【あらすじ】ジェニファー・アニストン&リース・ウィザースプーン共演ドラマ
大手テレビ局UBAの朝の看板番組『ザ・モーニングショー』。シーズン1で長年のホストであるミッチ(スティーヴ・カレル)がセクハラスキャンダルのため番組を去ったあと、アレックス(ジェニファー・アニストン)はブラッドリー(リース・ウィザースプーン)が共同ホストとして顔を務める。
配信サービスの台頭でネットワークテレビ局の将来が疑問視されるなか、シーズン3では、ビリオネアの実業家ポール(ジョン・ハム)がUBAに関心を持つ。CEOのコリー(ビリー・クラダップ)は、宇宙開発も手掛ける実業家のポールに出資させようと計画し、キャスターのアレックスを宇宙船に乗せようと画策。こうした買収交渉の最中、UBA局がサイバー攻撃を受け、情報が流出してしまう。情報の漏洩は深刻で、役員の人種差別発言、人種による賃金格差、さらにはブラッドリーの性的指向に関する情報まで含まれていた。
【サク読みレビュー】『ザ・モーニングショー』シーズン3
全員が自分のサクセスしか頭にないと言えるほど過酷な競争が起こっている朝の情報番組の世界を舞台に、職場での人間関係、上層部の社内政治、プライバシー問題、仕事への忠誠心など、議論を呼ぶ多くの興味深い質問を観客に投げかけてきた『ザ・モーニングショー』。
番組のメインキャスターだったミッチのセクハラ問題の追求描写は、シーズン2で一段落。シーズン3では、コロナが落ちついた現在のテレビ局の「生き残り戦略」に焦点を当てながら、社会の富と権力を掌握する上位1%の富裕層や、ランサムハッカー集団、人種間の賃金格差など、アメリカの時事問題にテーマを広げる。
特筆したいのは、このドラマを制作するチームのブレない姿勢だ。本作は、テレビという巨大なメディアの裏側で進行中の変革の過程を、内側からの視点で追求しようとする「挑戦」を感じさせるドラマとして注目を浴びたが、シーズン3でもその姿勢は続く。自分たちの職場に潜む闇に切り込んでいるわけだが、遠慮や忖度を感じさせず、埋もれている声を拾いあげ映像化していく真摯な姿勢は、ドラマでありながらジャーナリズム的な気概も感じる。
一方で本作は、社会問題をテーマにした品格のあるドラマなのか、人間ドラマを楽しむ昼ドラなのか、メディア風刺なのか、番組のトーンが分からなくなる不安定さがシーズン3でも続く。リース・ウィザースプーンやジェニファー・アニストンのような大物俳優の演技力があるからこそ観続けられるという声もなかにはあるが、それはそれで褒め言葉ではないだろうか。