2022年4月にシリーズ3作目となる最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が公開され、4作目となる次回作が待たれる『ファンタスティック・ビースト』だが、新作が制作されないまま打ち切りになる可能性が囁かれている。その理由とは?(フロントロウ編集部)

興行成績が右肩下がりだった『ファンタスティック・ビースト』

 J.K.ローリング氏による大ヒット小説の1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』から70年前の世界を舞台にした映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズ(以下『ファンタビ』)の新作が、これ以上制作されない可能性が浮上している。米Varietyが2022年11月に報じたところによれば、製作の米ワーナー・ブラザースはシリーズ最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が封切られた2022年4月の段階で、4作目となる次回作の脚本を完成させていなかったという。

画像: ©️WARNER BROS
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 米Varietyによれば、米ワーナーの重役たちは『ダンブルドアの秘密』がどの程度成功を収めるか様子を見ていたとのことだが、最終的には、同作の興行成績は成功とは言えない結果に終わった。2億ドル(約265億円)の予算が費やされたとされる同作が世界で売り上げたのは、4億500万ドル(約537億円※)。

 4億500万ドルという数字は決して安くはないが、『ファンタビ』シリーズは1作目『魔法使いの旅』が8億1,400万ドル(約1,070億円)の興行成績をあげたのをピークに、2作目『黒い魔法使いの誕生』の興行成績は20%ダウンして6億5,400万ドル(約867億円)に減少。最新作の4億500万ドルという興行成績は、全8作が公開された『ハリー・ポッター』を通じても歴代で最も低い数字となった。

※興行成績はすべてBox Office Mojoより。

脚本のJ.K.ローリングやメインキャストたちに相次いだスキャンダル

トランスフォビア的な姿勢が問題視されているJ.K.ローリング

 オリジナルの『ハリー・ポッター』シリーズの著者であるJ.K.ローリング氏が初めて脚本を手がける映画として注目を集めた『ファンタビ』シリーズだが、フロントロウでも何度も報じてきたように、ローリング氏は近年トランスフォビア的な姿勢(※)が問題視されてきた。

※トランスジェンダー/トランセクシュアルに対するネガティブな感情・思想・行動。

画像: トランスフォビア的な姿勢が問題視されているJ.K.ローリング

 ローリング氏の姿勢をめぐっては『ハリポタ』や『ファンタビ』シリーズの俳優たちからも賛否が寄せられており、ニュート・スキャマンダー役のエディ・レッドメインは「僕はジョー(ローリング氏の愛称)のコメントには賛同しません」とコメントして、ローリング氏の意見に反対する立場を明確にしている。

グリンデルバルド役がマッツ・ミケルセンに代わったジョニー・デップ

 さらには、『ファンタビ』シリーズのメインキャストにもスキャンダルが。代役を立てるまでの騒動に発展してしまったのが、闇の魔法使いであるゲラート・グリンデルバルドを演じていたジョニー・デップと、元妻アンバー・ハードの法廷闘争。

画像: ©️HEYDAY FILMS/WARNER BROS.
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 2022年12月に示談が成立するまで複数の訴訟をめぐって争った2人だが、ジョニーはそのうちの訴訟の1つである、自身を「Wife Beater(妻を虐待する者)」と表現した英The Sunを提訴した裁判で敗訴。裁判所がジョニーによる暴力を“事実”と判断したことを受けて、ジョニーは「ワーナー・ブラザースから『ファンタスティック・ビースト』で演じたグリンデルバルド役を辞退して欲しいとの要請があり、私はそれを尊重し、リクエストに応じることにしたことをお知らせします」と、スタジオ側から降板を要請されたことを明かして、グリンデルバルド役を降りることを発表した。

 ご存知の通り、ジョニーが降りたグリンデルバルド役にはその後、マッツ・ミケルセンが抜擢。『ダンブルドアの秘密』ではマッツがグリンデルバルドを演じた。

画像1: ©️WARNER BROS.
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何度も逮捕されたクリーデンス役エズラ・ミラー

 そして、警察沙汰にまでなったのが、こちらもクリーデンス・ベアボーンという重要なキャラクターを演じてきたエズラ・ミラー。 

画像2: ©️WARNER BROS.
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 エズラは2022年3月に米ハワイ州で治安びん乱とハラスメントの容疑で逮捕。同月には英ロンドンで『ダンブルドアの秘密』のワールドプレミアが開催されたが、エズラは出席せず。エズラは翌月にも暴行容疑で逮捕されるなど、その後も多くの問題行動を起こして、同年8月にメンタルヘルスの治療を始めたことを公表した。『ファンタビ』シリーズと同じ米ワーナーが制作するDCの新作映画『ザ・フラッシュ』に主演するエズラは同月、スタジオの役員に謝罪したことも報じられた。

元々は全5作の構想、『ファンタビ4』は最速の公開でも2025年に?

 未だ4作目の脚本がないことが伝えられている『ファンタビ』だが、米Varietyによれば、製作が米ワーナーであることを踏まえればこれは「奇妙」なことだという。米ワーナーは『DUNE/デューン 砂の惑星』や、最近になって制作の中止が発表されたものの『ワンダーウーマン 1984』は公開から数日後に続編の制作を発表していたため、米Varietyは『ファンタビ』の続編が発表されていない事態について「奇妙な沈黙」だと評している。

 元々は全5作という構想でスタートした『ファンタビ』シリーズ。予定通りであればあと2作品の続編が制作される予定だったはずだが、2023年になっても未だ続報は入ってこない。米Varietyはこのままだともし続編が公開されても最速で2025年だと推測しているが、果たして。(フロントロウ編集部)

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