レインボーの腕章が禁じられて物議を醸しているFIFAワールドカップで、女子選手たちがさまざまな方法でレインボー色をピッチに持ってきている。(フロントロウ編集部)

FIFAワールドカップでは「レインボー色の腕章」は禁止

 2022年にカタールで開催されたFIFA男子ワールドカップで物議を醸した、レインボーカラーの腕章の着用禁止措置。同性愛が法律で禁止されているカタールでプレーするにあたり、ヨーロッパのチームのキャプテンたちが「One Love(ひとつの愛)」と描かれたレインボーカラーの腕章を着けたいと申請したところ、FIFAがそれを禁じて大論争に。日本代表の初戦ドイツ戦では、選手たちが写真撮影で口を覆う、FIFAに提供された腕章を見えない位置につける、といったパフォーマンスで抗議を行なって話題になった。

画像: FIFAワールドカップでは「レインボー色の腕章」は禁止

 そして2023年7月から開催中の女子ワールドカップでは、「Unite for ~(○○のために団結しよう)」という腕章が作られた。合計8種からなる新しい腕章はメッセージとしては良いため選手たちに受け入れられている一方で、LGBTQ+の権利保護のような、保守的な国に敬遠されるメッセージを腕章に使うことを避けるための打開策だと冷ややかな反応も出ている。

FIFAが制作した女子ワールドカップ用の腕章

インクルージョンのために団結しよう
先住民族のために団結しよう
ジェンダー平等のために団結しよう
平和のために団結しよう
万人のための教育のために団結しよう
飢餓ゼロのために団結しよう
女性に対する暴力根絶のために団結しよう
サッカーは喜びであり、平和、愛、希望、情熱

 しかしFIFAが禁じても、2023年FIFA女子ワールドカップのピッチにはレインボーが登場している。今回のワールドカップでは、全体の13%近く、少なくとも95名の選手がLGBTQ+であることをカミングアウトしており、これは史上最多数だとOut Sportsはしている。

 そんなワールドカップ前に、レインボーカラーの腕章を着けられたら「光栄だ」と米CNNに語っていた、ニュージーランドのキャプテンであるアリ・ライリー選手は、片方の手のネイルをレインボーフラッグ・カラーに、もう片方の手のネイルをプライドフラッグ・カラーに塗ってプレー。

画像1: FIFAが制作した女子ワールドカップ用の腕章

 南アフリカのテンビ・カトラナ選手は、側頭部のヘアをレインボーカラーにして試合に参加。多くの国で同性愛が犯罪とされているアフリカのなかでも、南アフリカは結婚の平等を支持するなどLGBTQ+の権利の拡大を進めてきた。しかし、Human Rights Watchによると、2021年には差別・偏見が原因の殺人が24件確認されるなど、未だにLGBTQ+に対する暴力が問題になっている。

画像2: FIFAが制作した女子ワールドカップ用の腕章

 さらに選手のほかにも、開催国もレインボーカラーをピッチに登場させている。7月22日にブリスベンで行なわれたイングランドVSハイチ戦では、ハーフタイム中にスタジアム側が屋根付近をレインボーカラーにライトアップした。

画像3: FIFAが制作した女子ワールドカップ用の腕章

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