Rahul Bhatt

「攻めの進化」とは、まさにこのこと。グローバル・ガール・グループKATSEYEが放つ最新曲「Gnarly」は、808の重低音とレイヴシンセが交錯する中で、現実とデジタルの狭間を疾走するクラブバンガーに仕上がっている。HYBE x Geffenという異色のタッグから生まれた6人組が、新たな時代の扉をぶち破った瞬間だ。

チャートを制したデビューEP『SIS (Soft Is Strong)』からわずか数ヶ月、KATSEYEはもはや“期待の新人”の枠に収まりきらない存在となっている。「Gnarly」は、強烈なビートに乗せて無防備さと刺激が混ざり合う不安定な時代を映し出す。そして“gnarly”という言葉が持つ二重の意味――荒々しくも魅力的――それをまるごと音に落とし込んだこの一曲は、現代の複雑さを感覚で理解させる。

このグループが唯一無二である理由は、その音だけではない。キューバ系・インド系・韓国系など異なるルーツを持つ6人のメンバーが、単なる“多国籍”を超えたグローバル感を体現している。彼女たちのファンダム“EYEKONS”との関係性も、表層的なアイドル文化とは一線を画す。自分たちの音楽で感情を共有し、「一緒に成長する」と語るその姿勢は、SNS世代の“つながり”の理想形だ。

Netflixのドキュメンタリー『ポップスター・アカデミー』でその誕生を目撃した人々にとって、KATSEYEはもう単なるアイドルではない。Rolling StoneやBillboardが太鼓判を押す理由は、音楽そのものが語る物語の濃度にある。「Debut」や「Touch」で築いた土台をもとに、「Gnarly」で次なるフェーズに突入したKATSEYE。これはただの進化ではない。音と視覚で感情を殴りかかるような“攻め”の一歩だ。

「Gnarly」