ピンク・フロイドが1977年に発表した『アニマルズ』の50周年記念盤が、2027年1月22日に発売される。ロジャー・ウォーターズが書いた未発表曲「Young Nicholas Jon」や、1977年のオークランド公演を丸ごと収めたライヴ音源が、初めて公式に世に出る。(フロントロウ編集部)
未発表曲と、19歳の青年がこっそり録った全13曲
今回の目玉は、CD 2にまとめられたレア音源集と、Blu-rayに収められるライヴ音源。レア音源集には「Young Nicholas Jon」のほか、「Dogs」「Sheep」の初期ヴァージョンやスタジオ・ジャムが入る。発表に合わせて、1973年にラジオ局向けに作られた約4分半の「Sheep (Original Radio Edit)」も先に公開された。これまで正式に出たことのない音源だ。
ライヴ音源は、1977年5月9日にカリフォルニア州のオークランド・コロシアム・アリーナで行われた公演を、当時19歳だったラインハルト・ホールヴァインが秘密裏に録音したもの。修復とリマスタリングを経て、『アニマルズ』と『炎〜あなたがここにいてほしい』の全曲に、アンコールの「マネー」「アス・アンド・ゼム」「ユージン、斧に気をつけろ」を加えた全13曲が、すべて初めて公式にリリースされる。
とくに貴重なのが「ユージン、斧に気をつけろ」。Animals Tourでこの曲がセットリストに入ったのはオークランド公演だけで、1974年以来の演奏だった。そしてこの夜を最後に、二度と演奏されていない。

ヒースロー空港の方へ流された「アルジー」
『アニマルズ』といえば、ロンドンのバタシー発電所の上空に巨大な豚が浮かぶジャケットが有名だ。ウォーターズのアイデアを、デザイン集団ヒプノシスのオーブリー・パウエルとストーム・トーガソンが形にした。ウォーターズは、毎日車で通りかかっていた発電所について「豚が飛ぶには最高にクールな場所だと思ったんだ」と振り返っている。

ところが、この撮影そのものが騒動になった。高さ約12メートルの豚のバルーン「アルジー」を用意し、当日はカメラマン8人とヘリコプターの撮影隊、さらに万一に備えて警察の狙撃手まで配置。初日は技術的なトラブルで断念し、翌日ようやく飛ばしたものの、係留ロープが外れてヒースロー空港の方へ流されてしまう。前日にいた狙撃手の再手配を忘れていたため、誰も手を打てなかった。
当局はイギリス空軍の戦闘機を出し、一部の航空便が欠航する事態に。最後はケント州の農場主から、自分の畑に巨大な豚が落ちていると連絡が入り、アルジーはようやく見つかった。

パンクの時代に作った、もっとも攻撃的なアルバム
『アニマルズ』は、バンドが新しく作った自前のブリタニア・ロウ・スタジオで、セルフ・プロデュースで録音された。デヴィッド・ギルモアは、当時はパンクが音楽シーンに衝撃を与えていた時期で、その影響はアルバムにも表れていると話す。「このアルバムはかなり攻撃的で、余計な装飾を削ぎ落とした作品だからね」。ニック・メイスンは、メンバーの意見の違いが表に出始めていたものの、ある意味では結束したプロジェクトだったと振り返っている。
ピンク・フロイドの旧作は、今年も話題が続いた。『炎〜あなたがここにいてほしい』の50周年記念盤はイギリス、ドイツ、イタリア、スイスでアルバム・チャート1位を獲得。秋には『おせっかい』の記念盤も届いている。
日本だけの紙ジャケット盤も
日本では、2CDとBlu-ray Audioの3枚組を7インチ紙ジャケットに収めた「ジャパン・エディション」(7,700円)が出る。この形態での発売は日本だけで、オリジナル・アルバム・カヴァーのポスターが付く。Blu-rayにはジェームズ・ガスリーによる2018年リミックスのステレオ、5.1chサラウンド、Dolby Atmosも収録される。

ほかにオレンジ・ヴァイナルの1LP(4,950円)、通常盤の2CD(3,740円)も用意される。


輸入盤のみのデラックス・ボックス・セットは、5CD、3LP、Blu-ray Audioを収めた全部入り。64ページのハードカヴァー・ブックには、作家ジョナサン・レセムのライナーノーツや、録音したホールヴァインへのインタビュー、オーブリー・ポー・パウエルによるジャケット制作の回想録が載る。ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルから出荷される分には、この本を訳した2万字を超える日本語解説書が付く。




















