1. 初めての単独来日公演がビルボードライブ
サマーソニック2022で初の来日公演を行なったセイレム・イリースが、初めての単独公演でまた日本へやってくる。しかも、会場はビルボードライブという、これ以上ないシチュエーションとなる。
ビルボードライブとは、食事やドリンクを楽しみながらテーブルで着席してライブを楽しめる会場。キャパシティは若干数百人となっていて、ラグジュアリーな店内には、いつも以上に近い距離感でアーティストのステージを堪能できるという、贅沢な空間が広がる。
来日公演を含むツアーに向けたリハーサルの合間を縫ってインタビューに応じてくれたセイレムは、「日本での初めての単独公演をとても楽しみにしています! ものすごく楽しいものになるはず」と、満面の笑顔を浮かべながらフロントロウ編集部に語ってくれた。
「ステージで初めてギターも弾く予定なんです。数ヶ月前からギターを習っていて、すっかり夢中なんです。すごく楽しみ! 単独公演の前に習得することを目標にしていたのですが、いい線行っているんじゃないかなって思いますよ。ステージにちょっとした楽しさを付け加えてくれるはずです。それから、ピアノも弾きますし、もちろん歌もね」と、親近感が倍増する正直さで語ってくれたセイレム。
加えて、セイレムを脇で支えるバンドメンバーは、気心の知れた親友たちという、磐石の布陣が揃う。「今回はバンドも一緒で、メンバーは大学時代からの親友でもあるデヴィッドとジェイコブの2人なので、最高に楽しいものになるはずですよ!」
2. デビューアルバム『ハイ・コンセプト』を世界で最初に披露する機会の一つ
今回の来日公演は、9月15日リリースの待望のデビューアルバム『ハイ・コンセプト』を引っ下げたもの。「アルバムからの曲を披露する最初の機会になります」とセイレムは話してくれたが、ビルボードライブでの来日公演は、セイレムが同作からの楽曲をライブで披露する世界で最初の場の一つという、貴重すぎる機会となる。
「『ハイ・コンセプト』は、ここ数年の間に私が書いてきたお気に入りの楽曲や、お気に入りのコンセプトのコレクションのようなアルバムです」と、フロントロウ編集部に語ってくれたセイレム。彼女はこのアルバムのために4年以上をかけて100曲以上を書き、それを最終的に12曲まで絞ったという。だからこそ、満を持して完成したアルバムには、心からの自信を覗かせる。
「私のソングライティングは、コンセプトや、言葉遊びを思いつくところから始まるのですが、それがこのアルバムの肝になっています。このアルバムに収録した楽曲たちは、ソングライターとして私が特に気に入っているコンセプトを基にした楽曲たちです。サウンドの面でも、過去にリリースしてきた楽曲よりも良いものになっていると思っています。これまでの作品とは違った方向性になっているので、そういう意味でもワクワクしています」
『ハイ・コンセプト』のシングル5曲をセイレム本人が解説!
「日々の生活の中で起こるあらゆることを題材にしています。今回のアルバムもそうですし、私が書く曲はすべて、正直で、実際に自分に起きたことに基づいています」と自身のソングライティングについてセイレムが語るように、巧みな言葉遊びを使いながら日常を題材にしている彼女の楽曲は、誰もが共感できるものばかり。
『ハイ・コンセプト』からリリースされてきた5曲のシングルたちを、セイレム本人のコメントと共にご紹介。
「PainHub」
「TikTokで『PainHub』(※)というフレーズを見つけたんです。新型コロナウイルスの陽性者が増加しているだとか、そういうニュースにハッシュタグで『PainHub』を付けていて。『いいフレーズだな』って思ったんです。私の感情を100%表現していると思います。私自身、そういうネガティブなニュースで定期的に『PainHub』に陥ってしまうので。そういうことにインスパイアされたのですが、愛や交際ではないものをテーマにした曲って書くのが難しいので、そういう意味ではこの曲ではうまくそういうものが書けたと思っているので、とても誇りに思っている1曲です」
※感情的な痛みを伴うウェブサイトを意味するオンラインスラングとして使われている。
「Tall Boi」
「元カレの何人かが連続してまったく同じ身長だった時期があって、どういうわけか、6.4フィート(約195センチ)の男の人たちと連続して付き合っていたんです。その時期は終わったんですけど、この曲はその人たちについて歌っています。『トール・ボーイを乗り越えることほど難しいことはない(Nothing is harder / To get over / Than a tall boy)』っていうコンセプトも気に入っています。彼らは身長が高いので、身体的にも文字通り乗り越えられないわけなので。言葉遊びとしても面白いかなと思いました。それから、2番のヴァースは真実に基づいています。この曲には個人的な細かいディテイルがたくさん詰まっていて、特定の名前も登場しますしね。ゴシップ曲だとも言えます」
