5年ぶりとなるケラーニの来日公演が決定
ケラーニが最新アルバム『blue water road(ブルー・ウォーター・ロード)』を引っ下げ、2月15日に一夜限りとなる来日公演を開催。これはケラーニにとって2018年5月以来、およそ5年ぶりとなる来日公演で、2020年にリリースした前作『It was good until it wasn’t(イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント)』での来日公演は実現しなかったため、ファンにとっては待望の来日公演となっている。
5年ぶりにケラーニをここ日本で生で観られる機会が訪れることを記念して、ケラーニのステージを観れば絶対にエンパワーされる理由を解説。ツアーのタイトルにもなっているアルバム『ブルー・ウォーター・ロード』の楽曲にも触れながら、ケラーニのライブがいかにエンパワーメントに溢れているかを4つの視点から紐解く。
来日公演を前に予習!
『ブルー・ウォーター・ロード』注目ソング①「little story」
2022年4月にリリースした最新アルバム『ブルー・ウォーター・ロード』を引っ下げたツアーの一環として行なわれる今回の来日公演。ケラーニが「初めてのゲイ・アルバム」と米The Faceに語っているように、このアルバムは2021年にレズビアンであることをカミングアウトしたケラーニが自身のセクシャリティを探究した作品。ケラーニは米Byrdieにアルバムについて「愛や同性愛に足を踏み入れることについて語っています」と説明している。
そんな『ブルー・ウォーター・ロード』のオープニングを飾るのが、「あなたは私の夢だから」と優しく囁く「little story」。ケラーニはこの曲で元恋人への想いを打ち明けている。「もう一度やって/ペンを持って あなたの物語に私を書き込んで/ラブストーリーは大好きなの/あなたが作家であるときだけ 祭壇であなたに会いたいの/もっと柔らかくなれるように努力する」
①半端じゃないオーラ!自分をとことん貫いてきたカリスマ
まず第一に、ステージに立った時にケラーニが放つオーラが半端ないということ。16歳の時に初めてのタトゥーを入れて以来、現在までに少なくとも11個のタトゥーが入っているという、身体中を覆ったタトゥーにも象徴されるように、ケラーニはずっと“自分”を貫き通してきたことで知られるアーティスト。
楽曲でも自分自身の物語を伝えてきたケラーニは、レズビアンとしての自身のアイデンティティを探究した『ブルー・ウォーター・ロード』についても、「私が男性のオーディエンスを75%くらい追いやってしまったという事実をレーベルが考慮したのかは分かりませんけど」と、米The Faceとのインタビューでレーベルにも忖度しない強気の姿勢を示す。自身を表すプロナウン(代名詞)として、女性を表す“she”とノンバイナリーの人々が使うことの多い“they”の両方を記載しているケラーニは次のように続けている。「数字は数字なので。私は毎年成長しているんです。もし(私の音楽を)聴いた時に、(オーディエンスに)待ち望まれているプロナウンをレーベルが聞いたことがないのだとしたら、それはレーベルの責任ですよね」。
ケラーニはレーベルに媚びないスタンスがむしろ評価されて、『ブルー・ウォーター・ロード』でさらにファン層を広げることに成功し、ファンとの絆はより一層深まることとなった。そして、強気の姿勢で自分を貫くケラーニは、ステージの上でも他の誰かを演じることなく、その歌声とダンスで楽曲の世界観を120%で再現してみせる。
「私の歩き方は個性的だし、私の存在だって個性的。服を着ている時の私の感情も個性的。私のパフォーマンスだって個性的。だって、キャラクターを演じる気にはならないから。自分自身を過度にセクシーにする必要はありません。特定の視点に立って演じることを止めれば、何もかもが変化するんです。男性たちで埋め尽くされた空間に足を踏み入れる時、私は『アンタたちが私の見た目についてどう思おうとどうでもいい』っていう感じです」と米The Faceに語っている。だからこそ、ケラーニはステージで唯一無二の存在感を放つことができるのだ。
来日公演を前に予習!
