ハッピーエンド後の“リアル”
『ブルーバレンタイン』
あるカップルの出会いから結婚、破局までを描いたラブストーリー。娘と共に3人で暮らすディーンとシンディは、お互いに不満を抱えながらなんとか結婚生活を持ちこたえていたけれど…。希望や愛に満ち溢れていた2人の出会いから、愛が消えていくリアルな別れを、美しい映像美で魅せる。
主演は、『ラ・ラ・ランド』で知られるライアン・ゴズリングと『グレイテスト・ショーマン』のミシェル・ウィリアムス。実際に髪を抜いてハゲ頭にし、体重を増量して役に挑んだライアンのレアな姿にも注目。
小悪魔系女子と草食系男子の恋
『(500)日のサマー』
ザ・草食系男子の主人公トムは、同じ会社で働くサマーに一目惚れ。愛を信じるトムはサマーにアタックし一夜を共にするが、愛を信じないサマーは「人の所有物になるのは嫌」とあくまで気軽な関係になる。サマーにゾッコンのトムが手の内で振り回される様子を、コミカルにそしてオシャレに描く。
監督のマーク・ウェブは、ミュージックビデオの製作で活躍しているとあって、どこかMV風な雰囲気も。主演のジョセフ・ゴードン・レヴィットとズーイー・デシャネルは、長年の友人なので息がぴったり。
同じ男性を好きになった男女の物語
『胸騒ぎの恋人』
若き天才監督グザヴィエ・ドランが手がけた『胸騒ぎの恋人』。同性愛者のフランシスと親友のマリーは、なんと2人そろって美少年ニコラに恋をしてしまう。思わせぶりな対応をするニコラに振り回されながら、フランスシスとマリーは駆け引きしたりニコラの誕生日のプレゼント合戦をしたり、2人の友情にもヒビが入ってしまう。2人の恋の行方は?
アーティスティックな表現を得意とするグザヴィエの、色彩豊かな映像美も魅力の1つ。どこかシュールで、思わず笑ってしまう粋なラストシーンに注目!
型破りなSFラブストーリー
『エターナル・サンシャイン』
主人公のジョエルは、最近別れた元恋人クレメンタインがある施術を受け、自分の記憶を消したことを知る。そこで、自分も彼女の記憶を消そうと同じ施術を受けるも…。どんな関係でも最悪の思い出があれば、幸せだった思い出もあるもの。そんな2人の大切な思い出が消えていく過程は、なんとも切なく苦しい。
アカデミー賞で脚本賞を獲得した今作には、一生心に残るような名言がたくさん詰まっている。時間系列がころころ変わる今作は、クレメンタインの奇抜なヘアカラーが大きなヒントとなるので注目。
切なすぎる遠距離恋愛の模様を描く
『今日、キミに会えたら』
出会ってすぐ恋に落ちたイギリスからの留学生アンナとアメリカ人のジェイコブ。しかし、アンナはビザの関係でイギリスへ帰国しなければいけなくなり、2人は遠距離恋愛を始める。そう簡単に遠距離恋愛が続くわけもなく、お互い関係を続けながらも現地で恋人を作る。
じつはこの映画、演技と台詞はすべて即興。だからこそのリアルな会話が胸に響く。今ではアカデミー賞常連のジェニファー・ローレンスが脇役で出演しており、脇役ながらも存在感抜群。ジェイコブを演じるアントン・イェルチンは、2016年に事故で死去し、多くの人が悲しみに包まれた。
恋愛には「妥協」も必要
『ルビースパークス』
若手作家のカルヴィンは理想の女の子ルビーを主人公にした小説を書き始める。するとある日、目の前にルビー本人が現れる。カルヴィンが小説に書いた通りの行動をしていくルビーと、幸せな日々を送るカルヴィン。しかし、ルビーが自分の思い通りに行動しなくなると、小説を使ってルビーを束縛し始める。
ポップで楽しげな雰囲気とは裏腹に、この映画が伝えるテーマは恋愛関係上での独占欲や束縛。ちなみに、主演のポール・ダノとゾーイ・カザンは私生活でも交際している。
“新しいもの”に惹かれるのって普通?
『テイク・ディス・ワルツ』
結婚5年目で、自分を愛してくれる夫ルーと幸せな生活を送るマーゴは、仕事で訪れた島でイケメンの青年ダニエルと出会い惹かれていく。自分だけを見てくれる優しい夫と、刺激を与えてくれるダニエルとの間で揺れるマーゴが選んだ選択とは?
女性なら誰でも共感してしまうマーゴの気持ちに感情移入しつつも、ルーを応援したくなったりダニエルを応援したくなったり、見終わった後女友達と話したくなるような作品。優しい夫ルーを演じるのは、コメディ俳優のセス・ローゲン。
風変りな不倫関係の行方は?
『5時から7時の恋人カンケイ』
アメリカ人の青年ブライアンは、NYの街で見かけたパリジェンヌのアリエルに一目惚れ。2人はすぐに惹かれ合うも、アリエルは結婚しており子供もいた。そこでブライアンは、「5時から7時の間だけの不倫関係」を提案され、それを受け入れ交際を始める。アリエルの旦那にもオープンな愛人がおり、家族ぐるみで仲良くなっていく。
5時から7時という限定された時間でしかともに時間を過ごせない2人の結末に、思わず涙してしまう。アリエルが提案した5時から7時という関係は、「5 to 7」といってフランス人の間で実際に使われる不倫の隠語だという。アメリカとパリの文化の違いなど、切ない話ながらもくすりと笑ってしまうシーンも数々ある。