少しずつ解決するように世界は動いているものの、まだまだはびこっている人種差別問題。NBAのブルックリン・ネッツというチームで活躍する台湾系アメリカ人のジェレミー・リンも、髪型で人種差別を受けてしまった。

左がジェレミー。
よく髪型を変えることで知られるジェレミーは、最近ドレッドヘアにチェンジ。すると元NBA選手のケニオン・マーティンがジェレミーの髪型に対して、「ドレッドヘアは黒人のものだ」と痛烈に批判した。

NBAを2015年に引退したケニオン。
彼の苗字がリンだってこと、こいつに教えてあげないといけないのか? もういい加減やめようぜ。今までこんな髪型でプレイするなんてできなかったぜ。誰か『分かったよ、黒人になりたいんだろ』って伝えてやれよ。分かったって。だけど苗字はリンなんだ
れっきとしたアメリカ人のジェレミーに対して、台湾系の苗字を持つジェレミーのことを中傷し、ドレッドヘアをするべきではないと主張した。この人種差別的発言には批判が殺到。
ジェレミーの反応は?
するとジェレミーは、このケニオンの投稿にコメント。
君が僕の髪型を気に入ってくれなくてもいいんだ。それは君の意見だから。けれどこうやって意見を言ってくれたことは感謝しているよ。僕はドレッドヘアをしていて、君は中国語のタトゥーを入れている。それって尊重の印じゃないのかな。マイノリティとして、お互いの文化を尊重すればするほど、社会にいい影響を与えると思う。今までチームに貢献してくれたこと、感謝しているよ。小さい頃、君のポスターを壁に貼っていたんだ
自分の髪型だけでなくルーツまでも差別されたジェレミーは、ケニオンを批判することなく互いの文化を尊重することが大切だと話した。
この発言を受けて、ケニオンは最初の投稿はジョークで、人種差別するような意図は一切なかったと弁解した。

マイノリティとして育ったジェレミーの思いとは?
ジェレミーはThe Players' Tribuneに人種差別や文化の尊重についてのエッセイを投稿し、彼なりの思いを綴った。
人々が自分の文化を間違えて受け止めてしまう時の気持ちは痛いほど分かる。ハリウッド映画でアジア人を軽視する表現があったり、アジアの話なのにアジア人がいなかったりする時の気持ちも分かる。人々が自分の文化を理解してくれようともしない時の気持ちも分かる。そうゆうことを“ジョーク”として片づけるのは簡単なんだ。だけどそれは、いずれ重くのしかかっていく。その積み重ねが、自分は価値のない人間なのかな、自分の意見は大事ではないのかなと思わせてしまうんだ
ドレッドヘアにしたことは、もしかしたら間違いだったのかもしれない。だけど、これは文化の違いについて話すことの終わりではなくスタートだと思いたい。偏見ではなく、共感や思いやりが必要なんだ
現在世界的な舞台で活躍しているジェレミーだけれど、マイノリティとして育った彼は、今回だけでなく悔しい思いをしてきたこともあったに違いない。そんな経験をプラスにしているジェレミーだからこそ、違いを認めていい世の中を作っていくべきだというメッセージを送った。