「育休で休めていいね」「産休・育休中にリスキリング(学び直し)したら良い」という考えの背景には、育児・家事への理解の乏しさがある。海外でバズったある母親の投稿を全訳した。(フロントロウ編集部)

「産休・育休とは、次世代を育てることです」

 育休・産休とは何なのか? これに答えた、親向けのポータルサイトマザー・プッカ(Mother Pukka)を設立したアンナ・ホワイトハウスがLinkedInに掲載した文を全訳した。

「企業の皆様への注意喚起です。産休・育休は『休暇』ではありません。また、『素敵なお休み』でもありませんし、『休み』でもありません。それは、予想と、期待と、誕生と、そして生存という材料でできたカクテルです。

 自分を原始的な状態に戻し、乳管の詰まり、縫い目の破れ、血まみれのシーツ、壊れた心、(乳児が寝るように部屋を暗くするために)やみくもにググったブラインドを、裸で乗りこなすのが産休・育休です。

 必要とされている。毎秒、必要とされている。その場にいなくても良いときでも、頭の中で必要とされている。これは仕事です。病欠もない。正当な報酬もない。世界で最も恵まれたポジションだが、度胸と根性(ほとんどの場合、栄光はない)、おっぱい、その他あらゆる極限状態の何かを使う必要がある。

 産休・育友とは最も純粋な幸福です。そして最も対照的な経験でもあります。出産後、オキシトシンハイになりながら公園まで歩いて行き、家に帰ると胎児のような体勢になって産後の気分の落ち込みに屈する。産休・育休とは、最も純粋で、最も醜く、最も驚くべき美しい形での生命であり、自分の飢餓よりも、自分の疲労よりも、自分のニーズよりも上位にいる他人を育てることです。

 産休・育休とは、次世代を育てることです」

 お産で3キロ前後の子どもを産んだあとの身体はボロボロの状態。そして産後、母体にはさまざまな身体的・精神的な不調が起こりはじめる。その状態のまま、すぐに、1日もまともな睡眠が取れない状態で四六時中子どもの世話に翻弄される日々がスタートする。お乳をあげるという行為でさえ激痛と隣合わせであるだけでなく、そもそも母乳を生成するという行為は体の25%のエネルギーを使うとウェスタン・ミズーリ・メディカル・センターはしている(脳みその場合は20%)。身体的にも精神的にも極限状態のなかで子どもの世話をして、子どもが寝ているときは掃除洗濯や買い物リストの作成と言った名前のない家事に追われる。

 一秒も休息が取れない休暇があるだろうか? 睡眠も自分のことを鏡で見る時間もとれていないのに、スキルの学び直しをする時間はどこにあるのだろうか? サポートをすることはもちろん素晴らしいことだが、まずは、社会全体で育児中の現実がどういうことなのかを認識し直す必要がある。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.