ユージェニー王女は幼い息子に“何”を教えている?
先週、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでロイター通信とのインタビューに応じたイギリス王室のユージェニー王女が、子育ての優先事項のひとつとして、息子のオーガストに気候変動について教えることを明かした。
近年増えている異常気象や自然災害などの要因のひとつが、気候変動などの環境問題。気候変動が深刻化することは、地球に生きる人間の命や健康も危険にさらされることになる。すでに世界のさまざまな地域で環境の悪化による身体的な悪影響が始まっており、このままでは確実に危機的状態になることが予想されているが、一方で、WHOの発表によると、地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」が掲げる目標(※)を達成できれば、大気汚染の削減だけで世界は2050年までに年間約100万人の命を救うことができるという。
※「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」、「そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる」という長期目標。
「私の息子は2歳から活動家になります。(2月に2歳の誕生日を迎えるので)もうすぐです。すべては彼らのためです。国連海洋特使 のピーター・トムソンと話したのですが、彼は『孫のためにやっているんだ』と言っていました。私も同じ考えです。私たちがこれから行なうすべての決定は、オーガストが何を見て、何をして、どのように生きていくかということのために行わなければなりません」
叔父のチャールズ国王や、従兄弟のウィリアム皇太子とヘンリー王子と同じく気候変動活動家であるユージェニー王女は、自宅をプラスチックフリーにすることを目指しているそうで、オーガストにもちゃんとその理由を教えていると話す。
「家では、できるだけプラスチックを使わないようにしていますし、それを息子に教えようとしているところです。でも、それは戦いなんです。事実や数字を見て、不満や悲観的な気持ちになることもあります。そして、そのたびにもっとやる必要があると思います」
ちなみに、2017年にチャリティ団体「The Anti-Slavery Collective」を共同設立したユージェニー王女は、自身が撲滅に向けて取り組む奴隷制度や人身売買の問題と気候変動の問題は決して無関係ではないと考えているそうで、「現在、奴隷状態にある人は4,900万人と推定されています。気候が脆弱になると、最も弱い立場の人々がその影響を受けることがわかっています。そして、危機が起こるたびに、人々が弱い立場に置かれ、困難な状況に追い込まれることを、私たちはますます目の当たりにすることになるでしょう。だから、気候は本当に密接に関係しているのです」とも語っている。(フロントロウ編集部)