『ブルー・ウォーター・ロード』注目ソング②「altar」
『ブルー・ウォーター・ロード』収録曲の中でも最も切ない楽曲の1つと言えるのが、今は亡き愛する人たちに宛てられた「altar」。
祭壇を意味する“altar”がタイトルに付けられたこの曲で、ケラーニは「もし私が火を灯して あなたの名前を呼んで/あなたのプレートを手配したら 一緒にディナーへ行ける/あなたのやり方で食事をシェアしよう/あなたがよく流してた曲をかけてあげる」と歌いながら、「あなたを祭壇に飾って 少しだけ長くここにいる/あなたのために飾り付けてあげる 前にもあなたを感じたけど/今ではより近くにあなたがいる」と語りかける。
②音源以上の歌声!ジャスティン・ビーバーも夢中になった唯一無二のハスキーボイス
ケラーニの大きな魅力の1つは、何と言っても、ステージの上で音源以上のクオリティで再現してみせるその歌声。力強くも繊細で、セクシーさも感じさせる柔らかくて美しい唯一無二のハスキーボイスは、目の前で聴けば絶対にうっとりしてしまうこと間違いなし。
そのスムースな歌声はこれまでに多くのアーティストたちを魅了してきており、ケラーニはフィーチャリング・アーティストとしても引っ張りだこの存在となっている。2017年に『ワイルド・スピード ICE BREAK』の主題歌に起用されて一躍世界にその名前を広めることとなった、Gイージーとの「Good Life」を筆頭に、ゼッドとの「Good Thing」やチャーリー・プースとの「Done For Me」、カーディ・Bとの「Ring」、カルヴィン・ハリスやリル・ヨッティとの「Faking It」など、多くの人気アーティストたちの楽曲にフィーチャリングで参加。
中でも、ジャスティン・ビーバーはケラーニの才能に最も惚れ込んでいる1人で、自身の「Get Me」にフィーチャリングでケラーニを迎えたほか、ケラーニの『ブルー・ウォーター・ロード』に収録されている「up at night」にフィーチャリングで参加して、ケラーニをサポートしている。
ケラーニによれば、ジャスティンからはしょっちゅう電話で“愛”を伝えられているといい、米iHeartRadioに出演した際に次のように明かしている。「彼は(私の)大ファンなんです。しょっちゅう私に電話をかけてきて、『君が世界に向けてやっていることが大好きなんだ』って言ってくれます。『君は今、自由だよね、シスター?』っていう感じに。『大好きだよ。それを伝えたかったんだ。君は世界を変えているし、君は重要なことをやっているよ』って言ってくれるので、私も『ありがとう。本当に感謝してる』って伝えていますよ。彼は本当にそんな感じなんです」。
来日公演を前に予習!
『ブルー・ウォーター・ロード』注目ソング③「up at night」
ケラーニにすっかり惚れ込んでいるジャスティンが参加した「up at night」は、ケラーニとジャスティンが、夜も眠れなくなるほどにそれぞれを魅了している相手への思いを歌い上げるラブソング。2人は真夜中に思いの丈をこう打ち明ける。「他にいい人なんていない/あなたは計算高いと思っているのかもしれないけど/ベイビー、私はそこまで賢くないよ、決してね/あなたのことを考えると夜も眠れない」。
③MCでのメッセージにも注目!セラピーのようなあたたかいステージ
オーディエンスを心から大切にすることでも知られるケラーニは、「ただ祝福するためだけに、誰の指針にも当てはめられないような人たちが1つの空間に集まるのは本当にクールなこと」と米Billboardに語るように、自分の公演に集まるあらゆる人たちを歓迎する。
メンタルヘルスの大切さを訴えてきたケラーニは、英NMEとのインタビューで語った言葉を借りれば「パフォーマンスの途中にセラピーのような MCを挟むようにしてきた」ことで知られるが、同じインタビューで「私はどうすればオーディエンスにインパクトを与えられるのかを考えています。会場を後にするときに何かを掴んだり、学んだり、経験したりしてもらって、それをさらに広めてもらうにはどうしたらいいのかって」とも語っている。
来日公演のステージでは、ぜひケラーニがステージから発するメッセージにも注目してもらいたい。
来日公演を前に予習!
