FBIの行動分析課(クリミナル・マインド)、米海軍の犯罪捜査班(NCIS)、NYの警察と検察(Law& Order)など、犯罪捜査の舞台裏で活躍する組織は多くのヒットドラマの題材になってきた。今回、イギリスで最も秘密の多い機関のひとつを舞台にした捜査ドラマ『GCHQ:英国サイバー諜報局』がスターチャンネルEXで日本初上陸。現実に「起こりうることであり、実際に起こったこと」だという“未宣戦争”の中心で闘う若手キャストたちからドラマの魅力を聞いた。

イギリスが誇るMI6と並ぶ諜報機関「GCHQ(政府情報機関)」とは

画像: GCHQは建物の形状から「ザ・ドーナツ」の異名でも知られている。

GCHQは建物の形状から「ザ・ドーナツ」の異名でも知られている。

 GCHQは国家安全のための情報の収集・解析を行なっている英機関。第二次世界大戦中にドイツの暗号機エニグマを解読したことで有名だが、難問パズルを出して人材募集をする、60万人以上の参加者が誰ひとり解けなかったクイズを出す、といったユニークな採用・広報活動でも知られる。その一方で活動内容は公にしておらず、有名だが内情は知られていない秘密機関

 『GCHQ:英国サイバー諜報局』は、徹底したリサーチをもとにした作品作りで知られるBAFTA受賞監督兼脚本家のピーター・コズミンスキーが5年の歳月をかけてリサーチして作ったドラマ。イギリス国内にて水面下で起きているサイバー戦争をテーマにしながら、GCHQ局員専用のSNSや局内の機密保持ルールといった、機密機関GCHQの独特の世界観を詳細に描いている。

画像1: メイジー(キャシー役)

メイジー(キャシー役)

「(GCHQでは)自分が担当しているプロジェクトで許可を得ていない人とは話せないという区分けがありますが、家に帰っても、家族やパートナーなどにも自分がやっていることについて話すことはできません。だから、いろいろな意味でバブルの中にいるようで、とても孤立します。また、GCHQには“バーンバッグ”というものがあります。どんな情報も外に持ち出すことができないので、文書やファイル、ハードディスクを分解してから外に持ち出すという、秘密主義の徹底ぶりも素晴らしいですね」

これが近未来の戦争!? 水面下で起きる「サイバー紛争」の真実

画像: ロンドン大の学生であるサーラ(ハナー・ハリーク=ブラウン)のインターン初日にロシアがイギリスにサイバー攻撃を仕掛ける。

ロンドン大の学生であるサーラ(ハナー・ハリーク=ブラウン)のインターン初日にロシアがイギリスにサイバー攻撃を仕掛ける。

 ドラマは、プーチン政権下のFSB(連邦保安庁)によるサイバー攻撃で英国内にて通信障害が発生するところから幕開け、GCHQは米NSA(国家安全保障局)と協力して報復作戦に出る。エピソードが進むにつれて社会の見方をひっくり返す描写が続くなか、最も衝撃的なのが、現代におけるロシアの強力な侵略兵器とされる、ソーシャルメディアやAI技術を使った情報操作の裏側。

 この情報操作は、相手国民のフリをしてSNS上で人工的に公衆の“意見”を作り出すことで、デジタル世界のエコシステムを混乱させて、相手国内の分断と混乱を招くというもの。このなりすまし投稿は現実世界でGoogle、Facebook、Twitterが大きな問題として認識しているもので、2016年の大統領選の結果に大きな影響を与えたと見る専門家もいる。さらにAIの技術発展で驚異はさらに深まり...。このサイバー戦争は、社会の水面下で堂々と“宣戦布告なし”で起きているこからこそ、インパクトがあるとキャストたちは口をそろえる。

画像: ハナー(サーラ役)

ハナー(サーラ役)

「ピーターは綿密なリサーチで知られていますが、この作品は(リサーチ力が他の作品の)比ではなく、この物語で起こることはすべて、起こりうることであり、実際に起こったことなのです!」

画像2: メイジー(キャシー役)

メイジー(キャシー役)

「このドラマで描かれている技術的なことはすべて、ごく近い将来に可能になること、既に可能なことです。でも、このサイバー世界の力について理解している人はあまりに少ないと思います。ドラマ同様の新しい種類の戦争はすぐそこに迫っていて、その現実を知ることが重要です」

画像1: ティナティン(マリーナ役)

ティナティン(マリーナ役)

