イーロン・マスク氏がツイッターを買い取ったことを受けて、ツイッターをやめる著名人が出てきている。一方で、ヘイトと闘うために逆に留まるというセレブも。(フロントロウ編集部)

ジジ・ハディッドが「安全な場所」ではないTwitterを辞める

画像: ジジ・ハディッドが「安全な場所」ではないTwitterを辞める

 モデルのジジ・ハディッドがインスタグラムのストーリーズに、ツイッターの人権部門に所属していた全スタッフが解雇されたとする情報を引用し、ツイッターを辞めたことを明かした。以下、ジジの声明の全訳。

「今日、ツイッターのアカウントを停止しました。ずいぶん前からそうでしたが、とくに新しいリーダーになってから、ツイッターはますます憎悪と偏見の巣窟になってきていて、私が属したい場所ではなくなってきています。

唯一ファンには申し訳ないと思います。この10年、みんなとツイッターを通して繋がるのが大好きでした。でも、私はあそこがみんなにとって安全な場所であるとは言えませんし、害よりも良い影響を与えるソーシャルプラットフォームであるとも言えません」

ツイッターで何が起きている? イーロン・マスク就任で大荒れ中

 ジジが言う、ツイッターの安全性を害している「新しいリーダー」とは、2022年10月に440億ドル(約6兆5,000万円)でツイッターを買い取ったイーロン・マスク氏のこと。

画像1: ツイッターで何が起きている? イーロン・マスク就任で大荒れ中

 これまでツイッターは、言論の自由を支持する一方で、ヘイトスピーチ(※人種・宗教・性別・セクシャリティなど固有の特性に基づき、集団または個人を標的にした、攻撃的な言論)は厳しく取り締まってきた。

 しかしマスク氏は以前から巨大IT企業のコンテンツの取り締まりに批判的なコメントをしており、マスク氏のツイッター購入はヘイトスピーチを増加させないか心配されていた。そして実際にマスク氏による買収が終結すると、ツイッター上ではわずか12時間で黒人に対する罵語の使用が500%増加したとThe Washington Postが報道。これについては、NBA選手のレブロン・ジェームズも反応して「これは怖いことです。ヘイトスピーチは言論の自由だと言っている不謹慎な奴が多い」とツイートした。

 さらにマスク氏は、ツイッターの社員の約半数を解雇。ジジが投稿で触れたように、人権部門や投稿の安全性をチェックする部門の人々も解雇されていると言われており、ツイッター上での人権侵害の増加が恐れられている。また、マスク氏はツイッター社内での多様性の文化を支えるERG(従業員リソースグループ)を解散させたとも報じられており、“2025年までに幹部の4分の1以上を女性または権限の少なかったマイノリティにする”というツイッターの多様性に対する目標を遅らせる可能性があると危惧されている。

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 そんなマスク氏は就任後、自身がリーダーを務めるツイッターでは「コメディは合法化された」とツイートして、ヘイトスピーチとして取り締まられていたジョークも要因する考えを示唆していた。一方で、マスク氏や買収の件を揶揄する複数のパロディアカウントの凍結や停止は確認されている。マスク氏は2021年にあるユーザーの「西海岸のハイテク(企業)はヘイトスピーチの禁止と嫌いなスピーチの禁止を区別する必要がある」というツイートを引用して「これは非常に重要な違いだ」とツイートしていたが、その批判がブーメランで返ってくるような行動を見せている。

『グレイズ・アナトミー』製作者らもツイッター離れ、“逆に留まって闘おう”の声も

 セレブ界ではジジ・ハディッドのほかにも、グラミー賞受賞シンガーのサラ・バレリス、R&Bシンガーのトニ・ブラクストン、映画『ディープ・インパクト』などで知られる俳優のティア・レオーニなどのツイッターの利用停止が確認されている。

 また、クリエイターたちの間でもツイッター離れの動きがあり、ドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』や『ブリジャートン家』のクリエイターであるションダ・ライムズのほか、ドラマ『THIS IS US/ディス・イズ・アス』のエグゼクティブプロデューサーであるケン・オリン、映画『オーシャンズ13』の脚本家でありドラマ『ビリオンズ』のショーランナーであるブライアン・コッペルマンがツイッターからの離脱を発表した。

画像: 『グレイズ・アナトミー』製作者らもツイッター離れ、“逆に留まって闘おう”の声も

 一方で、“逆に今こそツイッターに留まりヘイトに立ち向かうときだ”という声も強く、ツイッターでは「#IWasGoingToQuitTwitterBut(意味:私はツイッターをやめる予定だったけど)」というハッシュタグと共に、ツイッターに留まる理由を書き込むのが流行。

 ドラマ『スタートレック』の俳優であり、過去にはプラウド・ボーイズというヘイトグループに対抗するラブラブツイートが話題になったジョージ・タケイは、「私はどこにも行きません。この場所がさらに有害になった場合、私は理性、科学、思いやり、法の支配を高めるためにさらに努力することを誓います。ファシズム、誤った情報、憎悪との戦いには、タフな戦士が必要だ。皆さんも私のそばで戦い続けてください」とツイートした。

 ヘイトスピーチについては、社会の「暴力と不寛容を扇動する」と明言している国連は、「ヘイトスピーチに対処することは、言論の自由を制限したり禁止したりすることではありません。ヘイトスピーチがより危険なもの、特に国際法で禁止されている差別、敵意、暴力の扇動にエスカレートしないようにすることを意味します(アントニオ・グテーレス事務総長談)」としている。(フロントロウ編集部)

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