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歯車に巻き込まれるミニオンズ。その動きはチャップリンを参考にしていた

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歯車に巻き込まれるミニオンズ。その動きはチャップリンを参考にしていた
(C) Universal Studios. All Rights Reserved.

大ヒット上映中の『ミニオンズ&モンスターズ』から、工場での大追跡を収めた本編映像が解禁された。ピエール・コフィン監督が本作に仕込んだのは、映画そのものの歴史へのオマージュだった。(フロントロウ編集部)

ベルトコンベアの先に待っていたもの

配給の東宝東和によると、公開された本編映像は、新たなボス候補の男を追いかけたミニオンズが工場に飛び込むところから始まる。ベルトコンベアに乗せられた彼らは、そのまま巨大な歯車に次々と巻き込まれていく。歯車の間で身動きが取れなくなりながら、それでも何とか抜け出そうともがく。かと思えば、はしごを駆使して屋根の上を大群で駆け抜けていく。

この一連の場面が、ハリウッド映画黎明期のサイレントコメディを思わせる作りになっている。歯車と人間、というモチーフからしてそうだが、動きのつけ方も、チャップリンら往年の喜劇スターやスタントを彷彿とさせる軽妙さでできている。笑わせる仕掛けが、サイレント時代とほとんど同じ理屈で組まれている、と言い換えてもいい。

舞台が“映画の都”ハリウッドである以上、それは偶然ではない。原始時代から最強最悪のボスを求めて旅を続けてきたミニオンズが、ひょんなことから自分たちでモンスター映画を撮ることになる——というのが本作の入口だ。彼らはこの映画のなかで、映画を作る側に回っている。

映画カメラを構えるミニオン
(C) Universal Studios. All Rights Reserved.

参照されたのは、世界三大喜劇王だった

オマージュは今回の映像に限った話ではない。東宝東和は、全編を通してコフィン監督の映画史への愛とリスペクトが込められていると説明する。

たとえば、ミニオンズの仕草や動きそのもの。参考にされたのは、チャップリンをはじめ、ハロルド・ロイド、バスター・キートンといった世界三大喜劇王だ。体が伸び縮みするようなアニメーション表現は、アメリカのカートゥーン黄金期を築いたテックス・アヴェリーのコメディ作品から来ている。白黒映画のような照明とアングルは『カサブランカ』(1946年)を、色彩の作り方は1920年代のハリウッドを描いた『雨に唄えば』(1952年)を下敷きにしている。物語後半に出てくるモンスターたちには、往年のSF・モンスター映画の要素が入る。

さらに遡って、映写機の発明につながったエドワード・マイブリッジの連続写真による動きの研究や、“映画の父”と呼ばれるリュミエール兄弟の作品など、映画黎明期そのものへのオマージュも多く取り入れられているという。ミニオンズが走り回るだけの映画に見えて、じつは映画が動く絵になった瞬間から今日までを一本でたどっている。

タキシード姿でステージに立つミニオンズ
(C) Universal Studios. All Rights Reserved.

「気づかれないものもあると思う」

コフィン監督は、こうした仕込みについてこう語っている。「アニメーションはこっそりと小ネタを仕込める高い自由度が魅力だ。それは背景だったり、カンペやポスターだったり、あるいは構図そのものだったり。中には気づかれないものもあると思うけど、それがまた楽しみの一つでもあるんだ」。

気づかれなくてもいい、という前提で画面の隅々まで作り込んである。逆に言えば、知っていれば知っているほど拾えるものが増える。もう一度観に行く理由としては十分だろう。

『怪盗グルー』『ミニオンズ』シリーズの全世界興行収入は累計56億ドル(約9,000億円)。日本では2022年公開の『ミニオンズ フィーバー』が洋画アニメの興行収入ランキングNo.1に立ち、そこから4年ぶりにミニオンズが主役として戻ってきたのが本作だ。日本語吹替版では、ミニオンズの夢をサポートする映画監督役を松平健、ボス候補のドート役を千葉雄大、デビー役を鈴木愛理、モンスターのグーミー役を山寺宏一、ハリウッド女優のメアリー役をLiSAが務めている。

『ミニオンズ&モンスターズ』は大ヒット上映中。(配給:東宝東和)

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