米カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランド・リゾートを取材。担当イマジニアによる解説を受けた後で、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークの<アベンジャーズ・キャンパス>を回ってきた。(フロントロウ編集部)

米ディズニーランドでイマジニアたちとセッション

 米カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランド・パークにて、“究極のディズニーファンイベント”D23 Expo 2022の開催に先立ってメディア向けに行なわれた、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのイマジニアたちとのセッションに、フロントロウ編集部も参加してきた。

画像: (左から)ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのブレント・ストロング氏、ジャネット・ロンボイ氏、マイケル・セルナ氏。

(左から)ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのブレント・ストロング氏、ジャネット・ロンボイ氏、マイケル・セルナ氏。

 今回のセッションに参加したイマジニアの顔ぶれは、サイト・ポートフォリオ・エグゼクティブとしてディズニーランド・リゾートや米ハワイにあるアウラニ・リゾート&スパでの取り組みを統括するジャネット・ロンボイ氏と、共にエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターとして、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークの<アベンジャーズ・キャンパス>などを手がけるブレント・ストロング氏と、マイケル・セルナ氏の3人。

 セッションの冒頭では、ロンボイ氏がウォルト・ディズニー・イマジニアリングについて説明。「ウォルト・ディズニー・イマジニアリングとは、デザインを想像(イマジン)するクリエイティブ集団のことで、世界各地にある、あらゆるディズニーのテーマパークやアトラクション、クルージング船に光をもたらしています。私たちはアーティストであり、エンジニアであり、建築家であり、脚本家であり、コンピューター・アニメーションのプログラマーなのです。皆さんが夢に見ていることを私たちは手掛け、それを創り出しています。私たちはチームとして、ディズニーパークやそこで体験できる魔法を生み出しているのです」とロンボイ氏。

 ウォルト・ディズニー・イマジニアリングに所属するクリエイターたちは、イマジン(imagine)とエンジニア(engineer)を掛け合わせた「イマジニア(imagineer)」という名前で呼ばれている。

 このセッションでは東京ディズニーリゾートへの言及もあり、ロンボイ氏は次のように語った。「東京ディズニーリゾートはディズニーに対して非常に誠実なファンがいる場所です。彼らは、私たちイマジニアが創造するストーリーや高いクオリティの体験を愛してくれています。私たちは現在、東京ディズニーシーがオープンして以来、最大規模の拡張に取り組んでいるところです。『アナと雪の女王』、『ピーター・パン』、『ラプンツェル』のエリアとラグジュアリーなホテルからなる新テーマポート<ファンタジー・スプリングス>の建設をイマジニアたちが行なっています。加えて、東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテルも最近オープンしました」

画像: D23 Expo 2022の会場では、東京ディズニーシーの新エリア<ファンタジー・スプリングス>より、4つのアトラクションの模型やコンセプトポスターがお披露目された。

D23 Expo 2022の会場では、東京ディズニーシーの新エリア<ファンタジー・スプリングス>より、4つのアトラクションの模型やコンセプトポスターがお披露目された。

 ちなみに、東京ディズニーシーに新たにオープンする<ファンタジー・スプリングス>については、アナハイム・コンベンション・センターで開催されたD23 Expo 2022の会場で、エリアの担当イマジニアであるカーク・ボディフェルト氏に独占インタビューをすることができた。<ファンタジー・スプリングス>のコンセプトについてはもちろん、東京ディズニーシーが世界でも“特別なパーク”である理由など、貴重な話の数々を訊くことができたので、詳しくはインタビュー記事をチェックして。

イマジニアの解説を受けて<アベンジャーズ・キャンパス>を回ってきた

 セッションはその後、ロンボイ氏から引き継ぐ形で、ブレント・ストロング氏とマイケル・セルナ氏にバトンタッチ。ロンボイ氏から「アベンジャーズ・キャンパスの主要クリエイターの2人です」という紹介を受けた2人が、2021年6月にディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークにオープンしたアベンジャーズ・キャンパスのコンセプトなどについて説明してくれた。

 ここからは、セッションでのイマジニアたちによる解説コメントを交えながら、実際にエディターがアベンジャーズ・キャンパスを取材した模様をレポートする。

画像: <アベンジャーズ・キャンパス>の中心に位置するのは、アベンジャーズ・ヘッドクオーター。屋上には、S.H.I.E.L.D.が所有するクインジェットが停まっている。

<アベンジャーズ・キャンパス>の中心に位置するのは、アベンジャーズ・ヘッドクオーター。屋上には、S.H.I.E.L.D.が所有するクインジェットが停まっている。

画像: アベンジャーズ・ヘッドクオーターのすぐ側に停められているのは、アベンジャーズ・ビークル。

アベンジャーズ・ヘッドクオーターのすぐ側に停められているのは、アベンジャーズ・ビークル。

 「この中で、自分もスーパーパワーの持ち主となり、スーパーヒーローとしてアベンジャーズの一員になることを夢見たことがある方は?」とストロング氏が世界各地から集まったメディア関係者たちに問いかけると、多くの参加者が挙手。「大勢いらっしゃいますね。アベンジャーズ・キャンパスは、そんな皆さんのためのエリアです。アベンジャーズ・キャンパスでは、アベンジャーズのヒーローたちが集結してその力を見せてくれるだけでなく、皆さんをアベンジャーズに招待して、次世代のヒーローたちをエンパワーすることを促してくれるのです」と続けて、アベンジャーズ・キャンパスの根底にあるコンセプトを教えてくれた。

