コーシャス・クレイが「Ohio」でメジャーデビュー
米オハイオ州クリーヴランド出身のアーティストであるコーシャス・クレイが、名門レーベルであるブルーノートと契約。同レーベルと契約後となるシングル「Ohio」をリリースして、メジャーデビューを果たした。
「Ohio」はコーシャスが文字通り自身の出身地であるオハイオ州にオマージュを捧げた楽曲。幼少期からR&Bやジャズに親しみ、大学ではジャズを副専攻として学ぶなど、常に音楽が身近にあったコーシャスはこの楽曲で、ボーカルのみならずベースやフルート、バス・クラリネットを担当しているほか、ミックスまで自身で担当。彼の持つマルチな才能が余すところなく発揮された1曲となっている。
高原を散歩した
無意識のうちにチャンスを掴んでいた
閉ざされたループを追いかけながら
心のなかでフリースローをしながら願いを込める
僕を追い出して
僕を持ち上げて
僕を構成する要素から追い出して
ああベイビー、君はスターになるよ
オハイオ
「Ohio」歌詞抜粋
コーシャス・クレイのここがすごい!
必見のアーティストと言える4つの理由
メジャーデビュー前からビリー・アイリッシュやテイラー・スウィフトらからラブコールを受けてきたコーシャス。ここでは、彼が必見のアーティストだと言える4つの理由を様々なアーティストたちとのエピソードと共に紹介。
不動産屋で働きながらビリー・アイリッシュのリミックスを担当
幼少期から音楽や楽器に親しみ、21歳になる頃には自分で楽曲をプロデュースし、フルートやサックス、ベース、ギター、そしてキーボードを弾くことができたというコーシャス・クレイことジョシュア・カルペ。ワシントン大学在学時には、国際関係学を学びながら、独学で音楽活動を続けていたのだが、卒業後はすぐには音楽の道には進まず。奨学金を返済するためにも、まずは不動産エージェントとして社会人のキャリアをスタートさせた。
そんなときに舞い込んできたのが、後の世界的ポップスターであるビリー・アイリッシュからのオファー。ビリーは当時、SoundCloudにデビュー曲「Ocean Eyes」を発表したばかりだったのだが、彼女の兄で共作者のフィニアスがコーシャスに白羽の矢を立て、同曲のリミックスを手掛けてほしいとオファーした。
そして、まだ不動産エージェントとして仕事をしていたジョシュア・カルペ青年にとって、このリミックスが“コーシャス・クレイ”としての転機に!
「あの楽曲を手がけたときはプロダクションが最小限だったのですが、そのときに『これならもっとできるかもしれない』と思いました。当時はソングライティングよりもプロダクションに気持ちが偏っていたのですが、すぐに楽曲の書き方を勉強しました。自分のなかにはずっと、言葉に対する強い感覚があったのですが、(ライティングとプロダクションという)二つの世界が交わることはありませんでした。それがきっかけで、コーシャス・クレイは今のようになったのです」ー米Billboardにて
テイラーやオリヴィアもラブコール!「Cold War」がいきなり特大ヒット
その後、本格的にアーティストとしての活動をスタートさせたコーシャス。2018年にインディペンデント・アーティストとしてデビューシングル「Cold War」をリリースすると、現在までに1億5,000万回を超えるストリーミング再生を記録するなどいきなりブレイク!
もし僕らが本気で話をしたら
僕のオープンな部分を見てくれる?
