「世界が悪や憎しみであふれている」せいで「人間にもうあまり希望が持てない」。そんな言葉に、ホロコーストを生き延びたベン・レッサー氏はどう答えたのか?

ベン・レッサー氏「私はその逆だと思っています」

 1928年にポーランドで誕生したベン・レッサー氏は、アウシュビッツやブッヘンヴァルトを含むいくつかのゲットーや強制収容所を生き延びたホロコースト生存者。ダッハウで解放されたとき、7人家族のうち生き残ったのは彼ともう一人のきょうだいだけだった。

 レッサー氏はホロコーストの記憶を後世に残すZACHOR財団を立ち上げ、歴史を伝承するための様々な活動に参加しており、今年6月には、掲示板型SNSのRedditで一般の人からの質問に答える企画に参加。

 そこでこう聞かれた。

「世界が悪や憎しみであふれているなか、どうやったら前進し、幸せな人生を生きることができますか? 私たちのなかでもとくに、人間の悪行を経験してきたあなたはなぜ進み続けられるのですか? あなたの経験とは比べものにならないようなレベルのことなのに、私は毎日そういったことを目の当たりにして疲れ果てています。人間にもうあまり希望が持てないという気持ちさえあります」。

 この問いに、レッサー氏が綴った答えはこう。

 「私はその逆だと思っています。世界は美しさと喜びに満ちていますよ。ポジティブになって、物事の明るい面を見るのです。たくさんある中から悪だけを選んではいけない。悪は常にもあるものです。今の人生を楽しみ、喜びを探し求めなければいけません。意味のある人生を生きることを選べば、それは人生に価値を与え、先に進む希望を与えてくれる。私にできるなら、あなたにもできる」

 レッサー氏は、「人生はあまりに貴重であるため、出来る限り長く生きる努力をするよう人々に勧めたい」と思っているそうで、こうも語った。

 「意義のある人生を送る方法は必ずあります。今日初めても遅くはありません。選択がもたらす結果を理解することが大切です。トラウマが意味ある人生を生きる妨げになることはあり得ますが、私たちにはそれにどう反応するかを選択し、経験から成長し学ぶ方法を見つける能力があるのです」。

 そして「悩んでいる人には、待っていないで行動を起こすことを勧めます。あなたの命はあまりにも貴重なのですから」と付け加えた。

 レッサー氏は会話型ビデオAI SaaSテクノロジーであるStoryFileでも自身の経験を語っており、ここでは、レッサー氏に質問をしたらその場で答えてくれる(※英語)という1on1で会話しているかのような経験ができる。

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