「 (ドラマを観るべき)一番の理由は、世界を見る角度を変えてくれることだと思います。それは、可能性のある未来であり、未来、そして私たちの世界の中に隠された世界という非常に興味深いコンセプトです」

“異なる偉大な頭脳”が集まるGCHQ

画像: GCHQの作戦本部長ダニー(サイモン・ペッグ)は部下であるエージェントからも上司である長官からも信頼が厚い。

GCHQの作戦本部長ダニー(サイモン・ペッグ)は部下であるエージェントからも上司である長官からも信頼が厚い。

画像: GCHQ古参者であるジョン(マーク・ライランス)は局内では厄介者扱いだが、深い経験と知識でサーラの良き理解者となる。

GCHQ古参者であるジョン(マーク・ライランス)は局内では厄介者扱いだが、深い経験と知識でサーラの良き理解者となる。

 GCHQは「偉大な頭脳が異なる考え方をすることが成功に導く」というフィロソフィーを掲げており、各分野のエキスパートを集めるため、ベテランから学生インターン、さらには他国の諜報員まで、幅広いバックグラウンドを持つ人材が活躍する機関だが、劇中でも、ベテランから若手まで個性的なキャラクターが登場する。

 GCHQのエージェントを引っ張る作戦本部長のダニー役としては、サイモン・ペッグが登場。政府との政治面は自らが請け負い、現場では素晴らしい判断力と温かみで部下を指揮する最高の上司を演じる。変わり者のベテラン諜報員ジョン役には、アカデミー賞受賞俳優のマーク・ライランスを起用。すべてがデジタル化される前の時代を知るエージェント役で、物語の進展に大きく関わっていく。

 そして、今回のインタビューに登場した若手キャスト3人も、異なるスキルとバックグラウンドを持つ若い天才たちがストーリーを進めるキーパーソンとなっていく。

若手女性キャストたち

画像1: この脅威は「起こりうること」ー『GCHQ:英国サイバー諜報局』キャスト3人が語るドラマのリアリティ

サーラ・パーヴィン
GCHQに学生インターンとして入局した21歳。バングラデッシュ系イギリス人。信仰心の強い母親に反して、ヒジャブは着けず、ボーイフレンドと同棲中。家族の中で父親だけが彼女を理解している。

演:ハナー・ハリーク=ブラウン
サーラのように業界の新人。ロンドンのムスリム家庭に生まれた南アジア系女性で、本作がドラマ出演2本目にして主演。2023年夏公開の映画『バービー』にも出演しており、CartierやRoberto Cavalliなどのハイソサエティイベントにもお呼ばれ中の注目株。

画像2: この脅威は「起こりうること」ー『GCHQ:英国サイバー諜報局』キャスト3人が語るドラマのリアリティ

キャシー・フリーマン
軍・警察関係者の一族出身の米NSA諜報員。データアナリストとしてGCHQに2年間派遣され、数少ない有色人種の若い女性であるサーラと仲良くなる。冷静沈着なタイプ。

演:メイジー・リチャードソン=セラーズ
ドラマ『レジェンド・オブ・トゥモロー』や『オリジナルズ』に出演してきた英俳優。役柄と同じくクィア女性。若い女性クリエイターをメンターしたり、女性のためのプラットフォームSHETHORITYを立ち上げたりと、女性のエンパワーに力を入れている。

画像3: この脅威は「起こりうること」ー『GCHQ:英国サイバー諜報局』キャスト3人が語るドラマのリアリティ

マリーナ・ヴェセロヴァ
ロシアの”フェイクニュース工場”グラヴセットで働くジャーナリスト。ウクライナとの交戦中にカメラマンの恋人を亡くし、4歳の娘ミナを持つシングルマザー。

演:ティナティン・ダラキシュヴィリ
ジョージア出身。モデルから役者に転向し、2014年の主演映画『Star』で評価された後、2019年の主演映画『アビゲイル クローズド・ワールド』で国際的な認知を広げる。『タイラー・レイク -命の奪還-2』にも抜擢。

