み

 ガガの登場をじらすかのように、5分に渡り会場内に流れた映像。この映像で観客の期待がマックスまであがり、ストリングスのイントロが鳴り響くと、ガガの影が登場。

画像1: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 久しぶりのガガの姿に、常時着用が必須だったマスクを着けたままファンは大絶叫。「東京、手を挙げて!」というガガの掛け声から「Bad Romance」、「Just Dance」、「Poker Face」とヒット曲のオンパレード。しょっぱなからファンのボルテージは最高潮で、挨拶がてらとは思えないほど最初から飛ばしまくりのパフォーマンスはファンの心を掴んで離さなかった。

画像2: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 ここからガガの公演は「Act1」「Act2」「Act3」そして「Final」へと続く。

 先ほどまでのヒット曲メドレーは挨拶替わりのパフォーマンスで、本番はここから。Act1の最初を飾ったのは、『Chromatica』から自由にしてほしいと歌った「Alice」。ガガが床に寝転がると、ステージのその部分が上下左右に移動。体制が不安定な状況でも、いつも通りの声量でパフォーマンスをするガガの肺活量のスゴさや体幹の強さに脱帽。

画像3: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 次の「Replay」では、ついにガガが階段下のステージへ降臨。ダンサーに抱えられながら頭を下向きにする場面があり、歌うのにはかなりキツイ姿勢だったが、ここで音程を狂わさず歌いあげるのはさすがプロ。

画像4: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 Act1ではガガの妹であるナタリー・ジャーマノッタが共同創設者を務めるファッションレーベルTopo Studioのアイテムを身にまといパフォーマンス。ここで赤のガウンを脱ぎ、胸元に×マークが貼ってある衣装が登場し、「Monster」へ。

画像5: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 楽曲冒頭にはお馴染みの「ガガと呼ばないで/今までそんなものはみたことない/そんな風に見ないで、/あなたは楽しませてくれる」という言葉を語りかけると、ガガは「マイ・リトル・モンスター」と声が割れるほど絶叫。

Act2ではBLACKPINKに配慮したシーンも

 Act2は、うつや過去のレイプ被害によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)といったメンタルヘルスの問題を抱えていることを公表しているガガが、日頃から摂取している抗精神病薬について歌った楽曲「911」からスタート。そのため、楽曲がはじまる映像部分から「911(※米国の緊急ダイヤル番号)」を彷彿とさせるかのように、救急車の音が。ガガはこの日はじめて「愛してます」と日本語で叫び、日本のファンへ愛を伝えた。

画像6: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 次のBLACKPINKとのコラボ曲「Sour Candy」では、ガガのパートだけが歌われていたが、スクリーンにハングルで「シンサタン」という文字があらわれ、BLACKPINKに配慮する一面も。それからビヨンセとのコラボ曲「Telephone」、「Love Game」と続き、ファンを夢中にさせながら終始盛りあがる曲でファンの気持ちを離さなかった。

画像7: Masanori Naruse

Masanori Naruse

Act3ではファンの元へ

 ゴールドの服に着替えたガガは、「ずっと前から日本が大好きです。東京、今夜は盛り上がってもらうよ」とコメントして「Babylon」へ。その後にパフォーマンスされた「Free Woman」では「愛してます東京」という掛け声ではじまると、歌詞を「No one Harajyuku right now」や「I am bound to set Shibuya in motion」と日本仕様に変えるという粋な演出も。そして歌いながら客席へ降り、ファンの間を通りながらバックステージへ。

画像8: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 バックステージに待っていたのは、木の中にあるピアノ。ここで一息ついたガガは「Born This Way」をパフォーマンスする前にこう語りかけた。

画像9: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 「愛してます、東京。この空間にとても愛を感じています。そして喜びと情熱もひしひしと感じています。今夜の東京には、自分が何者であるかをよく知っている人々がたくさんいるのを、私は見えているし、感じています。もし今自分が誰だか分からなくても、いつの日かわかる日が来ます。そして、誰かに聞かれて何と答えていいかわからないときは、『私はこうして生まれたの』と言うだけです。この曲を東京と、日本全国のLGBTQ+コミュニティーのメンバーへ捧げます」

