第97回アカデミー賞において、ウォルター・サレス監督の『アイム・スティル・ヒア』が国際長編映画賞を受賞し、ブラジル映画界に歴史的快挙をもたらした。

本作は、1970年代の軍事政権下で起きたルーベンス・パイヴァ誘拐事件をもとに、圧政に抗い続けた妻エウニセ・パイヴァの姿を描いた壮大な人間ドラマ。突如夫を奪われ、軍に拘束されながらも沈黙を貫き、彼の行方を追い求めたエウニセの不屈の闘志が、静かに、しかし確実に歴史を動かしていく。

授賞式の壇上で、サレス監督は「この映画は、愛する人を失いながらも、信念を貫き通した女性への賛辞だ」と語り、主演のフェルナンダ・トーレスと、その母フェルナンダ・モンテネグロの名を挙げ、二人の女優に感謝を述べた。

原作となったのは、ルーベンス・パイヴァの息子マルセロ・ルーベンス・パイヴァによる書籍『Ainda Estou Aqui』。幼少期からパイヴァ家と親交を持っていたサレス監督にとって、本作は単なる歴史の映画ではなく、自身の記憶と向き合う重要な作品となった。

ブラジル映画界に新たな希望をもたらした『アイム・スティル・ヒア』。その感動は、これからも世界中の観客の胸に深く刻まれるだろう。

ブラジル映画初のアカデミー賞・国際長編映画賞を受賞した本作の日本での公開は2025年8月となっている。

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