米カリフォルニア州アナハイムで開催された世界最大のディズニー・ファンイベント「D23 Expo 2022」を取材。いろいろなことに対する感動のあまり、帰りの飛行機で号泣してしまった体験記をお届け。(フロントロウ編集部)

D23 Expo 2022を現地取材してきた

 フロントロウ編集部のエディターが、米カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンベンション・センターにて現地時間9月9日(金)~11日(日)に開催された、“究極のディズニーファンイベント“D23 Expo 2022を取材してきた。

画像: 会場となったアナハイム・コンベンション・センターには、2023年に迎えるディズニー100周年のアニバーサリーを記念したモニュメントも。 ©️The Walt Disney Company/Image Group LA

会場となったアナハイム・コンベンション・センターには、2023年に迎えるディズニー100周年のアニバーサリーを記念したモニュメントも。

©️The Walt Disney Company/Image Group LA

D23 Expoとは?
ディズニーが2009年から2年おきに米カリフォルニア州にあるアナハイム・コンベンション・センターで開催している、ディズニー最大のファンイベント。プレゼンテーション、パビリオン、体験、コンサート、先行試写、ショッピングなど、ディズニーのあらゆるコンテンツが盛りだくさんの3日間を通じて、今年は500人以上のパフォーマーやプレゼンターが登場し、165以上のプレゼンテーションやイベントが催された。

 あらゆるコンテンツを楽しむことができるD23 Expoだが、このイベントにおいて柱になっているのは大きく分けると2つで、まず1つ目は、東京ドームの展示スペースの約5.7倍もの広さを誇るアナハイム・コンベンション・センターの展示スペース全体を使った、ディズニーの貴重な展示ブースたち。

 展示会場では、マーベル・スタジオやルーカス・フィルム、ディズニー・チャンネルといったディズニーのあらゆるスタジオが展示していたそれぞれのブースに気持ちが高まったのはもちろんのこと、特にエディターの感情が揺さぶられたのは、会場に世界各地から集まっていたディズニーファンに取材をした時。

 話を訊いた来場者の1人であるベッキーさんの言葉を借りれば、“堂々とディズニー愛を示しているファンたち”が集結していたこの会場では、多くのファンが大好きなキャラクターのコスプレをして来場。エディターが出会ったすべてのファンが笑顔でインタビューに応じてくれたこともそうだし、嬉しそうに自分が好きなキャラクターのことを話してくれたことや、女性や有色人種のレプリゼンテーションなど、ディズニーが作品やキャラクターを通じて社会に届けようとしているメッセージを力強く代弁してくれたことからは、ディズニーがいかにその作品や世界観で世界中の人々の人生に大きな影響を与えてきたかが伝わってきた。

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 そして、D23 Expoにおける2本目の大きな柱は、言うまでもなく、ディズニーやピクサー、マーベル、ルーカス、20世紀スタジオという、ディズニーのあらゆるスタジオの新作が発表されるショーケース。次から次へとひっきりなしにスターたちが登壇し、目まぐるしいと表現できるほどにサプライズの連続だったショーケースでは、もちろん新作情報の1つ1つに心が躍っていたのだが、ここでも強く印象に残ったのは、ディズニーがいかに世の中の多様性を反映しているかということ。

 1日目にはオープンニングイベントとして、ディズニー・レガシーに貢献した人を称えるディズニー・レジェンズ・アワードが開催されたが、ここではMCU初の黒人ヒーローであるブラックパンサーを演じた故チャドウィック・ボーズマンのレガシーが称えられたり、『アナと雪の女王』シリーズでクリストフを演じる、ゲイと公言しているジョナサン・グロフが、「80年代末から90年代初頭に幼少期を過ごしたゲイ少年として、ディズニー作品のVHSテープは、自分にとって現実逃避や自己表現をするための最初のきっかけでした」と語って少年時代を振り返ったりしたりしたことが印象的だった。

 世界最大のエンターテイメント企業として、レプリゼンテーションを適切に反映すべくキャスティングなどにもこだわっているディズニーだが、世の中に変化を起こそうとする時には、反発も伴うもの。新作についていえば、実写版『リトル・マーメイド』のアリエル役に黒人のハリー・ベイリーが抜擢されたり、実写版『白雪姫』の白雪姫役にラテン系のレイチェル・ゼグラーが抜擢されたりした時には一部のファンから批判が寄せられたが、今回のショーケースで2人がファンの前に姿を見せた時には、会場が万雷の拍手で出迎えた。

 会場の拍手は、ディズニーが自分たちの名作をアップデートしようとしていることを全面的に肯定していたし、何よりも、『リトル・マーメイド』でハリーと共に登壇したロブ・マーシャル監督や、『白雪姫』でレイチェルと共に登壇した邪悪な女王役のガル・ガドットが、“新プリンセス”の2人を支えるようにステージに登壇したのが印象的で、“ハリーもレイチェルも、紛れもなくアリエルで、白雪姫だよ”と、会場全体が2人に伝えているかのような、あたたかい空気が漂っていた。

