“古典×青春”という異色の化学反応が、今、映画の世界に新たな息吹を吹き込んでいる。『西遊記』『三国志演義』と並ぶ中国四大名著の一つ『紅楼夢』が、壮大なスケールで完全映画化。製作費55億円、10年超の歳月をかけて構想された渾身の一作だ。監督はフー・メイ。歴史叙事詩に長けた彼女が、今回は若き登場人物たちの繊細な感情を主軸に物語を編み直した。
注目は、初解禁となった本編映像。華やかな桜が舞い散るなか、登場するのはヒロイン林黛玉。その役に抜擢されたのは新人女優チャン・ミャオイー。作中の名シーン「葬花吟」では、繊細な詩の世界とヒロインの内面を見事にシンクロさせたパフォーマンスを披露している。音楽は中国の伝統音楽と現代交響楽が交差する幻想的な旋律。丁丁の歌声とともに、林黛玉の孤独や儚さが胸に迫る。
物語の中心には、賈宝玉と林黛玉、薛宝釵による三角関係がある。深く理解し合いながらも、些細な言動に心が揺れる――その複雑でリアルな感情描写が、青春映画としての強度を高めている。煌びやかな宮廷の装飾、細部までこだわった衣装、時空を超える映像美。あらゆる要素が交差しながら、“時代を超えた恋”をスクリーンに描き出す。
すでに本作は東京・中国映画週間にて審査員特別賞を獲得。さらに王夫人役の楊童舒が最優秀助演俳優賞を受賞するなど、クオリティの高さは折り紙付き。5月30日、日本でもついに公開。忘れがたいラブストーリーを、ぜひ劇場で。
映画『紅楼夢』本編映像
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