増加するアメリカの若者の自殺
日本だけでなく、アメリカでも大きな問題となりつつある若者の自殺。アメリカ疾病予防管理センターによると、1990年から2009年まで減少傾向にあった若者自殺率が、2010年から2015年にかけて増加の一途をたどっているという。
こうした問題に声を上げるセレブも出てきており、シンガーで女優のセレーナ・ゴメスは、自身がプロデュースしたNetflixオリジナルドラマ『13の理由』を通して、事の重大さを訴えた。
以前からSNSが若者に与えている悪影響を危惧していたセレーナは、自らもSNS上で悪口を言われることに悩んだ時期があったことを明かしている。
ここ数年で若者の生活が劇的に変化
そんななか、アメリカの科学的心理学会が昨年11月に発表した「若者のSNS使用」に関する調査結果から、興味深い事実が明らかとなった。
スマートフォンを含む電子機器を1日に5時間以上使用する若者は、2009年には8%だったが、2015年には2倍以上の19%に増加。さらに1日1時間使用する人よりも、長時間使用する人のほうが自殺願望を抱いたり、自傷行為をする可能性が約70%も高くなることが分かった。
また、「絶望的に悲しくなった」「望みがないと感じた」「自殺願望を抱いた」など、SNSが原因でネガティブになる若者は、32%から36%へと上昇。
高校3年生の女子学生を対象とした調査では、SNSを毎日あるいはほぼ毎日使用している人は、SNSをあまり使用しない人と比べて、憂鬱な気分になる可能性が約14%も高くなることが分かった。
便利なはずのSNSが脅威に?
ニューメキシコ大学のヴィクター・スタンスバーガー教授によると、親の世代はSNSに潜む危険にあまり気づいていないそうで、知らない間に子供が悩みを抱えているケースも多いのだとか。とくに匿名で悪口の書き込みができるSNSは、ネットいじめといった行為に発展する可能性もあり、トラブルになりやすい。
このほかにも「いいね」欲しさに偽りの自分を見せる若者や、自分より充実した生活を送っている人の投稿を落ち込んでしまう若者など、SNSを巡る若者の問題は数知れず。
若者の自殺がSNSと関わっていると断言することはできないが、使い方によっては自らを滅ぼす原因に十分になり得ると言える。