「Team Sport」
「『愛(love)には私(I)が無い』というコンセプトから生まれたものです。もちろん、これは『チーム(Team)には私(I)が無い(※)』っていう慣用句から来ています。私はコーラスから書き始めるのが好きなのですが、この曲のときには、『愛(love)には“i”が無い/でもLはある』みたいなところから、書き始めました。『Lには何が当てはまるだろう? “ガッカリさせる(let me down)”、“弄ぶ(lead me on)”、嘘をつく(lie to me)、それから〜』みたいに、Lから始まるフレーズをどんどん挙げていきました。なので、個人的には珍しい形で作った曲だったのですが、今ではアルバムのなかでもお気に入りの曲になりました」
※「There's No I in Team」=“team”という英単語には“I”が使われていないという意味で、スポーツなどにおいて自分(I)優先ではなくチームプレーをすることの大切さを訴える慣用句。
「Strongly Worded Letter」
「K.フレイというアーティストと書いたのですが、私は何年も彼女のファンだったんです。私たちのサウンドが楽しくミックスされたような曲になっていると思います。彼女は荒さを残すようなグランジ的なサウンドのアーティストである一方で、私にはポップのバックグラウンドがありますから。この曲では私が彼女の世界観に足を踏み入れて、ギターの弾き方も学びました。すごく楽しかったです」
「don’t shop when ur hungry !! (feat. vaultboy)」
「2人の友人と一緒に書いたのですが、最初はジョークとして書いていたものでした。『これは良くないね』っていうことで、後から歌詞を全部書き直したのですが、『空腹のときに買い物しちゃダメ(don't shop when you're hungry)』と『孤独なときに愛しちゃダメ(love when you're lonely)』っていうフレーズだけは最初から最後まであったものでした。元々は誰か他の女性アーティストに提供しようと思っていたのですが、自分でレコーディングしてみた後で、自分のものにしようと決めました」
3. もちろんあのヒット曲も聴ける&歌える
入念に準備したデビューアルバムを引っ下げた最新モードのセイレムを観られる今回の来日公演だが、もちろん、これまでにリリースしてきたヒット曲も披露される。“パフォーマンスしていて一番楽しい曲は?”と訊くと、「人生を完全に変えてくれた曲」と話す、セイレムの名前を一躍広めるきっかけとなったヒット曲「Mad At Disney」を挙げてくれた。
「(ヒットしたときはまだコロナ禍だったので)今はようやく『Mad At Disney』の頃からサポートしてくれている人たちに会えることが、とにかく嬉しいんです。みんなのことはちょっとしたファミリーだと思っているので」ーセイレム
デビューアルバムこそリリースしていなかったものの、日常をスナップショットのように切り取る唯一無二のソングライティングで、ユニークな楽曲をシングルとして多くリリースしてきたセイレム。
そんな彼女に、“これまでに特に誇りに思っている曲は?”と話を向けてみると、「Mad At Disney」と並んで挙げてくれたのが、TOMORROW X TOGETHERやDJのアラン・ウォーカーとの豪華なコラボレーションで文字通りPlayStation 5について歌った「PS5」と、ひとりっ子としての自身のアイデンティティを歌った「(l)only child」。
ちなみに、セイレムは「みんなと一緒に歌うのが大好き」だそうなので、これまでのヒット曲たちも一緒に歌えるという、幸福な時間が訪れるはず。
今のセイレムを形作るソングライターとしての経験
ところで、「PS5」で共演したTOMORROW X TOGETHERやアラン・ウォーカーとは、彼らの楽曲でも共作しているように、他のアーティストたちの楽曲を手がける機会も多いセイレムだが、彼らやデミ・ロヴァート、LE SSERAFIM、ベラ・ポーチといったアーティストの楽曲を手がけたり共作したりした経験は、ソロとしての活動にも活きているとセイレムは話す。
<セイレムが携わった他アーティストの楽曲の例>
「他のアーティストたちと一緒に作業するのが大好きなんです。普段と違う役割を担うのは楽しいですし、他の誰かがその人自身のストーリーを伝える手助けをするのもそうです。自分自身の音楽にも間違いなく影響を与えています。才能のあるたくさんのアーティストたちと仕事ができることを幸運に思っています。そういう人たちと一緒に仕事をするたびに毎回学ぶものがありますし、素敵なことだなと思っています」ーセイレム
