ベルリン国際映画祭で高い評価を受けた話題作『ラ・コシーナ/厨房』が、6月13日(金)に日本公開される。イギリスの戯曲を原作に、舞台をニューヨークの大型レストランに移した本作は、移民たちが働く“厨房”という閉鎖空間を通して、社会の不条理や格差を描き出すヒューマン・エンターテインメントだ。
映画の舞台は、ニューヨークにある観光客向けレストラン「ザ・グリル」。スタッフの多くが移民で構成され、そこでは文化や政治的背景の異なる人々が共に働きながらも、時に衝突し、時に笑い合う。そんな職場にある日、大金の紛失事件が発生し、“犯人捜し”が始まることで、ストレスと不満が爆発していく。
主人公はメキシコ移民の料理人ペドロ。彼を演じるラウル・ブリオネスは、圧倒的な存在感とリアリティあふれる演技で「2024年ベストパフォーマンス俳優」の一人に選ばれた実力派だ。一方、ペドロの恋人で秘密を抱えるウェイトレス・ジュリアを演じるのは、『キャロル』や『ドラゴン・タトゥーの女』で知られるルーニー・マーラ。ふたりの関係が厨房の混乱と絡み合い、物語に緊張感を生み出している。
公開にあわせて解禁された日本版予告編では、活気あふれる厨房の様子やペドロとジュリアが水槽越しに視線を交わすシーン、さらには意味深な大金の受け渡し場面などが映し出されており、彼らの“訳あり”な関係がどのように物語に影響を与えるのか興味をかき立てる。
全編モノクロームの映像も注目ポイント。スタイリッシュかつ時に荒々しく描かれる厨房の様子は、レストランを“世界の縮図”として映し出し、社会風刺を利かせた作品ならではの緊張感を際立たせている。
『ラ・コシーナ/厨房』は、夢と現実が交差する“働く場所”を舞台に、現代の社会問題を炙り出す野心的な作品だ。この痛烈でブラックな職場劇が、どんな結末を迎えるのか。6月13日の公開が待ち遠しい。
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