僕らが過ごした時間が
修正されたんだ 僕の解剖学で
「Cold War」歌詞抜粋
同曲は音楽ファンの間で聴かれただけでなく、プロのクリエイターたちも虜に。その1人が、7枚目のアルバム『ラヴァー』の制作作業を行なっていたテイラー・スウィフトで、自身の楽曲に「Cold War」をサンプリングさせてほしいとコーシャスにオファー。そして、『ラヴァー』の収録曲「London Boy」に同曲がサンプリングされた。
さらには、当時、自身の監督デビュー作となる映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』の撮影を行なっていた俳優/映画監督のオリヴィア・ワイルドも、「Cold War」を聴いてコーシャスのファンに。撮影中は通勤時に欠かさず同曲を聴いていたというオリヴィアは、最終的に同映画の劇中でもこの楽曲を使用した。
「このアーティストのことを心から尊敬しているし、敬愛している。コーシャス・クレイことジョシュア・カルペは多才なミュージシャン/ソングライター(フルートやサックスの腕前も最高なの)で、ブルックリン育ちでもあるなんて、彼のことを愛さずにはいられない。私たちのサウンドトラックに彼が参加してくれたことを光栄に思う」ーオリヴィア・ワイルド、Instagramにて
ジョン・メイヤーにジョン・レジェンド、コラボ歴がすごい
2019年にはセカンドEP『Table of Context(テーブル・オブ・コンテクスト)』、2021年にはファーストアルバム『Deadpan Love(デッドパン・ラブ)』をリリースするなど、順調にリリースを重ねていったコーシャス。
『Table of Context』の「SWIM HOME」ではジョン・メイヤーと、同作の「SATURDAY MORNING CARTOONS」では日本にルーツを持つシンガーであるUMIとコラボするなど、他のアーティストともたびたびコラボしてきた。
コーシャスはジョンやUMIに加えて、これまでにルエルやレミ・ウルフ、アルーナジョージ、スティル・ウージーらとのコラボ歴がある。コーシャスがこれまでに他のアーティストとコラボしてリリースしてきた楽曲は以下の通り。
BLACKPINKのロゼもカバー!ソングライターとしてもかなりの実力者
本格的に音楽活動を初める前からフィニアスやビリー・アイリッシュを魅了し、デビュー曲「Cold War」ではテイラー・スウィフトの心も掴んでみせたコーシャス。コラボ歴からもわかるように、アーティストたちの間でも彼のファンは多いが、BLACKPINKのメンバーであるロゼもその1人。ロゼはコーシャスの「Wildfire」のカバーを披露したことがある。
コーシャスの音楽の魅力はなんといっても、マルチプレイヤーとしての音楽的な素養を、ジャズやR&Bといった影響源とミックスさせたそのユニークさだが、ストーリーテラーとしてもかなりの実力者。誰もが心のどこかで共感できる楽曲にするために、歌詞を綴る際には個人的な内容にし過ぎることなく、敢えて人それぞれが自由に解釈できる「オープン・エンディング」な内容にできるよう心掛けているとコーシャスは話す。
「人が経験できることというのは非常に限られていて、一定の範囲のことしか自分では経験できません。誰もが愛や感情や不平等さ、資本主義についての考えなど、人間が経験するかもしれないことについて話しますが、僕はそうしたトピックにクリエイティブな方法でアプローチできるように心がけています。(自分の経験を話すことで)人々に人生の生き方を指南するようなことはしたくないのです」ーThe Chicago Maroonにて
誰しもの心の琴線に触れることができるからこそ、コーシャスの楽曲はTVシリーズなどでサウンドトラックとして使用されることも多い。前述の通りデビュー曲「Cold War」が映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』に使用されたように、「Wildfire」がNetflixオリジナルシリーズ『13の理由』で、「Call Me」がドラマ『シェイムレス 俺たちに恥はない』で、「Stolen Moments」が『レジデント 型破りな天才研修医』で使用されるなどしている。
メジャーデビューアルバム『カルペ』が8月18日にリリース
そんなコーシャスは、メジャーデビューアルバムとなる『カルペ』が8月18日にリリースされることが決定! コーシャス・クレイことジョシュア・カルぺのファミリーネームである『カルぺ』というタイトルがつけられた本作は、自身の成長やルーツ、血筋といったものがテーマに。
まさに自らの人生の旅を表現したような内容になっており、本作についてコーシャスは次のようにコメントを寄せている。
「このアルバムは、物語を語るための音楽でありたいと思ったんだ。作品を通して、僕は自分の人生の旅を、家族の過去や現在の自分自身、そしてそれらが未来へどう関わってくるのか、といったことに重ねようとしているんだ」
メジャーデビュー前から様々なアーティストたちを魅了し、ラブコールを受けてきたコーシャスがついにメジャーデビュー。アルバム『カルペ』からは「Ohio」のほか、セカンドシングルとなる「Another Half」もリリースされているので、今のうちにチェックしておいて。
<リリース情報>
コーシャス・クレイ
「Ohio」
配信中
メジャーデビューアルバム
『カルペ』
8月18日リリース
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Photo:©️Meron Menghistab, ゲッティイメージズ