Photos: シンクストック/ゲッティイメージズ、スプラッシュ/アフロ
国連が性的マイノリティの総称として使う「LGBTI」。近年は「LGBT」という言葉は説明しなくても分かる人が増えているが、「I」にあたる人々のことを知っている人はまだまだ少ない。

LGBTI(エルジービーティーアイ)

 性的マイノリティを総称する頭文字として最も有名なのが「LGBT」。

Lesbian(レズビアン)
G ay(ゲイ)
B isexual(バイセクシャル)
T ransgender(トランスジェンダー)

 近年は、性的マイノリティだがLGBTのどれにも当てはまらない人々の頭文字を増やすべきだという声が増えており、人によって使い方は様々。

 フロントロウ編集部では、全員を含める意味合いがある「LGBT+」という記載方法を取っている。

 そんななか性的マイノリティの人権を守る活動を進めている国連が性的マイノリティの総称として使っているのが、「LGBTI」。

 「I」はインターセックス(Intersex)にあたる。

インターセックス(Intersex)とは

 世界人口の最大1.7%が当てはまるというインターセックスとは、一体どんな人たちのことなのか?

画像: インターセックス(Intersex)とは

 北米インターセックス協会の定義では、インターセックスは、男性または女性の典型的な定義にあてはまらない生殖・性的構造を持って生まれた人のこと。外見は女性だが典型的な男性の生体構造を持つ人や、生殖器が男女それぞれの特徴を持つ人、XX染色体とXY染色体が共存する遺伝的モザイクを持って生まれた人など、様々なケースがある。

 国連の資料では、世界人口の0.05~1.7%がインターセックスの特徴を持つというデータがあり、1.7%は赤毛の人の数と同じ水準。

 性的趣向やジェンダーアイデンティティとは違い、生物学的なもので、出生時に分かる場合もあれば分からない場合もあるという。

 また、インターセックスのあいだでもストレート、ゲイ、レズビアン、バイセクシャルなど様々な性的趣向があり、ジェンダーに対する自認も、女性、男性、両方、どちらも違うと、人によって様々。

 インターセックスの子供や大人は、体がまわりと“違う”という理由から、人権侵害、健康侵害、拷問や虐待を受けてきたと国連は報告している。

インターセックスの著名人

 最近インターセックスであることをカミングアウトしたのが、米Vogue誌の表紙も飾った人気モデルのハンネ・ギャビー・オディール(29)。

画像: インターセックスの著名人

 インターセックスの若者を支援する団体InterACTが公開した動画で、「インターセックスであることを喜んで世界に認めます」と言ってカミングアウトし、遺伝子学的に男性でありながら、体がテストステロンに正常に反応しないため生殖器が発達しないアンドロゲン不応症(AIS)であることを告白。

 「多くのインターセックスの子供たちと同じように、(幼い頃に)元に戻せないうえ不必要だった手術を同意なしに受けさせられました」と語り、インターセックスへの理解を訴えた。

 ほかにも、インターセックスとして育った経験をつづった自伝『Sugar and Spice and Puppy Dog Tails: Growing Up Intersexed』を発表した女優のキャサリン・コネラ(59)や、ジャズシンガーのイーデン・アトウッド(49)など、インターセックスである事を明かしている著名人はまだまだいる。

 モデルのハンネはインターセックスであることをカミングアウトした動画で、インターセックスの若者、彼らの医師、そして親に、それぞれこうアドバイスしている。

 まずインターセックスである若者には、「瞳の色と同じように自分の一部なんだから、自分のユニークさを大切にしてあげて」とアドバイス。また、医師には「インターセックスの子供には自分の体について自分で決める権利がある。インターセックスの大人と話して、彼らの決断がどう人生に影響したかを知って」と、親には「急ぐ必要はない、時間をかけて、知識を増やして、同じ状況にいる親と繋がって。勝手に大きな決断はしないで、子供が欲しいもの・なりたいものを聞いて、彼らに決断させてあげて」と助言した。(フロントロウ編集部)

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