捜査ドラマのもう一つの魅力、濃密な人間ドラマ

画像: サーラとキャシー(メイジー・リチャードソン=セラーズ)の関係は決定済みのシーズン2でより探求されるのではと言われている。

サーラとキャシー(メイジー・リチャードソン=セラーズ)の関係は決定済みのシーズン2でより探求されるのではと言われている。

画像: シングルマザーのマリーナ(ティナティン・ダラキシュヴィリ)はキャリア・プライベート両面で大きな変化が。

シングルマザーのマリーナ(ティナティン・ダラキシュヴィリ)はキャリア・プライベート両面で大きな変化が。

 本作には捜査ドラマのもう一つの魅力である「人間ドラマ」の部分もしっかりと追及している。

 クリエイターのピーター・コズミンスキーはスクリーンに映らない部分まで細かく人物設定をするこだわりぶりだったそうで、キャラクターたちはそれぞれが異なる立場、事情、トラウマを抱えており、それが彼らの決定や行動に直接的な影響を及ぼしていく。さらに、サイバー戦争の舞台裏では若手たちの恋愛も起こる。同じ若い女性エージェント同士のリスペクトから接近したハナーとメイジーの関係は同僚以上に発展していくが、ハナーには同棲する恋人がいて…。そしてロシアでは、シングルマザーであるマリーナと武器商人の息子ヴァディームの間に恋愛が生まれる。

 テロや攻撃はハッキリとした善悪で語られやすいが、本作ではキャラクターたちに人間性を持たせて深い人間ドラマを展開することで、異なる視点から時事問題を見る機会を与えている

画像: ハナー(サーラ役)

ハナー(サーラ役)

「 サイバー戦争や政治をテーマとした作品でもありますが、私が最も共感したのは、サーラのように向上心や野心を持つ若い女性の姿が描かれていることです。南アジアの女性であることで、多くの障壁に直面していながらも、彼女は自分の望むものを追い求めるという高い意欲を持っていて、信じられないほど聡明です。野心的な若い女性が自分のやりたいことを追求し、邪魔をするものには『どうでもいい』と言うのです。それは必ずしもベストな行動ではないし、無鉄砲とも言える行動をとることもあります。でも、その意欲と野心は、多くの若い女性が持つべきもので、素晴らしいメッセージなんです。テック業界だけでなく、私の仕事でも、自分の価値を知り、それを追求するというテーマは、とても心に響きました」

画像3: メイジー(キャシー役)

メイジー(キャシー役)

「とてもシリアスなテーマを扱っていますが、ユーモアや人間性の美しい要素も含まれています。また、素敵なラブストーリーが展開され、驚きと魅力があります」

イギリスとロシアの視点からサイバー紛争を見る

画像: ロシアの情報作戦の中心に投げ込まれるロシア人記者のマリーナ(ティナティン・ダラキシュヴィリ)。

ロシアの情報作戦の中心に投げ込まれるロシア人記者のマリーナ(ティナティン・ダラキシュヴィリ)。

画像: コーダーとして英露サイバー戦争の中心で事態を急転させるヴァディーム(ゲルマン・シガール)。

コーダーとして英露サイバー戦争の中心で事態を急転させるヴァディーム(ゲルマン・シガール)。

 『GCHQ:英国サイバー諜報局』の面白いところは、イギリスとロシアの両方の視点から世界を見ているところにもある。アメリカ中心のストーリーテリングから一歩踏み出して、イギリスとロシアを中心とした諜報活動に光を当てることで、このような状況にイギリスはどう対応するのか? ロシア側にはどのような政治的思惑があるのか? といったポイントを描く。劇中では、ロシアによるウクライナ侵攻やボリス・ジョンソン第77代英首相の退任など、実際の出来事がタイムリーに混ぜられており、それがよりリアリティを出している。

画像2: ティナティン(マリーナ役)

ティナティン(マリーナ役)

「 私はジョージアという小さな国の出身です。この10年、ジョージアは大変な状況でした。このドラマの制作を通じて、意思決定者や政治家について理解を深めることができました。正しい意思決定をすることが重要なのではなく、情報の力が重要だということを実感しました。このドラマはフィクションではありますが、あり得る未来だと思います」

『GCHQ:英国サイバー諜報局』(全6話)

【配信】「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」
<字幕版>独占日本初配信中
※毎週月曜1話ずつ更新 
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0BZZ5J2WX

【放送】 「BS10 スターチャンネル」
<STAR1 字幕版> 8月15日(火)より 毎週火曜23:00ほか 
※8月5日(土)14:00より 字幕版 第1話 先行無料放送
<STAR3 吹替版> 8月18日(金)より 毎週金曜22:00ほか
https://www.star-ch.jp/drama/gchq/sid=1/p=t

Photos: ©︎ Playground Television UK and Stonehenge Films MMXVIII. All Rights Reserved.

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