夢を与える仕事の現場でセクハラが横行
先日明らかになった、映画『トイ・ストーリー』や『カーズ』といった人気アニメ作品の監督を務めたジョン・ラセターのセクハラ行為。これまでクリエーターとしてディズニーやピクサーをけん引してきた大物のスキャンダル発覚に、世界中が衝撃を受けた。

自身が手がけた『トイ・ストーリー』のキャラクターとともに笑顔で手を振る、ラセター氏(中央右)。
ピクサーの従業員に“望まれないハグ”のほか、不適切なボディタッチや発言を繰り返していたというラセター氏は、この一件が原因で約半年間休職をすることに。
ただし、英BBCによるとラセター氏のセクハラ行為は常態化していたとの証言もあり、一部では「たった半年の休職ですむのは納得がいかない」といった厳しい声も上がっている。
女性差別に人種差別…、ピクサーが抱える「闇」
そんな渦中のピクサーだが、ラセター氏の休職が発表されたのと同時期に、2019年公開予定の映画『トイ・ストーリー4』で脚本を務める予定だった、女優のラシダ・ジョーンズとウィル・マコーマックが降板することも発表された。

当初、その原因はラセター氏のセクハラ問題が原因だと言われていたが、ラシダ本人が声明文を発表し、降板理由を明らかにした。
「残念ながらピクサーでは女性や非白人に平等な機会が与えられていません。それは過去の統計を見ても明らかです。ピクサーがこれまで制作してきた20作品のうち、女性が共同で監督を務めたのはたった1作品だけです。私たちはピクサーが率先して多様性と女性の活躍を支援し、雇用を促進していくことを望んでいます」
声明文のなかでピクサーの会社としての実態を明らかにしたラシダは、本来なら業界のリーダーとして世界の手本となるような会社であるべきピクサーが、それを怠っていることを指摘した。

ピクサーのオフィスの中。
今回、セクハラ問題だけでなく、雇用や作品への起用に関してやや女性及び人種差別的な面があることを露呈しまったピクサー。同社の作品を愛するファンのためにも、「ぜひこの会社で働きたい」と夢見る人たちのためにも、一刻も早い改善が望まれる。