オランダの美術館から盗まれたゴッホの絵が、3年半の時を経て、持ち主のもとに戻ってきた。(フロントロウ編集部)

「IKEAのバッグ」で持ち運びされたのは“貴重な絵画”

 現地時間9月12日、オランダのフローニンゲン美術館は、3年半前に盗まれたゴッホの絵が無事戻ってきたことをホームページ上で報告した。

 今から約3年半前の2020年3月30日、オランダ・アムステルダム近郊にある、シンガー・ラーレン美術館に何者かが侵入。フィンセント・ファン・ゴッホの絵画を持ち去って逃走した。当時、新型コロナウィルスの流行によりシンガー・ラーレン美術館は閉館中で、その隙を狙われてしまったという。盗まれた絵画は、1884年にゴッホが描いた『春のヌエネンの牧師館の庭』で、フローニンゲン美術館の所蔵物だが、エキシビションでシンガー・ラーレン美術館に貸し出し中であった。

画像: 「IKEAのバッグ」で持ち運びされたのは“貴重な絵画”

 事件の翌年、犯人の男(58)が逮捕され窃盗罪で有罪となったが、絵画は依然として行方不明のままだった。男はすでに絵画を手放しており、犯罪組織の手に渡っていたそう。しかし、絵画の行方を追っていたオランダ警察が、美術探偵のアーサー・ブランド氏に捜査協力を依頼したことで、事件が動き出した。

 ある日、ブランド氏のメッセージアプリ「WhatsApp」に、匿名の男性から、「絵画を引き渡したい」とメッセージが届いた。了承したブランド氏の自宅に、その男性が現れ、青いバッグを引き渡したという。この青いバッグはIKEAのもので、30年にわたって販売されている人気商品。丈夫で何でも入ると評価が高く、貴重な絵画を入れるのにも最適だった様子。ちなみに、バッグの中の絵画は、プチプチと枕カバーに包まれ良好な状態であった。

 ブランド氏によると、男性は絵画を所有し続けることに悩んでいたそうで、窃盗には関与していないことから、特別罪には問われていない。戻ってきた絵画は本物と鑑定され、多少、傷があったものの、修復した後にフローニンゲン美術館で展示される予定だと、シンガー・ラーレン美術館の館長は話している。

This article is a sponsored article by
''.