今現在も多くの人に愛されているディズニー映画『リトル・マーメイド』がミュージカル化され、現在アメリカでツアーを行っている。人間界へ憧れる主役の人魚姫アリエルに見事抜擢されたのが、日系女優のダイアナ・ヒューイー。

しかしSNS上では、「白人のアリエルをどうしてアジア人が演じるの?」というネガティブな意見や批判の嵐。ダイアナだけでなく、ミュージカルをプロデュースする5th Avenue Theatre(フィフス・アヴェニュー・シアター)という劇団にも非難の声が。
5th Avenue Theatreは人種に関係なくキャストを起用することで有名で、今回の批判を受けて「彼女は優秀だし、歌えるし、何が問題なのか分からない」とコメント。
さらに、今回のミュージカルではカニの役をアフリカン系アメリカ人が演じています。そもそもカニはアフリカン系アメリカ人なのですか? この物語はアニメをミュージカル化したものなのです
とぐうの音も出ない事実を突きつけた。

ダイアナ本人がコメント
アリエル役が決まった時、ダイアナ自身も「え、私がアジア人って知ってる?」と思わず言ってしまったという。けれど、今回のことだけでなく過去にも何度も人種差別を受けてきたというダイアナは、Facebookに力強いメッセージを投稿した。
観客が期待しているアリエルとは違うからこそ、受け入れてもらうために誰よりも努力しなければいけないというプレッシャーを感じていました。私はアジア人だから、今回アリエル役に抜擢されるとは思っていませんでした。けれど今思うと、それはとても悲しいこと。肌の色や、目の形を理由に自分は十分じゃないと思うなんてことがあってはいけないんです
私は日系アメリカ人としてアリエルをこれからも演じていきます。そしてそれが、自分の才能を信じて役を掴もうとしている人々をインスパイアできることを願っています。人種差別や偏見が存在しない世界を信じたいのです。この世界で平等な扱いを受けることができると信じたいのです
さらに、ほかのインタヴューでダイアナは、あるアジア人の親子から突然「あなたがアリエルを演じると知った時、娘にその姿を見せることができると分かって涙が止まりませんでした」と言われたことを告白し、「多様性や偏見を持たない心、そして平等がどれだけ大切なことなのか気付きました。このために誰かが批判を受けなければいけないのなら、私が引き受けます」と語った。

ネガティブな批判ばかりを受けていたけれど、それを見事乗り越え、日系アメリカ人としてアリエルを演じることを誇りに思っていると話したダイアナ。この彼女の行動は、多くの人の勇気に繋がったことに違いない。