カンヌ国際映画祭の新ルールを守ったハル・ベリー
『X-MEN』などで知られ、2025年のカンヌ国際映画祭で審査員を務める女優ハル・ベリーが、レッドカーペットで予定していたインド人デザイナー、Gaurav Gupta(ガウラブ・グプタ)によるドレスの着用を断念したことが話題となっている。原因は、映画祭側が今年新たに導入した「品位を保つためヌード禁止」と「ボリュームのある衣装の制限」を含む厳格なドレスコードにある。
この新ドレスコードでは、主にゲスト同士の通行や座席の妨げを防ぐため、長いトレーンやボリュームのある衣装が禁止対象となった。米Varietyによるとハル・ベリーが当初選んでいたグプタのドレスは、まさにその規定に抵触。ベリー自身も「ガウラヴ・グプタの素晴らしいドレスを用意していましたが、トレーンが長すぎて今夜は着られませんでした」と語り、「私はルールを守ります。ヌード禁止も、良いルールだと感じています」とコメントしている。
最終的に彼女が選んだのは、フランスのブランド、Jacquemus(ジャックムス)の黒と白のストライプドレス。構築的なシルエットと洗練された印象で、新ルールのもとでも彼女の個性を際立たせた。

一方で、今回のドレスコードではもうひとつ注目すべき変化があった。それは、これまで原則として禁止されていたフラットシューズの解禁である。過去には、ヒールを履いていなかった女性ゲストが入場を拒否された事例もあり、映画祭の厳格すぎる規定として批判を浴びていたが、2025年は方針を見直し、スニーカーでなければヒールのない靴も容認されるようになった。この動きに対して、審査員長で映画『ショコラ』などで知られるジュリエット・ビノシュも歓迎の意を示している。
長いトレーンを披露したモデルも
しかし、新ルールが導入された初日から、さっそくその境界線が問われる出来事も発生している。米Page Sixなどによると、モデルのハイディ・クルムはElie Saab(エリー・サーブ)による大きなトレーンを伴う華やかなドレスで登場し、「新ドレスコードに抵触しているのでは」とネット上で議論を呼んでいる。現時点で映画祭側からの正式な反応はないものの、ドレスのボリュームが新基準に反している可能性があるとして、SNS上ではさまざまな意見が飛び交っている。

新ルールの運用が厳格なのか、それとも一定の柔軟性を持つのか、今後の対応にも注目が集まりそうだ。