「これは僕の仕事ではありません。国際社会における僕の責任なのです。幸せを求める権利はすべての人間にある」。
俳優のアシュトン・カッチャーが国会でおこなわれた人身売買や性奴隷に関する聴聞会に出席し、アメリカの政治家たちに涙ながらの訴えをした。
国会で涙の訴え
2児の父であり投資家としても成功しているアシュトンは、今回、元妻である女優のデミ・ムーアと共に設立した児童の性的虐待撲滅団体「ソーン(Thorn)」の代表として聴聞会でマイクの前に座った。そして、涙で何度も声をつまらせながら、こう語った。
「僕はFBIの捜査に立ち合い、人間が見るべきないではない光景を見たことがある。自分の子供と同じ年齢の幼い子供がカンボジアにそれ目的で来ていたアメリカ人の男にレイプされている映像を見たことがある。(中略)それから先の3ヵ月間、虐待を受け続けているであろうその少女のことを、僕が適切なものを開発したらその子を救えるかもしれないという事実を、毎晩考えていた」
アシュトンが設立したソーンはテクノロジーを使った児童虐待防止策に力を入れており、ネット上の膨大なデータの中からより緊急性の高い事例を探しやすくする「スポットライト(Spotlight)」をはじめ、新しいソフトウェアを多数開発している。
スポットライトは900の政府機関にて使用されており、半年で2,000人の未成年を含む6,000人以上の被害者の特定に成功。この成功を糧に、アシュトンはこの日、アメリカの主要な外交政策の立法と論議を担当するアメリカ合衆国上院外交委員会に訴えをおこなったのだ。
「7歳の子供が性的虐待を受けていて、その様子がネット上で共有されていると国土安全保障省から連絡がきたこともある。彼らはその子が性的虐待されている様子を3年も見てきたけど、どうしても犯人を特定できなかったんだ」
自らに対する批判にも反論
さらにアシュトンは、セレブリティが社会問題に声を上げることに対して一部で上がる批判についても触れた。
「インターネットの荒らしをやっている人たちが言っている、『本業に徹しろ』という意見について。まずは僕の本業について語らせてもらいたい。僕はソーンの代表にして共同設立者だ。我々は子供の人身売買や性的搾取と闘うためのソフトウェアを開発している。僕のもう一つの本業は、2ヵ月と2歳の子供の父親業。子供たちの幸せを求める権利を守ること、その権利を守ってくれる政府を確保することが、父親としての僕の仕事だ」
現在、世界では2,700万人が人身売買・現代奴隷の被害にあっていると言われている。