2023年の第29回SAGアワード(全米映画俳優組合賞)は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の圧勝! そのほかにも、アンドリュー・ガーフィールドとサリー・フィールドが再会したり、ジェナ・オルテガが気まずかったり。(フロントロウ編集部)

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で史上初の連続!

 全米映画俳優組合の会員である俳優たちによる投票で受賞者が決定し、部門は演技賞のみという特徴を持つSAGアワード(全米映画俳優組合賞)の授賞式が、2023年も開催。今年は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の圧勝! アンサンブル演技賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞の4部門を制覇した。ミシェル・ヨーの主演女優賞と、キー・ホイ・クァンの助演男優賞はこれまでにアジア系俳優の受賞がなく、2人は史上初の功績。さらに1つの作品による4部門受賞は史上最多! 

 そして、アンサンブル演技賞の受賞スピーチでは、劇中でおじいちゃんのゴンゴンを演じたジェームズ・ホンが思いを語ったが、アワード史に残る傑作として話題になっている。2月22日に94歳となったジェームズは、中国語で「家族や友人、今夜みんながここにいてくれてとても嬉しい」と話し始めた。あわててミシェルが英語で訳したのだが、ジェームズはアメリカ育ちで英語はネイティブ。すると彼は、英語でこう続けて、会場からは笑いと拍手喝采!

 「じつは、これが香港でも放送されるかもしれないから言いました。だってどうなるか分からないでしょう?来年もテレビ局はこれを放送する考えを変えないことを願います。私が初めてSAG会員カードをもらったのは、70年くらい前です。私の初めての映画はクラーク・ゲーブルと一緒でした。でも当時は、これを話さなければいけませんが、主演は目をテープでつり目にして、こんな話し方をする人達に演じられていました。プロデューサーは、アジア系は実力がないし、興行成績も良くない、と。しかし、今私たちを見てみなさい!」

 さらに彼は、共演者のジェイミー・リー・カーティスや、監督デュオのダニエルズをイジるユーモアセンスを見せて、会場を大笑いの渦に巻き込んだ。

 「私たちは全員中国人ではありません。でもジェイミー・リー。リーは良い中国名です。じつは私の母の名前はリー・スイ・ワなので、彼女をとても身近に感じます。そしてこの映画で、こんな奴らと一緒にこんなに楽しい時間が過ごせるとは。あとプロデューサーはどこ?手をあげて。彼らが脚本を書いている時に何を考えていたか分かりません。皆さんは全部理解したんですか?2、3回見に行ったら、分かるかもしれないけど…。彼らはクレイジーなことをしていて、1日の始めにはゲームをしていたんです。あのダニエルボーイズ。彼(ダニエル・シャイナート)はアジア系ではないですが、そこは大目に見ています。なので、100歳になったらまたここに戻ってきたいです」

 94歳なのにユーモアセンスがありすぎるジェームズのスピーチは大喝采。ここで終わるかと思いきや、ジェームズは“話し始めると止まらないおじいちゃん”だった。その後も彼は話し続け、周囲もスピーチの時間が大幅に過ぎていることを分かっているため、少し焦る様子もあったのだが、94歳にしてスピーチの場を得たレジェンドを誰が止められるというのか。彼がおしゃべり好きなのは知られたことのようで、ミシェルはスピーチの初めに「49秒だよ」と伝えていたが、結果、4分半にもわたって会場を盛り上げたのだった。

 「SAGは素晴らしい団体です。これを言わなければいけませんが、私が理事を務めていた時、チャールズ・ヘッセンが代表で、レオン・ジェームズがメンバーの1人でした。彼は私と他の人々に、30人がいる部屋で、これから何をしようかと話した。そしてそれが、SAGの始まりです!そして今、会場を見てみなさい。みんな。アメリカ全土にいるみんな。何人かはヨーロッパにもいます。分からないけど。ハハハ。君は分かるのかね?私が話すのはこれ終わりです。そうでないとステージから蹴り出されます。でももしそうされたら、ミシェルが言ったことをもう一度言いましょう。『黙って。私はあなたを倒せる!』」

 ※ミシェルは1月に開催された2023年ゴールデン・グローブ賞授賞式で主演女優賞を受賞し、スピーチを時間内に終わらせるよう指示された際に、「黙って。私はあなたを倒せる」と言って話題になった。

キー・ホイ・クァンの涙、ジェイミー・リー・カーティスの愛

 ジェームズのスピーチ以外にも、『エブエブ』キャストの思いは涙を誘った。助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァンは、受賞は自分だけのものではなく、アジア系俳優が活躍できるように変化を求めてきたすべての人の功績だと語った。

 「これは私にとって本当に感動的な瞬間です。先日、今夜私が受賞すれば、この部門を受賞する初のアジア系俳優になると言われました。それを聞いてすぐに、この瞬間は私だけのものではないのだと気がつきました。これは変化を求めてきたすべての人のものです。私が演技から離れた理由は、(アジア系俳優が起用される役の)機会がほとんどないからでした」

 また、各映画祭でミシェルの成功を全力で喜んでいることから、毎回“最高の女友達”として話題になるジェイミーは、自分の助演女優賞の受賞スピーチでもミシェルへの愛を爆発。ジェイミーが「ミシェル!」と言い、会場が「ヨー!」と返し、「ミシェル!」「ヨー!」「ミシェル!」「ヨー!」と大合唱になる一幕があり、彼女の性格とノリの良さが伝わってくる瞬間だった。

『アメイジング・スパイダーマン』のメイおばさんとピーターが再会

 今年のSAGアワードでは、サリー・フィールドが生涯功労賞を受賞。そのプレゼンターを務めたのが、アンドリュー・ガーフィールド! 2人は『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでメイおばさんとピーター・パーカーを演じており、その再会には感動の嵐。

 さらに、米ETがレッドカーペットでサリーのインタビューを行なっていた時に、アンドリューが横から飛び入り参加。サリーはアンドリューとの関係について「私たちの絆はただ続いていくものです。会った瞬間に、彼は“何か手伝うことはある?大丈夫?”って感じなの」とコメントした。

ジェナ・オルテガの奇妙な共演、オースティン・バトラーのエスコート

 また、アワードらしい共演が実現する場面も何度があった。

 ドラマ『ウェンズデー』で有名なジェナ・オルテガは、これまた独特な雰囲気で知られるオーブリー・プラザとプレゼンターペアとして共演。ステージ上で、なんで自分たちがペアにされたんだと文句を言う2人だったが、最後には息の合った掛け合いを見せて、会場を笑わせた。

 また、『ホワイト・ルータス』のジェニファー・クーリッジがテレビ部門でドラマ部門女優賞を受賞した時には、オースティン・バトラーが彼女をステージまでエスコート。これにはジェニファーも感激だった。

(フロントロウ編集部)

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