Act4では社会的メッセージも

 Act4では、海外公演で虫になったようと話題になった衣装で登場したガガは、まだピアノがあるバックステージでパフォーマンスを続行。

画像10: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 ここでは、ガガがブラッドリー・クーパーとW主演を務めた映画『アリー/スター誕生』から、「Shallow」と「Always Remember Us This Way」を弾き語りで披露。「Always Remember Us This Way」の前には、「なによりもクロマティカ・ボールで東京に来たかったんです。そしてここに来られたことに感謝しています。スタジアムの2公演がソールドアウトになったんです。だから、私は日本のすべての人々に愛を捧げたいと思います」と語ると、「That Arizona sky」という歌詞を「That Tokyo sky」という歌詞に変え、天を見上げながらしっとりと歌い上げた。

 このセクションではトークが多く、「今、新型コロナウイルスの感染拡大でとても大変な時期だと思います。だから、今夜のショーに来てくれて本当にありがとうございます。みんな来てくれて優しいですね。最高のショーにします」と語って「The Edge Of Glory」を弾き語りでパフォーマンスし、ファンも一緒に合唱。会場ではスタンドのファンがスマホのライトを点灯させ、アリーナのファンは会場内で配布されていた遠隔ライトで会場を輝かせ、夜空を彷彿とさせるかのように、ファンも一体となってガガのパフォーマンスを援護。

画像11: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 次の曲は、本来であれば「1000 Doves」だったはずが、「Angel Down」に変更。この楽曲は銃社会について書かれた楽曲。ガガは「この曲はアメリカについて書いたものです。なぜなら、アメリカは本当に重要なことについて議論し、意見を異にするからです。それは世界中で起こっていることなんです。だから、いいでしょうか。今夜この歌をアメリカのために歌うことができたら。東京から全力で歌います。聞こえていることを祈ります」と語り、天に投げキスを送り母国にこの歌を捧げるも、曲の途中では「意見をするのはいいことで、アメリカにいようが日本にいようが世界は聞いています。これは全世界の問題なんです」と訴えかけた。

 次の「Fun Tonight」では空気が一変。ガガもノリノリでピアノの椅子の上に立ちながらパフォーマンスし、「Enigma」では再びファンの間を通りながら前方のステージへ戻った。

画像12: Masanori Naruse

Masanori Naruse

フィナーレはアリアナも登場!?

 フィナーレのブロックの1曲目は、ラストスーパートをかけるかのように、『Chromtica』の先行シングルとしてリリースされた「Stupid Love」でスタート。コロナで人々の気持ちがふさぎ込んでいる時にリリースされたこの楽曲。多くのファンが元気をもらえた楽曲のパフォーマンスは大盛り上がり。楽曲の終盤でガガがステージに寝転がると、お次は、アリアナ・グランデとコラボした楽曲「Rain On Me」。ガガが「Stupid Love」の最後で寝転がったのは、「Rain On Me」のMVの冒頭部分を再現するため。この楽曲では、アリアナの歌声も響き、会場が「Rain On Me」を大合唱した。

 ここで公演は終了したが、会場からはアンコールの声がやまない。それに答えるかのように、ガガは再びステージに登場すると、大ヒットした映画『トップガン マーヴェリック』で涙を誘った「Hold My Hand」を披露。「でも君が決めたのなら/私はこの人生を共に歩んでいく/最後まで離さない」と力強く歌い、日本のファンと共に生きていくことを高らかに歌った。

画像13: Masanori Naruse

Masanori Naruse

 ガガはステージから降りる最後の最後の瞬間まで気を抜かず、細部までこだわった演出を見せた。これぞエンターテインメントというステージを披露して盛りあげながら、LGBTQ+コミュニティーや銃社会にメッセージを送り、それについて歌うのは、これまで社会問題に積極的に声をあげてきたガガだからこそ。約8年ぶりの公演では、一皮も二皮も向けたガガのパフォーマンスに圧倒されるばかり。ガガが終始「愛してる」とファンに伝え続けた、久しぶりの来日公演は、マザーモンスターのたっぷりな愛で包まれていた。(フロントロウ編集部)

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