トム・ホランドは強すぎた。ノーランが『オデュッセイア』現場で出した注文


クリストファー・ノーラン監督最新作『オデュッセイア』から、トム・ホランドに焦点を当てた特別映像が解禁された。断崖絶壁での剣の殺陣、そして現場でノーラン監督が彼に出した意外な注文が明かされている。(フロントロウ編集部)
山を1時間登った先の岩場で、鎧を着て剣を振った
マット・デイモンが作品名を聞く前に出演を決めていた——そう伝えたのが8月半ばのこと。あれから1週間、今度は息子役に光が当たった。配給のビターズ・エンドの発表によると、9月11日(金)公開の『オデュッセイア』から、トム・ホランドのメイキングとインタビューを収めた特別映像「トム・ホランドのアクションリハーサル映像」が解禁された。
映像の前半、ホランドはホテルのプールサイドに広がる芝生の上で剣と盾を構え、殺陣のリハーサルに臨んでいる。筋骨隆々な佇まいから繰り出される一振りには重みがあり、それでいてカメラに向けられる笑顔は爽やかそのもの。ホランドはこのシーンについて「テレマコスにとって重要なシーンなんだ。父親を捜す旅に出るきっかけになるからだ」と語っている。
実際の撮影が行なわれたのは、イタリアのファヴィニャーナ島にあるサンタ・カテリーナ城。山を1時間登った先にある、断崖絶壁のゴツゴツとした岩場だ。映像にはIMAXカメラを担いで山を登っていくスタッフ陣の姿も映り込んでおり、この現場が決して容易な場所ではなかったことが伝わってくる。そこでホランドは重厚な鎧を身に纏い、入念にアクションを繰り返していた。

「トムがあまりにも凄すぎて」——現場で出た「少し抑えていこう」
この現場で起きていたことを、プロデューサーのエマ・トーマスが明かしている。「トムがあれほど高い身体能力の持ち主だとは想像していなかった」というのだ。
問題は、それが役柄と噛み合わなかったこと。トーマスはこう続けている。「例えばテレマコスは筋力的にも人間的にもまだ成長途中の若者ですが、トムがあまりにも凄すぎて、クリス(ノーラン監督)が『テレマコスはまだそのレベルに達していないから少し抑えていこう!』と言っていることがありました」。
役者に「もっと強く」ではなく「もう少し抑えて」と言う監督は、そう多くない。テレマコスは、トロイア戦争から帰らない父オデュッセウス(マット・デイモン)と、母ペネロペ(アン・ハサウェイ)の一人息子。冷酷な求婚者たちが母に結婚を迫るなか、父の消息を確かめるために旅に出る、まだ何者でもない若者だ。『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』で北米興収の記録を塗り替えたばかりのホランドの身体は、その「まだ成長途中」を演じるには、すでに仕上がりすぎていたということになる。

「褒めてすぐ撮影に入る監督」とは違った
ホランドがノーラン監督の作品に参加するのは、これが初めて。ノーラン監督は以前からホランドの才能に注目しており、念願のタッグがようやく実現した格好だ。
その現場について、ホランドはこんな言い方をしている。「多くの監督は褒めてすぐに撮影に入る。でもノーラン監督は人物の心の動きも問うてくる。アクションでも細部にこだわるところが彼の偉大さを表している」。殺陣の一振りにも、その動きが人物の内側で何を意味するのかを確認されるということだ。
もっとも、初参加の俳優を放り出すような現場ではなかったらしい。撮影を終えたホランドは「ノーラン監督たちは僕が彼らの撮影スタイルや現場の進め方に慣れるまで、十分な時間を確保してくれた。本当に素晴らしい体験になった」と振り返っている。

すでに本編を観た海外の観客からは、「若く悩み多き青年をリアルかつ実に自然に好演していた」「この映画で彼はようやく(これまでのイメージの)型を破った」といった声が上がっている。マスクを脱いだホランドが、どこまで別の顔を見せているのか。
なお『オデュッセイア』は、米国では8月18日(火)時点で全米興収が5億1,280万ドル(約831億円/1ドル=162円換算)に到達。現在ノーラン作品の全米興収最高記録を持つ『ダークナイト』を上回ることが期待されている(2026年8月20日 Box Office Mojo調べ)。日本では9月4日(金)から10日(木)までIMAX先行上映が行なわれ、9月11日(金)より全国ロードショー。マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ、ロバート・パティンソン、ルピタ・ニョンゴ、サマンサ・モートン、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロンが出演する。















