田舎町の男性2人の愛を描いたカントリー曲「In Your Love」のMVが美しい

ロマンチックにして切ないゲイカップルの愛の物語

　「In Your Love」のミュージックビデオは、年老いた農夫が畑で四つ葉のクローバーを見つけ、炭鉱で働いていた若い頃にフラッシュバックするところから始まる短編映画仕立て。

　ドラマ『ARROW/アロー』などで知られるコルトン・ヘインズとドラマ『YOU ー君がすべてー』などで知られるジェームズ・スカリーが演じる若い炭鉱夫が恋に落ち、ゲイであることが発覚したため2人は炭鉱夫の仕事を辞め、町を出て田舎に引っ越し農業を始めるという展開。ところが幸せな時間も束の間、ジェームスは吐血し病に倒れ、コルトンの腕に抱かれて家のポーチで息を引き取るというなんとも切ないエンディング。ミュージックビデオのラストシーンは、老夫となったコルトンが同じ家のポーチに座り、亡きジェームスと幸せだった日々を回想するシーンで終わっている。

カントリーシンガーとしては異色のテーマに挑戦

　保守層にファンが多いカントリーアーティストが、ゲイであることをオープンにできない、ゲイであるが故にいじめられたり襲撃されたりすることさえある田舎町を舞台に同性愛をMVで描くのは異例のこと。

　同じシンガーのセニョーラ・メイと結婚しているタイラーは、これまで生粋のカントリーソングにフォーカスし、カントリーシンガーとしてのアイデンティティーを不動なものにしているが、NPR Musicのインタビューに対し「私はカントリーの世界では揺るぎない地位を築いていますが、物事に賛同し、そのために立ち上がり、声を上げることは大事なことだと思います」と語り、同性同士の愛を描いたことに確固たる姿勢を示している。アイデンティティや政治的信条を超えた厚いファン層を持つミュージシャンとしてこれからも注目していきたい。

　MVに出演したコルトンとジェームズはそれぞれがゲイ男性。撮影中の舞台裏写真をインスタグラムで公開したコルトンは、「この画期的なビデオに参加できたことに感謝している」とコメントした。

　「In Your Love」は、米時間9月8日にリリースされるタイラーの6枚目のスタジオアルバム『Rustin' in the Rain』からのリードシングル。