ひと夏の出来事が、永遠の記憶になることがある。
ホウ・シャオシェン監督の『冬冬の夏休み』は、そんな奇跡のような時間を切り取った映画だ。そしていま、この名作がデジタルリマスター版として再びスクリーンに戻ってくる。

主人公は、台北から田舎にやってきた兄妹・冬冬と婷婷。祖父母の家で過ごす夏休み。友だちとの他愛ない冒険、大人たちの交わす会話、日々のささやかな出来事。すべてが静かに心に染み込んでくる。そこにドラマチックな展開はない。だが観終わったあと、胸の中には確かに“何か”が残っている。

銅鑼の風景が美しい。緑と光、音と匂いが、まるで映像から漏れ出すようだ。ノスタルジーという言葉では言い表せない。記憶の底を優しくなぞられるような、不思議な感覚が広がっていく。

そしてこの作品の凄みは、そのスタッフ陣にある。エドワード・ヤンが父親役として出演し、音楽選曲も担当。脚本はチュー・ティエンウェン、撮影はチェン・クンホウと、台湾ニューシネマの核を成す人物たちが集っている。80年代の台湾映画の“魂”が、ここにある。

この夏、もう一度、自分の“記憶”に会いに行く旅をしてみてほしい。

画像: スクリーンに蘇る“永遠の夏”──ホウ・シャオシェン監督『冬冬の夏休み』デジタルリマスターで公開決定

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