『美女と野獣』のビースト
2017年にエマ・ワトソンが主演で実写化されたディズニー映画の名作映画『美女と野獣』の主人公である野獣。
ビーストとも呼ばれる彼は、かつては壮麗な城に暮らす美しいが傲慢な若者だったけれど、呪いをかけられて野獣に変えられてしまった。
恐ろしい風貌ながらどこか物寂しそうな雰囲気がある野獣のイラスト手掛けたのは、数多くのディズニーのキャラクターを描いたアニメーターのグレン・キーン。
グレンの描いた、実際には存在しない野獣の正体は、キメラだった。
野獣の正体「キメラ」とは?
キメラとは、ギリシャ神話に登場する怪物のことで、異質なものの合成という意味がある。これが語源となり、生物学では同一体内に遺伝子の違う細胞が混じり合っていることを指す言葉として使われている。
『美女と野獣』の野獣の正体は、6種類程度の動物がミックスされたキメラだという。
野獣の頭部の構造と長く伸びた角はバッファローから、腕と体はクマ、眉毛はゴリラ、顎と歯、たてがみはライオン、牙はイノシシ、脚としっぽはオオカミからできている。
また架空の生物ミノタウロスと狼男の要素も持ち合わせているといい、ブルーの瞳は人間のものなのか動物のものなのか定かではない。
野獣が唯一無二な存在感を放っていたのは、こうした何種類もの生物が混ざっていたから。
ちなみに、野獣のデザインが初期段階だった時に、責任者となっていた『リロ・アンド・スティッチ』のアニメーターであるクリス・サンダースは、なんと虫や鳥、魚の形をした野獣のアイディアも考案していたという。