牛乳の代替品として定着している、アーモンドミルクやソイミルク。健康や美容目的で飲む人が増えているが、これらを今後アメリカ国内で「ミルク」と呼べなくなる可能性が出てきた。
今週アメリカで開催されたポリティコ主催のイベントで、FDA長官のスコット・ゴットリーブが、これまでは厳しく規制してこなかった「ミルク」という言葉の使用を規制する計画を明かした。
連邦規格では「ミルク」は「1頭またはそれ以上の牛から搾乳されたもの」と定義されており、泌乳動物から摂れた製品とされているが、ゴットリーブ長官は「告白します。アーモンドは乳を出しません」とした。
しかし辞書のなかにはミルクを「泌乳動物またはナッツからくるもの」と定義しているものもあるため、ゴットリーブ長官は、規制を強化することで企業から提訴されることも見越していると発言した。
賛成派と反対派が激論
FDA長官の発言は早くも、賛成派・反対派の間で議論を呼んでいる。
米国乳製品連盟のCEOは公式声明にて、「(ナッツ系ミルクの)表記違反に対する我々の抗議が長年放置されてきましたが、政府機関がこの問題に対して行動を起こす意志があるというゴットリーブ氏の発表には大きな望みがあります」と、今回の発表を好意的に受け止めた。
一方で植物性の代替品を推進するザ・グッド・フード・インスティテュートの代表も声明を発表し、「グルテンフリーのパンやライスヌードルが存在するように、アーモンドミルクやソイミルクは、これらの製品を表わす最も明確で適した名称なのです」と反論した。
アーモンドミルクやソイミルクは近代のビッグトレンドですでに名称が定着しているだけに、企業側からの反発は避けられない。FDA側も裁判を見越しているとしているだけに、今後この問題、どれだけ大きな議論へと発展するのかに注目が集まる。(フロントロウ編集部)