『ブルー・ウォーター・ロード』注目ソング④「everything」
「everything」は、相手が自分にとっての「全て」だと歌う1曲。ケラーニは切ないメロディに乗せて、「あなたの愛は斬新すぎる/ありきたりの人じゃない/ねえベイビー知ってた? 恋に落ちた瞬間から、お互いを頼れるって分かってた/いつでもあなたの元に戻ってくるってね/だってベイビー、私の全てだから」と愛を囁く。
④ステージの上には女性だけ!女性たちと作る圧巻のパフォーマンス
ハリー・スタイルズやリナ・サワヤマなど、近年、意識的に自身のバンドに女性を起用するアーティストが増えてきているが、ケラーニもその1人。ケラーニはバンドやダンサーの全メンバーに女性を起用して、全員が女性というメンバーでパフォーマンスを行なっている。
そして、女性ダンサーたちをバックに、楽曲の世界観に忠実な振り付けで披露されるダンスこそ、ケラーニのライブの魅力の1つ。ケラーニは米Nylonとのインタビューで、最新ツアーでファンに楽しみにしていてほしい部分について訊かれると、「私がまたダンスをしているということにすごく興奮しています。みんなには何年も見てもらえていなかったので」と回答。
「すごく(ダンスが)恋しかった。身体が恋しく思っていたんです。音楽もまさに相応しいようなサウンドでした。そもそも、またダンスするために身体に力をつけるまで時間が掛かってしまったのですが。特に、ダンスしながら歌うとなるとね。ハードではありましたけど、最高ですよ」と続けて語ったケラーニ。女性ダンサーたちとの息ぴったりなダンスには目を見張ること間違いなし。
来日公演を前に予習!
『ブルー・ウォーター・ロード』注目ソング⑤「wish i never」
アルバムでは「up at night」と地続きに収録されている楽曲で、ライブでも同曲と2曲続けて聴きたい楽曲である「wish i never」は、特定の相手と一緒に過ごした時間への後悔を歌った1曲。ケラーニは「私がそうさせない限り相手に勝ち目はない/自分のカードは見せないけど遊んであげる」と歌いながら、「あなたに言ったことは本気じゃなかった/アニメーションのキャラクターになりきっていたの」と打ち明けている。
ジャスティンらを魅了してきた唯一無二の歌声を筆頭に、音源以上のクオリティが約束されているケラーニのステージ。とことんまでに自分を貫いてきたカッコよすぎるケラーニのステージを観れば、女性メンバーだけで構成されるパフォーマンスや、ケラーニがステージから発するメッセージにきっとエンパワーされるはず。ようやく5年ぶりに実現した来日公演は一夜限りとなっているので、絶対に見逃さないでほしい。
ケラーニ来日公演概要
日時・会場
2023年2月15日(水)東京・Zepp DiverCity Tokyo
Open 17:00 / Start 18:00
日本公演公式ウェブサイト https://www.livenation.co.jp/artist-kehlani-767163
サポート・アクト
デスティン・コンラッド,ヌードルス
チケット料金
1F スタンディング 8,000円(税込)+1ドリンクチャージ
2F 指定席 8,500円(税込)+1ドリンクチャージ※
未就学児(6歳未満)入場不可
お問い合わせ:ライブネーション・ジャパン info@livenation.co.jp
チケット販売スケジュール
2023年1月7日(土)より一般発売中。
Photo:ゲッティイメージズ
(フロントロウ編集部)