カンヌ国際映画祭のレッドカーペットに、女優ケイト・ブランシェット率いる82人の女性が集結。この82という数字が示す、映画界の男女格差に迫る。

 今年で第71回となる歴史あるカンヌ国際映画祭は、いつもと違う空気が流れていた。それは、これまでにもアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞などのアワードでも行われていた、女性の権利を訴える運動の流れが加わったこと。

 もともとカンヌ映画祭は、女性監督の作品がコンペティションにノミネートされたり、受賞したりする機会が他のアワードに比べてかなり少なく、女性に対して差別的なのではとの声がここ数年挙がっていた。

82人の女性が立ち上がる

 そんななか、フランスの女性監督エヴァ・ユッソンが手掛けた映画『ガールズ・オブ・ザ・サン(原題)』の公式プレミア前のレッドカーペットの階段に、82人の映画界で活躍する女性たちが集結した。

画像1: 82人の女性が立ち上がる
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 そこには、今回の映画祭で審査員長を務めている女優ケイト・ブランシェットのほか、クリステン・スチュワート、レア・セドゥ、マリオン・コティヤールなどの姿が見られた。ここに集まった女性の数である「82」には、映画界にはびこる男女格差を訴える声が込められていた。

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82が表す意味とは?

 実は82という数字は、1946年に映画祭が始まってから、コンペティション部門に選ばれてレッドカーペットの階段を上った女性監督の合計数。それに反して、同じ71年間で階段を上った男性監督は1,688人だという。さらに、最高賞のパルムドール賞を受賞した女性監督は、71年の歴史の中でたった2人。

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 81人の女性を率いてレッドカーペットを歩いたケイトは檀上で男女平等を訴えるスピーチを行った。「女性はこの世界でマイノリティではなのに、今の私たちの業界では違います」と、映画界で女性が活躍しづらい状況を話し、「私たちは、職場での多様性と男女平等を求めます。そうすれば、カメラの前や後ろで女性が、男性と肩を並べて活躍することができます」と続けた。

画像2: 82が表す意味とは?
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 男女格差の問題だけでなく、今年のカンヌ国際映画祭はさまざまな視点からも批判を受けている。今年からフランスで劇場公開しない作品は、コンペティションに参加することができない新ルールを設けたことで、Netflixが「参加する意味がない」と憤慨し、今年から撤退を表明。

 さらに、レッドカーペット上でのセルフィーを「バカバカしい」として禁止し、ファンがセレブたちと交流する機会が減ってしまうとしても不満の声が漏れている。

 開催前からこのような問題が目立っていたカンヌ国際映画祭。そしてさらに82人の女性たちがレッドカーペットで無言の訴えを行い、まだまだ解決されない男女格差が浮き彫りになった。カンヌ映画祭が、今後どのように改善していくのかが注目されている。

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