スマホやSNSの普及によって、写真フィルターや加工アプリを使うのが当たり前になるなか、加工アプリで補正した写真をきっかけに、美容クリニックを訪れる人が増えているという。ソーシャルメディア時代の美意識はどうなっていくのか。(フロントロウ編集部)

「なりたい顔」はSNSの中に

 写真フィルターや加工アプリの普及をはじめ、コロナ禍での在宅時間が多くなったことによる画面越しのコミュニケーションの増加により、画面上の顔と現実のギャップを感じる人が増えている。

画像1: 「なりたい顔」はSNSの中に

 それは自分の顔だけでなく他人の顔においても同様で、20~30 代の男女約800人に行なった「ソーシャルメディア時代の美を巡る問題」のアンケート結果※1によると、SNSで見かける友人や知人の顔にギャップを感じている人は6割、モデルやインフルエンサーが加工していると感じている人は7割と、SNS上で目にする他人の顔は加工の割合が上回っている。

 また、同アンケートの結果では3人に1人以上が、モデルやインフルエンサーが加工しているのを分かったうえで、その顔に憧れたことがあると回答。実際に、加工されたインフルエンサーなどの写真を見せて、その姿に「なりたい」と美容クリニックを訪れる患者は増えているそう。

画像2: 「なりたい顔」はSNSの中に

 自分自身の顔についても「加工アプリで補正された顔」を理想とする若年層も出てきており、実際に補正された写真の方が「自然で美しいフェイスライン」だと感じてクリニックを訪れることも増え、医師が「加工であって自然ではありません」と誤解を解くケースもあるという。

 昔から憧れの顔などは存在していたが、現代ではその顔が「加工の顔」になっている傾向がみられている。

加工によって現実の美的感覚に影響が出ることも

 美的感覚は時代の流れでつねに変化していくものながらも、加工アプリを通じた変化については不安の声も上がっている。なぜなら、加工された写真の影響によって、現実の美的感覚にくるいが生じる可能性があるから。

画像: 加工によって現実の美的感覚に影響が出ることも

 2021年に英国のメンタルヘルス財団、化粧品開業医合同評議会、および英国美容評議会が共同で発行した、美容整形に関する新しいガイダンスでは、若年層の画像加工の影響について注目。

 そのガイダンスでは「ソーシャルメディアの画像は、完璧に見せるためのフィルターで加工・補正されている」ことに触れ、非現実的な画像を、自分の理想の身体に当てはめないよう注意喚起がされている。

現実と加工のギャップを埋めるには?医師が語る「現実的な美しさ」

 では美容医療が身近になり、新たなセルフケアの選択肢として選ぶ人が増えている今、この現実の自分と加工のギャップを埋めるために、美容医療はどのような役割を果たせるのだろうか。

画像: 現実と加工のギャップを埋めるには?医師が語る「現実的な美しさ」

 これについて、医療法人社団 喜美会 自由が丘クリニック 理事⾧の古山登隆医師はこう話す。

「実は『美しい顔』にすることだけを考えて施術をすると、施術後の顔はほぼ同じになってしまいます。本来その人が持っていた個性がなくなり、美しくても、いわゆる『量産型』のような顔になってしまいがちです。加工アプリで補正した顔が似た感じになるのも、同じような理由でしょう。しかし、正しい知識と豊富な経験を持つ医師ならば、それぞれの患者さんが持つ魅力を客観的かつ的確に伝えつつ、さらに魅力を引き出せることがあります。加工アプリによって生まれる美とは違う、個々の人が持つ現実的な美のすばらしさを伝えられるはずです」

 また古山医師は、画像の加工技術が進化するにつれて、医師の役割はこれまで以上に必要とされるようになっていくとつづける。

「加工アプリで補正された同じような顔が世の中にあふれてくると今度は、今まであまり美しくないと考えられていたパーツや、自分が欠点だと思っていた部分が『個性』に変わり、うらやましがられる時代がくることも考えられます。美のトレンドは、日々変わっていくものです。今はイヤだと思っている自分の顔や体が、いつの間にかポジティブに捉えられる可能性もあることを、ぜひ覚えておいていただきたいです」

 現代は、他人との比較が容易にできてしまううえ、情報やトレンドの消費が早い。だからこそ、自分だけが持てる個性や現実的な美しさをいかに大切にできるかというのは、とても大切な視点。美容医療を受ける人は、どんな施術を受けるかを熟考するだけでなく、良き相談相手となってくれる信頼できる医師を見極めることにも時間を費やすことを惜しんではいけない。

※1 「加工アプリと理想の美に関するアンケート」調査概要 マイナビ調べ /調査対象:20歳~39歳の男女 有効回答806名/調査期間2022年10月3日~10月4日

(フロントロウ編集部)

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