 「アベンジャーズ・キャンパスについての構想を話し合い始めた時に、私たちが最も重視していたのは、キャラクターたちについてです」と、セルナ氏は説明する。「私たちは誰もがヒーローたちを愛していて、彼らと実際に会い、一緒に何かをしたいと願っています。なので、我々としては、このエリアでヒーローに出会った時に、ゲストたちは彼らとセルフィーを撮りたいと思うだろうということはもちろん想定していましたが、それだけでなく、彼らと一緒にトレーニングをしたいと思うのではないかと考えました。先ほどの話にもあったように、私たちは次世代のヒーローたちを育成しようとしているのです」

画像: エディターはこの日、幸運にもワスプと出会うことができた。

エディターはこの日、幸運にもワスプと出会うことができた。

 アベンジャーズ・キャンパスでは、MCU作品に登場する様々なヒーローたちに出会うことができるが、ここでは、映画とは異なるストーリーが展開されている。例えば、アベンジャーズ・キャンパスで出会うことができるアイアンマンは、映画版とは異なるオリジナルの新型アーマー“マーク 80”を着用している。

 「私たちは、長年にわたって私たちをワクワクさせてくれたストーリーを、ここでさらに拡張しているのです」とセルナ氏。「私たちはオリジナルのアイアンマン・スーツを創りました。私たち独自のスーツになっていますよ。スタジオと一緒になってアイアンマンの新しいスーツの制作に取り組みました。アベンジャーズ・キャンパスでお披露目されたこのスーツは、ディズニー・パークでしか見ることができないものになっています」

画像: パーク内でゲストと交流するアイアンマンをキャッチ。

パーク内でゲストと交流するアイアンマンをキャッチ。

 エディターが『アントマン&ワスプ』のワスプに出会ったように、アベンジャーズ・キャンパスで出会えるのはクラシックなアベンジャーズのメンバーだけでなく、最近の新ヒーローたちにも出会える。MCUには近年、レプリゼンテーションを体現する新ヒーローたちが続々と登場しているが、ここでは、あらゆる人たちが自分と類似した出自を持つヒーローと交流することができる。

 セルナ氏は次のように説明する。「私たちにとって初めてのパキスタン系ヒーローにして、初めてのムスリムのキャラクターであるミズ・マーベルに出会うこともできれば、(初のアジア系ヒーローである)シャン・チーもこのキャンパスにいます。それから、ラテン系である私にとって個人的にも大切なヒーローである、我々にとって初めてのラテン系のLGBTQ+ヒーローであるアメリカ・チャベスにも会うことができます。アベンジャーズ・キャンパスの素晴らしさは、常に成長を続け、時代を反映し続けるというところにあるのです」

画像: この日は、黒人の新キャプテン・アメリカことサム・ウィルソンをチラッとだが見かけることができた。

この日は、黒人の新キャプテン・アメリカことサム・ウィルソンをチラッとだが見かけることができた。

フードもアベンジャーズらしさが満載

 もちろん、アベンジャーズ・キャンパスを没入感のあるエリアたらしめているのは、ここで出会うことができるヒーローたちの存在だけではない。「エンシャント・サンクタムもありますよ」とストロング氏が話すように、『ドクター・ストレンジ』に登場するサンクタムのエリアを訪れることもできるし、至る所でMCUの世界観を体感することができる。

画像1: フードもアベンジャーズらしさが満載
画像: 「夜になるとよりミステリアスな雰囲気に包まれることになります」とストロング氏。サンクタムは夜に訪れるのがおすすめだという。

「夜になるとよりミステリアスな雰囲気に包まれることになります」とストロング氏。サンクタムは夜に訪れるのがおすすめだという。

画像: スケジュールの都合上、体験することはできなかったのだが、こちらはアベンジャーズ・キャンパス内にあるライド<ガーデ ィアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト!>。ゲストがヒーローとなって、捕らわれたガーディアンズのメンバーを救い出すというアトラクションで、「私たち自身もヒーローですからね。私たちはガーディアンズを救うためにアベンジャーズ・キャンパスへやって来たのです」とストロング氏は説明する。

スケジュールの都合上、体験することはできなかったのだが、こちらはアベンジャーズ・キャンパス内にあるライド<ガーデ ィアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト!>。ゲストがヒーローとなって、捕らわれたガーディアンズのメンバーを救い出すというアトラクションで、「私たち自身もヒーローですからね。私たちはガーディアンズを救うためにアベンジャーズ・キャンパスへやって来たのです」とストロング氏は説明する。

