この映画がもとにしているのは、実在したフランス人女性作家、シドニー=ガブリエル・コレットの人生。
でも彼女、ただの女性小説家ではない。
小説家以外にも、ジャーナリストや舞台ダンサー、そしてフェミニストとして活動をしていて、多岐にわたってその才能を披露していた。
美貌と教養を兼ねそろえていた彼女は、男性だけでなく女性からもモテモテの存在だった。3度の結婚を経験し、恋愛遍歴も性別を問わない。そんなスキャンダラスな私生活を送っていた。
そして、いつまでも絶対的な人気を失わないあの女優、オードリー・ヘップバーンを見出したのも、じつはコレット。
コレットが書き上げた小説の一つ『ジジ』を舞台化する際のオーディションで、当時無名だったオードリーの才能をコレットは誰よりも先に見出し、起用することを決めた。
コレットのジェンダーやセクシュアリティに対する考え方は、約70年経った現在でも参考にできるということが、いかに彼女が知性に優れていたかがわかる。
今回の『コレット』では、そんな彼女の人生の中で、作家の道を進むきっかけとなった1人目の夫ウィリーとの、出会いから別れまでを中心に描かれている。
自身ももともと人気作家であったウィリーは、コレットに彼女の人生をもとにした小説を書いてみるようにお願いする。コレットはその頼みを承諾し書き上げてみると、それがなんと大ヒット小説となる。
しかし、ウィリーはコレットの名前を引用せず、ウィリーの作品として世に出していた。その後もウィリーはコレットにゴーストライターとして書き続けることを強要。
この件をきっかけにいつの間にか夫婦の仲に亀裂が入り、コレットは作品の著作権や社会の性差別に立ち向かうことを決意。女性の社会的地位がまだまだ低かった時代で、社会にのまれずに強く生きるコレットのたくましい姿に感化される人も多いのでは。
コレット役を演じるのは、あの大物女優のキーラ・ナイトレイ。その夫のウィリー役を、ドミニク・ウェストが演じる。
『コレット』は9月21日全米公開。日本公開は未定。(フロントロウ編集部)