※この記事には、『デリー・ガールズ』シーズン3のネタバレが含まれます。
『デリー・ガールズ』最後の最後を持っていったのは“あの人”
1990年代、北アイルランドのデリーを舞台にしたコメディドラマ『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』が、ついに完結。女子校に通うエリン、クレア、オーラ、ミシェル、ジェームの5人がぎゃーぎゃーと大騒ぎする様子を見ていると笑顔になれるドラマだが、北アイルランド問題も大きく物語に影響しており、最終シーズン3の最終回は心に響くものだった。
そんな最終回の最後の最後で観客が驚いたカメオ出演は、チェルシー・クリントンの登場。シーズン2の最終回では、当時のアメリカ大統領ビル・クリントンがデリーに来ることになり、5人はビルの娘であるチェルシーに手紙を書いていたが、当然ながら返信はなく。この展開が、最終章の最終回で回収されることになったのだ。
『デリー・ガールズ』は、クリエイターで脚本家であるリサ・マッギー自身の10代の頃をベースにした作品で、リサは当時本当にチェルシーに手紙を書いていたのだそう。そのため、シーズン2で手紙のシーンが含まれ、シーズン3の最終回に繋がったのだと、米LA Timesのインタビューで明かした。
「私と友達はあの手紙を書いて、投函しなかったんです。コロナ禍では本当にストレスがあって、何事もとても困難でした。“撮影するのが最も困難なことを最後の最後にあげるよ”というジョークを、締めくくりの言葉として書きました。制作陣はみんな、“これは本当に面白い。でも当然、これを出来る可能性はゼロ”という感じでした。しかしそれについて考えれば考えるほど、“やってみようよ”ってなっていった。
なのでツイッターで、アメリカ人政治家たちのDMに“どうやったらチェルシーに連絡できます?”って送りまくりました。ヤバイ人ですよね。でも幸運なことに、その中の何人かは『デリー・ガールズ』を見たことがあって、私は完全に頭がおかしい奴ではないと分かってくれた。そして最終的にチェルシーとの繋がりができて、彼女もやりたがってくれた。そうしたら撮影前に、じつは(母親の)ヒラリーに会ったんです。最初からあなたに(紹介してと)頼めたじゃん、と思いましたね」
一方で、この終わり方は賛否両論になっている。最終回の最後で、舞台が現代に移る前には、ベルファスト合意のための国民投票で『デリー・ガールズ』のみんなが悩み、投票し、未来へ向かっていくシーンは美しかった。そのため、その後にチェルシーが、しかも最終章最終回の最後を持っていったことには納得のできないファンも多い。チェルシーのシーンはシーズン2の最終回であるべきだったといった意見も見かけられた。
リーアム・ニーソンもカメオ出演
最終章の第1話では、北アイルランド出身の世界的俳優リーアム・ニーソンが警部役で登場。無実の罪で連行され、焦りまくりの5人を前にどっしりとした存在感を放っていたが、保護者としてコームおじさんが登場して状況は真逆に。
勝手に話続けるコームおじさんに対して早々に辟易としてしまった警部。コームおじさんを演じたケヴィン・マカリアーは北アイルランドのFermanagh Heraldによるインタビューで、「彼は才能のある人です。彼のキャラクターがコームの話を聞き続けることに苦しむ演技を前に、真顔を保つのがとても大変でしたよ。彼は、生きる意志を失っていく人を演じるのが非常に上手ですね」とブラックユーモアを交えてコメント。
若手俳優たちも、大先輩のリーアムと共演できたことはとても嬉しかったようで、インスタグラムに写真を公開している。
そんなリーアムが次に登場したのは、最終回のベルファスト合意の国民投票でのシーン。リーアムをそのように登場させるという脚本も、リサの才能が発揮されたと言える。
ちなみに、リサは北アイルランド出身の俳優ジェイミー・ドーナンにも出演してほしかったそう。彼は、北アイルランド問題を取り扱い、アカデミー賞脚本賞を受賞した『ベルファスト』に出演したことが記憶に新しいが、『デリー・ガールズ』へは、スケジュールの関係で出演できなかったという。リサは北アイルランドのBelfast Telegraphで、次のプロジェクトでは彼に出演してほしいと話した。
(フロントロウ編集部)