画像: もちろん、ゴミ箱にだってアベンジャーズのロゴが描かれている。

もちろん、ゴミ箱にだってアベンジャーズのロゴが描かれている。

画像: ベンチには、ディズニープラスで配信されているMCUの最新ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』にちなんで、シー・ハルクにつながる電話番号が記載されている。

ベンチには、ディズニープラスで配信されているMCUの最新ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』にちなんで、シー・ハルクにつながる電話番号が記載されている。

 そしてもちろん、アベンジャーズ・キャンパス内で楽しむことができるフードもユニークなものばかり。ストロング氏のおすすめは、『アントマン』シリーズにちなんだレストラン<ピム・テスト・キッチン – フィーチャリング・インポッシブル>だという。

 「ちょっとばかり大きなものを食べたいという気分の時には、ピム・テスト・キッチンがおすすめです。『アントマン&ワスプ』をご覧になった方であれば記憶にあると思うのですが、ミッションのために自分たちを巨大化させたり、縮小させたりできるピム・パーティクルというテクノロジーがあります。ここアベンジャーズ・キャンパスでピム・パーティクルとフードを組み合わせて、家族全員を満足させられるようなまったく新しい食事を提供できたら楽しいのではないかと、私たちは考えました。ここには巨大化したプレッツェルもあれば、縮小されたスナックもあります。店内では、ピム・パーティクルについての物語をご覧になっていただくこともできます」

画像2: フードもアベンジャーズらしさが満載
画像3: フードもアベンジャーズらしさが満載
画像: 店内中央にあるマシーンをプレッツェルが通過すると、巨大化して出てくるというユニークなインテリアも。

店内中央にあるマシーンをプレッツェルが通過すると、巨大化して出てくるというユニークなインテリアも。

画像4: フードもアベンジャーズらしさが満載
画像: ドリンクのサーバーも、巨大化したフォークやナイフがモチーフ。

ドリンクのサーバーも、巨大化したフォークやナイフがモチーフ。

 「個人的なお気に入りメニューはインポッシブル・スプーンフル。小さなパスタの上に巨大なミートボールが乗っているというものです」とストロング氏がおすすめしていたので、エディターはランチにそちらをオーダー。

 見た目はこんな感じ!

画像5: フードもアベンジャーズらしさが満載

 一緒に注文した、メインのインポッシブル・スプーンフルよりも目立ってしまった隣のドリンクは、こちらも巨大化された缶をモチーフにした、スーベニアのストラップ付きソーダ缶。せっかくなので、大容量のこの缶にドリンクを入れて飲むことに。この日は比較的暑い日で、歩いていると喉が渇きやすく、ランチ後にもしばらくはアベンジャーズ・キャンパスやディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークを歩き回きながらドリンクを飲んでいたのだが、巨大なこの缶が空になることはなかった。

 アベンジャーズ・キャンパスで楽しむことができるアベンジャーズらしいフードは、もちろんピム・テスト・キッチンのフードだけでない。ここでは、映画『アベンジャーズ』で描かれた印象的な食事シーンでアベンジャーズたちが食べていた、シャワルマを食べることもできる。

 「アベンジャーズのような食事を摂りたいという方は、<シャワルマ・パレス>でアベンジャーズたちのお気に入りフードを食べることができます」とストロング氏。「アベンジャーズたちが自分たちのお気に入りの屋台を、ニューヨークからここアベンジャーズ・キャンパスまで呼び寄せたのです」

画像: こちらがシャワルマを販売しているシャワルマ・パレス。

こちらがシャワルマを販売しているシャワルマ・パレス。

画像: シャワルマ・パレスでは、『アベンジャーズ・エンドゲーム』でアイアンマンがインフィニティ・ガントレットを装着した際の腕をモチーフにしたドリンクホルダーや、ソーのハンマー“ムジョルニア”をモチーフにしたドリンク入れを購入することもできる。

シャワルマ・パレスでは、『アベンジャーズ・エンドゲーム』でアイアンマンがインフィニティ・ガントレットを装着した際の腕をモチーフにしたドリンクホルダーや、ソーのハンマー“ムジョルニア”をモチーフにしたドリンク入れを購入することもできる。

 このように、至るところでMCUの世界観を感じることができたアベンジャーズ・キャンパスは、イマジニアたちの言葉通り、まさに自分もアベンジャーズの一員になったかのような気分になれる、夢のような空間だった。

 けれど、「私たちをヒーローたらしめていることとは、一体何でしょう?」とオーディエンスに問いかけたセルナ氏は、ゲストたち1人1人がヒーローである理由は、アベンジャーズ・キャンパスを訪れているからではないと強調する。

 「毎日野菜を食べることだってヒーローらしい行為ですし、毎朝起きて仕事へ行くことも、Zoom会議に臨むことだってヒーローらしい行為です。私たちそれぞれがヒーローらしいことをしている。そうではありませんか? 私たちの誰しもが、自分の人生のヒーローなのです。ここではそのことを祝福し、共にトレーニングをすることを通じて、自分たちや他の人たちのヒーローらしさを称えているのです」

(フロントロウ編集部)

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