レイプ被害者が直面する理不尽な批判とは?
英BBCのコメディ番組「トレイシー・ウルマンショー」が、レイプ被害者が直面する世間からの理不尽な批判を皮肉った動画を作成。その内容に世間から称賛の声が上がっている。
女性警察官が強盗被害にあったという男性から事情を聞いているのだが、会話の内容がどこかおかしい。この女性警察官の態度は妙に威圧的で、男性を責めたてるような口調で質問。しかも犯人のことではなく、被害者であるこの男性のことについてばかり聞いている。
「強盗にあったとき、あなたは今のような服装をしていたのですか?」
「自分が裕福であることをアピールしているかのような身なりですね」
「被害にあった時、お酒は飲んでいましたか?お酒を飲んでいると襲われやすくなりますからね」
この動画で描かれている状況は、性暴力被害にあった女性たちに向けられる批判とそっくりだ。多くのレイプ被害者たちは、被害にあった当時の服装や状況を理由に批判されることが多々ある。
被害女性を苦しめる「ヴィクティム・ブレーミング」
実はこういった被害女性への非難や批判は「ヴィクティム・ブレーミング」といって、今世界中で大きな問題となっている。
例えば、証拠がないことを理由に「ウソをついているのでは?」と疑ったり、「被害に遭ったのは露出の多い服を着ていたから」と、被害者に責任があるかのように責めたりと、世間から被害者に向けられる「ヴィクティム・ブレーミング」の内容は様々。
しかもレイプ被害者を苦しめるのは、「ヴィクティム・ブレーミング」だけではない。「セカンドレイプ」と呼ばれる二次被害も問題視されている。
「セカンドレイプ」とは、捜査や裁判のために何度も事件のことを聞かれたり、事件が報道されることによって好奇の目にさらされたりすることで、レイプ被害者が心理的ダメージを受けることを言う。この「セカンドレイプ」こそが、被害に遭ったことを誰にも言えず、泣き寝入りしてしまう最大の原因とも言われている。
被害者にとっては、「レイプされた」ということを申告するだけでもやっと。今後、1人でも多くの被害者が声を上げられるようになるには、「ヴィクティム・ブレーミング」や「セカンドレイプ」といった問題が、一刻も早く解消されることが大切なのではないだろうか。