4. 日本のファッションにも影響を受けた“エモ期”のステージ衣装
セイレムといえば、ポップでカラフルな普段のファッションも魅力で、どんなステージ衣装で来日公演に立つのかも楽しみにしたいポイントの1つ。
セイレムはブロンドだったことから、幼少期のあだ名は“セーラームーン”だったほど、日本のカルチャーとゆかりがあるのだが、『美少女戦士セーラームーン』などの日本アニメと同様に、日本のファッションからも大きな影響を受けてきたと話す。
「日本のファッションが大好き。日本での好きな過ごし方の一つが、ショッピングに行くことなんです」とフロントロウ編集部に話してくれたセイレム。「去年、日本へ行ったときは原宿へショッピングへ行きました。一週間くらい滞在したのですが、その間に10回はモールに足を運んだと思います。日本のファッションってすごくクールですよね!」
普段のスタイルには日本のファッションのエッセンスも入っているというセイレムだが、今回の来日公演で見せてくれるのは、24歳にして初めて経験しているという、“エモ期”にインスピレーションを得た衣装だそう。
「『ハイ・コンセプト』では、自分自身のエッジィな部分によりフォーカスして、実験的に、いつもよりダークなファッションをしたり、ヘビーなアイメイクに挑戦したりということをしています。そういうほうが、アルバムのサウンド面にマッチしていると思うので。今回のアルバムのプロダクションはこれまでになくダークで、ギターに重きを置いた、ロックに影響を受けたようなものになっています。なので、自分自身のスタイリングにもそういう部分を反映したいと思って。私は幼少期に“エモ期”を経験しなかったのですが、それをまさに今、経験しているような気もしています(笑)。今は20代なので、エモ期が遅れてやってきたみたいな感じがして、それってちょっと面白いですよね。いずれにせよ、そういうものがインスピレーションになっています。ノスタルジックで、ロックなスタイルです」ーセイレム
5. ファンに「お土産」を用意している!?
昨年の来日時には、ショッピングなどを思う存分に満喫したセイレム。日本で体験したことはどれも楽しかったそうで、今回もまた同じことを体験したいと思っているそう。
「ミニブタのカフェにまた行きたいです! 前回、原宿にあるカフェに行ったのですが、人生のハイライトの一つになりました。可愛くて、すごく楽しかったです。それから、またカラオケにも行きたいですし、ゲームセンターにも行きたい。前回はUFOキャッチャーに挑戦して、でっかいぬいぐるみをゲットできました。だからもう一回挑戦して、コレクションに加えたいですね」ーセイレム
そして、そんなセイレムが何よりも楽しみにしているのが、ビルボードライブという観客との距離が近いスペシャルな空間で、ファンと交流すること! ファンに渡すためのちょっとしたプレゼントまで今から準備しているそう。
セイレムは日本のファンに向けて次のようにメッセージを送ってくれた。
「日本のファンのみんな! 日本へ戻ってみんなに会うのが待ちきれないよ。何年もサポートしてくれてありがとう。本当に嬉しく思ってる。10月に大阪と東京で会うのを楽しみにしています。みんなに配るためにブレスレットも持っていくつもりなので、絶対に楽しいものになるはず。素敵な時間を過ごそうね。早く会いたい! 大好き!」
デビューアルバムをリリースするタイミングで、初めての単独公演がビルボードライブで実現するという、たまらない条件が揃っている今回のセイレム・イリース来日公演。セイレムのライブを間近で堪能できるこのライブはファン必見の機会となっているのはもちろんのこと、ポップスターたちにソングライターとしても引っ張りだこの存在であるセイレムのライブは、まだ観たことがないという音楽ファンにもぜひチェックしてもらいたい。
セイレム・イリース来日公演概要
【ビルボードライブ大阪】(1日2回公演)
2023年10月9日(月・祝)
1stステージ 開場17:30 開演18:30 / 2ndステージ 開場20:30 開演21:30
サービスエリア¥8,400-
カジュアルエリア¥7,900-(1ドリンク付)
大阪公演公式サイトはコチラ
【ビルボードライブ東京】(1日2回公演)
2023年10月11日(水)
1stステージ 開場17:30 開演18:30 / 2ndステージ 開場20:30 開演21:30
サービスエリア¥8,400-
カジュアルエリア¥7,900-(1ドリンク付)
東京公演公式サイトはコチラ
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