アレクサンダー・マロフェーエフ――その名を知らないクラシックファンは、もはや時代に取り残されているかもしれない。ロシア出身、ベルリン在住の23歳。ピアノ界の台風の目が、ついにソニークラシカルと専属契約を結び、デビュー・アルバムを今週リリースする。
5歳でピアノを始め、13歳でチャイコフスキー国際コンクールを制覇。その後のキャリアは、まさに才能と努力の結晶だ。フィラデルフィア管、スカラ・フィル、そして世界の名指揮者たちとの共演。どの舞台でも彼の名演は話題をさらってきた。
だが、マロフェーエフの真骨頂はその音にある。クリスタルのように澄みきった響きと、信じがたいほど成熟した表現力。それを支えるのは、超絶技巧だけではなく、音楽そのものに対する深い洞察だ。
「録音は魔法のように真実を捉えるもの」――彼自身のこの言葉が、今週発売のデビュー盤を物語っている。ソニークラシカルの社長も「彼ほどエキサイティングな存在はいない」と太鼓判を押す。
クラシックの伝統と革新が交差する、その瞬間が迫っている。マロフェーエフの“第一歩”に、世界が耳を澄ます。