ショーケースや登壇したセレブたちのレポート

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 そして、レプリゼンテーションを感じたのは作品のキャスティングや来場者たちの言葉だけでなく、ステージに登壇するウォルト・ディズニー・カンパニーの重役たちの顔ぶれからも。同社のボブ・チェイペックCEOによる挨拶から幕を開けた今年のD23 Expoには、各スタジオや各部門の責任者など、ディズニーが展開するあらゆるプロジェクトの責任者たちが登壇したが、重役たちは実に多様な顔ぶれで、ディズニーにおいてはステップアップする上でジェンダーや人種は関係ないよう。一部では、ディズニーが多様性に取り組みはじめたのは近年の話だと批判的に言う声を聞くこともあるが、大企業が時代と共に進化しているならば素晴らしいこと。ディズニーが企業単位で本気でそうした動きを進めているということが伝わってきた。 

 ちなみに、そんなディズニーではコンテンツ単位でも、今後はより世界の各地域にフォーカスした作品の制作を進めていくといい、ディズニープラスをはじめとした同社の動画配信サービスでは、地域ごとのコンテンツを強化していくという。D23 Expoでは、同社でインターナショナル・コンテンツ&オペレーションズ部門のチェアマンを務めるレベッカ・キャンベル氏による、ディズニープラスにおける今後のアジア太平洋戦略についてのプレゼンテーションにも出席してきた。

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 そして、今回の現地取材では、ディズニーの関係者たちは本当に楽しそうに仕事をしているのだということも伝わってきた。エディターはD23 Expo 2022の会場で、幸運にも、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングで東京ディズニーシーを担当しているカーク・ボディフェルト氏と、かつてディズニーでパイロットを務めていたマーク・マローン氏の2人に話を伺うことができたのだが、2人とも、嬉しそうに自分がディズニーで取り組んできたことについて話してくれた。働く人たちが、責任感を持ちながらも、心から楽しく仕事をしているということが、ディズニーが生み出す魔法に隠された秘密の1つなのだろう。

D23 Expo 2022会場で実現した独占インタビュー

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 ちなみに、エディターが今回の渡米でイマジニアの話を聞くことができたのはカーク・ボディフェルト氏とのインタビューが最初ではなく、D23 Expo 2022が開幕する前日には、同じアナハイムにあるディズニーランド・リゾートを訪れて、イマジニアたちとのセッションに参加。ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークにある<アベンジャーズ・キャンパス>の担当イマジニアなどから話を聞いて、その後、実際に<アベンジャーズ・キャンパス>にも足を運んできた。

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 そういうわけで、今回の取材は前日のディズニーランド・リゾート訪問を含めて計4日間にわたって実施したのだが、あまりに濃密だった4日間の取材を終えて、いよいよ帰国する日に。どんなことにも終わりはつきもので、どうにもできない名残惜しさと共に飛行機に乗り込み、日本へと帰国する途についたのだが、その機内で涙が止まらなくなってしまった。

 それは、ディズニーが生み出した魔法に触れながら、怒涛のスケジュールながらも楽しく行なっていた取材を終えて、日本へと戻らなければいけない寂しさからだろうか? いや、確かにそれもあったことは認めるが、それだけではない。今回、D23 Expo 2022で目の当たりにしたのは、世界中のファンを包んできたディズニーの魔法だけでなく、何よりも、それを創り出しているウォルト・ディズニー・カンパニーの企業としての先進性と、その影響力の大きさだった。ディズニーはまずは企業としての舵取りを担う重要なポジションに多様なルーツを持つ社員を登用することで、当然のように社内の人事にダイバーシティを反映させた上で、コンテンツにも世の中のレプリゼンテーションを適切に反映しているのである。

 それはディズニーからの“誰1人取り残さない”というメッセージのようで、そうしたメッセージは、今回のD23 Expo 2022を通して至るところで感じることができた。もちろん、ハリーによる新アリエルやレイチェルによる新白雪姫はその象徴だし、何よりも、集まっていた来場者の全員が笑顔だったということ。「僕たちはみんな同じ人間なんです。同じように感情を持っていて、同じように愛に満ちてます」と、会場で話を訊いたトレイさんは語っていたが、どんな人でも受け入れてもらえる、ディズニーが創り出した空間にいられることを誰もが喜び、嬉しそうにエディターとの取材に応じてくれたということ。会場に漂っていた多幸感は、ディズニーのそうしたメッセージが間違いなくオーディエンスにも伝わっていたことを表していた。

 飛行機で思いがけなく頬を伝った涙は、そんな瞬間の1つを1つを思い出しながら、D23 Expo 2022の会場に確かに存在していた、あたたかくてインクルーシブな空間から離れることが惜しくて流れてきたものだった。果たして、それは魔法の世界にしか存在し得ない空間なのだろうか? ディズニーは確かに魔法を創り出しているのかもしれないが、少なくとも“誰もが受け入れられる世界”は、世の中のベーシックであるべきで、ディズニーが作品を通じて実現しようとしていることはそういうことだ。そして、エディターが感じ取ったディズニーからの“誰1人取り残さない”というメッセージは、言い換えれば、全員で追随しなければいけないということでもある。現在進行形のプロジェクトを360度でプレゼンテーションしていたD23 Expo 2022で、ディズニーはこれからも世界を先導していくことを宣言していた。(フロントロウ編集部)

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