“彼女との共通点が多かった” ケイト・ブランシェットがバーナデット役を語る
映画『6才のボクが、大人になるまで。』がアカデミー賞6部門にノミネートされたリチャード・リンクレイター監督と、幅広いキャラクターの主人公を演じてきたケイト・ブランシェットが、マリア・センプル著のベストセラー小説『バーナデットをさがせ!』(彩流社より発売中)を映画化した『バーナデット ママは行方不明』。
本作で演じたバーナデット役で見事10度目となるゴールデングローブ賞ノミネートを果たしたケイトは、元々、原作小説の大ファン。2012年に出版され、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーに約1年間リスト入りしたほか、全米図書館協会アレックス賞を受賞するなど、文学作品としても高い評価を得て“アメリカで長く愛される”この物語だが、映画化されるにあたり、ケイト自らがバーナデット役を強く熱望したという。なぜ、そんなにも本作に惹かれたのか、また物語との共通点とは...?
原作の著者マリア・センプルと、映画を監督したリチャード・リンクレイターの作品が好きだったというケイト。「2人の全く異なるエネルギーのぶつかり合いは面白かった」と振り返り、天才建築家としてキャリアを築いてきた主人公バーナデットについては、「とても孤独で、素晴らしい、クリエイティブなキャリアがある。マッカーサー賞を受賞した天才で素晴らしい建築家。でも大きな失敗をしてシアトルに逃げ出した」と評した。
そんなケイトは、自身とバーナデットには大きな共通点があると話す。「夫に言われるまで気づいていなかったのだけど…」と、劇作家の夫アンドリュー・アプトンに触れたケイトは、「(映画を撮り終えるといつも)『やりきった、もう演技はしたくない。もうやだ』といつも言っているみたい」と、いつも役者引退をほのめかしていることを告白。しかし、「6ヵ月が経つと夫に『仕事に戻ってくれないか、クリエイティブへの情熱があるのだから』と言われるの」と明かした。
バーナデットは天才建築家としてのキャリアを捨て、娘を育てることに全エネルギーを捧げる。そんな彼女のなかには、クリエイターとしての情熱をアウトプットできないことへのうっぷんが日々蓄積され続ける。ケイト自身も、演技をしていないと夫に「仕事に戻ってくれ」と言われるほど、クリエイターとしての情熱をぶつけるところがないとダメなよう。実際、自身の子どもたちについても「大好きだし365日一緒にいたい」と言いながらも、仕事をしていない日々が続くて「仕事に戻ってほしい」と言われるそう。
自身の実体験から、「父親や母親として何かをしたい衝動もあるならそのバランスを取らないといけない。それがみんなの心と体の健康に良いことなの」とアドバイスしたケイト。本作ではそんな思いを、バーナデットというキャラクターを通して伝える。
「バーナデットには行き場のないクリエイティブへの情熱がある。自分を見つめて落ち込まない人なら悩まないようなくだらないことでも、彼女には違う。情熱をネガティブで可笑しな方にむけてしまうから」。“破天荒だが憎めない愛すべきキャラクター”バーナデットに共鳴した、オスカー俳優ケイト・ブランシェットが魅せる新境地の演技に注目が集まる本作。ぜひ、劇場のスクリーンで鑑賞して。